クエストリザルト
森の入り口付近にはスライムしかおらず、特に何事も無く「城門」に着いた。
無事に審査も通り、道案内看板を頼りにギルドにたどり着いたまでは良かったのだが、ギルドの扉を開けると、なぜか朝に来た時と同じぐらいめちゃくちゃ人で混みあっていた。
「報酬受け渡し」窓口には長い列ができている。仕方なく行列に並んだ。
けっこう待ち、ようやく自分の番がまわってくる。
窓口の女性職員にギルドカードを見せて、スライム討伐のクエストに行ったことを伝えたあと、スライムの魔石10個を渡す。
「確かに10個ありますね。ではこちら、報酬の500ゴールドです」
職員さんから小さな袋をもらう。中には銀色の硬貨が五枚入っていた。
そして話を切り出す。
「あの、森の中でゴブリンにも出会って、一応倒したんですけど、その分の報酬ってもらえますかね……?」
「あっはい。討伐証明はお持ちですか?」
僕はポケットから布で包んだゴブリンの右耳を取り出し、職員さんに見せた。
ここで職員さんからの衝撃のひとことが。
「申し訳ございません。ゴブリンの討伐証明部位は額の角となっております」
「えっ」
確かに、角は買い取った後、アクセサリーなどに加工したりできるかもしれない。それに比べて、ゴブリンの右耳なんて何に使うんだという話である。
でも、それでも。
僕の友達に聞いたらきっと、ゴブリンの討伐証明は耳だと言うだろう。
何から何までテンプレってわけじゃないんだなと思った。
結局、ゴブリンを倒した分の報酬は貰えなかった。
だが「思い込みで行動するのは良くない」という事を学べたからいいだろう。
それより、昨日から何も食べてないのでお腹がすいてヤバい。
お金も手に入ったことだし、さっそくパンを買いに行くとしよう。
~ ~ ~ ~ ~
この世界のスライムは、他の動物や魔物の死体などを食べて生きている。
カイトが去った後の木漏れ日の森。
彼が倒したゴブリンの死体の上に、スライムがのしかかった。
その後消化液を分泌して死体を溶かし、吸収するのだ。
普通のスライムは脛ぐらいまでの大きさしかないため、ゴブリンを消化するのに数時間ほどかかる。
だが、今ゴブリンの死体を溶かしているこのスライムの大きさは、大人の背丈を超えていた。
そして、通常紫色であるはずの色だが、この巨大スライムは、血のように真っ赤な色をしていた。
「ぐぷぷ……」
巨大スライムは、ゴブリンの死体をほんの数分で消化し終える。
そして真っ赤な巨大スライムは、森の奥へと消えていった。




