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でもピンチな事には変わらない

 僕の上に覆いかぶさろうとする巨大スライム。

 こうやって飲み込まれそうになるのはこれで二度目だ。だが、スライムは元の二倍、いや、もしかしたらそれより大きいかもしれない。


 そして、僕を囲んでいる水の壁は小スライムが入ってこないように作ったものなので、最初にとびかかってきた巨大スライムを防御したときほどの分厚さは無い。おまけにこの壁は胸ぐらいまでの高さだ。


 つまり、この水の壁ごと僕を飲み込んでも、このスライムはあまりダメージを受けないどころか、多分僕は捕食されて死ぬ。

 もう一度水の壁を生成しようにも、必要な水の量は単純計算で二倍。さっきの状況でかなりギリギリだったから水の壁の防御は駄目だ。


 また、時間の流れが遅くなる。

 考えろ。生きる方法を。スライムを倒す方法を。


 このスライムより一回り大きな水球を作ってぶつければ倒せるだろうか?


 普通のスライムは『大水球』をぶつけたら跡形も無く溶けていく。突然変異のスライムも同じかは分からないが、水魔法は効いているようだった。


 だが、元々この巨大スライムは僕の身長を超えていたが、今はその二倍以上の大きさになっている。

 僕の魔力は無限にあるし、大量の水を出すだけならすぐにできるが、このスライムを上回る大きさの水球を作るのは難しいだろう。


 目の前の、血の色をした巨大スライムを見る。

 何か良い手はないだろうか。このスライムを倒せそうな手段は……



 ふと、ギルド職員のお兄さんの言葉を思い出した。


『核に攻撃を当てるか、魔法を打てば倒せます』


 確か、スライムがどんな魔物か聞いた時にもらった言葉。


 核。そうだ、核だ。

どうにかしてあの核を破壊できれば、倒せるかもしれない。


 しかし、『水球』や『水刃』では、攻撃がスライムの核に届く前に消えてしまうだろう。だからといって、『水鉄砲ウォータージェット』はまだまともな攻撃手段として使えない。使えそうなのは、ゴブリンを倒して手に入れた短剣ぐらいだろうか。


 だが、元の世界で生きてた頃はずっとゲームばかりしてほとんど運動もしなかった。だから普通に短剣を投げても核に当たらないだろう。



「ぐぷおぉぉぉ!」


 スライムの叫び声。もう考える時間が無い。

まずは自分の身を守らなければ!


 とっさに身を屈め、水の壁に両手を突っ込んで水を出して、それから水のドームを作る。

 そして思いっきり息を吸い込んだあと、ドームの中を水で満たした。


「ぐぷお! じゅわあああああああ!」


 ドームに巨大スライムが覆いかぶさり、スライムの身体が溶ける音が聞こえる。水の中からでもすごい音だ。


 水がスライムに触れて消えていくが、その量に負けないぐらい左手から水を出し続ける。


 このままずっと続けていれば、いつかはスライムも溶けてちっちゃくなるだろう。そうすればなんとか倒すことができるかもしれない。

 だが、この水のドームの中で息は長くもたない。スライムが小さくなるより先に、僕が窒息してしまう。


 その前に、どうにかしてあの核を破壊しなければ……!

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