談話室 上 情報整理
俺達はその後談話室へ向かった。これまでの情報を整理するために。
「じゃあ、今までの整理をしよ。できるだけ手短にするね。隼人達も流石に授業に出なきゃまずいでしょ。」
郭が早口で話を切り出した。確かに数時間も無断欠席をするのはまずかったからありがたい...でもまぁ正直、この状態の郭を放っておいてぬけぬけと授業なんて受けられる気がしないが。
「私達が見せてもらった薫ちゃんのスコア、国語184、数学180、英語186だったよね。」
「ああ。俺は詳しくは覚えていないが、ほぼ確実に1組入りできる成績だったよな。」
「だけど僕達がさっき職員室で見た個票に書いてあったスコアは、全く違うものだった。そうだよね?赤嶺さん。」
紫苑の問いかけに郭は頷く。
「そう。職員室にあった薫ちゃんの個票には、確かに国語94、数学88、英語96って書いてあったんだ。それで二段階降格、4組に転落ってお話だった。」
「でもそれって...」
「ああ。低い。浅黄の成績がもし本当にこれだとしてもおかしい。こんな点数じゃ4組にだって入れやしない。」
「だけど薫ちゃんは4組に転落で済んだ。なんでだろうね?」
数秒の沈黙の後、紫苑が探り探りで口を開いた。
「浅黄さんが職員室から印鑑等を勝手に拝借して、偽の個表を作った。...そのくらいしか、今は考えられないかな。」
「あぁ...そうだな。でも印鑑の拝借なんてリスクの高いこと、普通するか?結果も変わんねぇわけなんだし...」
「......ねぇ」
郭が口を開く。
「薫ちゃんは文系科目が嫌いだったのかな?」
俺達は呆気に取られた。
なんで急にそんなことを?だって浅黄は――
「理数科目が得意で好きだった。なら、文系科目は嫌いだったんじゃないかな?」
そうだ。なんでそんな当たり前の事を?このタイミングで?
「ねぇ、隼人、紫苑。勘違いしないでほしいんだけど―――」
「失礼します。」
談話室のドアがおもむろに開かれた。
俺達3人の視線が自然とドアの前に立つ人物に集まる。
そこにいたのは――学年1位、1組首席の青柳 要だった。