プロローグ
俺、内宮士郎は目の前で起こっている非現実的光景にただ唖然としていた。
明日から高校生生活が始まるので、街に文房具を買いに行ったその帰り道、もうすぐで家に着くという時にそれは起きた。
突然目の前のアスファルトが光ったかと思うと、光の中心に魔法陣が描かれ、その中心にモデルでも嫉妬するような美少女が立っていたのだ。
髪は雪のように白い白銀のロング、瞳はルビーのように透き通る赤、白人のように白い肌をフリルの付いたメイドのような服が包んでいる。スカートもロングではなく、ショートでとても可愛らしい格好だ。
そんな彼女がこちらに気づいたのか、走って近づいてきて …。
「初めまして、こんばんは士郎様。私の名前はフィリア・セレヌディア。これから貴方のメイドとしてお世話になります」
「…は?」
…変な事を言ってきた。
「え、なんて?メイド?いや、それっぽい格好してるなとは思ったけどマジで言ってんの?」
「はい!大マジでございます!そのために異世界から来ました」
…これはアレだ。新手の泥棒だ。あなたのメイドですとか言って家に上がり、好きを見て金だけ奪って逃走…許せん。
そう勝手に解釈した俺は無言でその場から立ち去ろうとしたのだが…。
「え?あ、ちょ…待ってください!!本当なんです!私、貴方のメイドなんです!!」
いや、誰もあなたをメイドにするだなんて言ってませんが。
それにこんな住宅街で泣き叫ばれると近所の人達に迷惑だ。
「わかった、わかったから離せ!とりあえず話だけは聞いてやるから離せ!」
そう言うとフィリアは今の泣き顔が嘘のように笑顔になった。
…悪いやつじゃなさそうだし、家に入れるぐらいは大丈夫かな?
こうして俺は、突然やってきたこのメイド?を家に連れて帰る事にした。