プロローグ(2
学生時代を思い浮かべ、懐かしみながらもう一人を思い出す。
「それなら江田島も呼ばないか」
高校の時、よくつるんでいたメンバーである。
俺は顔がそれ、山口はリアルでそれ、しかし、江田島の外見は人畜無害、家柄も普通だった。
勉学では全国トップクラス、言葉づかいは丁寧。皆に対してはやさしく平等に接して、優等生に見えるが、自分に対して敵対するものに対して容赦はしない。
過剰とも言える脅しと報復、マネーゲームに手を出し高校生ながら多額のポケットマネーを有している。彼は影で経済ヤクザと呼ばれている。
同級生からみれば優等生、彼をよく知る奴らから見れば経済ヤクザ、俺たちからみれば・・・
ただの中二病患者だ。彼の談によるとそう振る舞えばすごくカッコイイ(そう思っている)、その為に勉学、格闘技、交渉術、経済等必死に勉強して自分のカッコイイ理想像にむけて努力しているらしい、たんに俺SUGEEEEEEE!!で悦に入る為に努力しているとか。
彼の本質は中二病患者でオタクだ。凄まじい努力家でもあるが中二病が彼をそうさせるのだから本質には入れない。末期患者とは恐ろしいものだ。
俺たちの前で本性を現した彼の普段とのギャップが酷いことは言うまでもない。
江田島に電話をかける
「おかけになった電話番号は使われ・・」
「ふざけてないでさっさと出ろ」
言葉に若干怒気を込める
「おおつ恐っ、海老原君は本物になってしまったのね」
「誰が本物だっ!!」
「でっ、要件は」
「ったく、山口の所へ久しぶりに遊びにいこうと誘っているのだが」
「ヤクザのリア友からお誘い・・ムフフ、やはり俺はアウトローでカッコイイ」
「何ぶつぶついってんだ?、来るのか来ないのかハッキリしろ」
「私の親友のお誘いを断るはずがありませんよ、もちろん行きます」
「じゃあ、今から山口の家にさっさとこい」
「了解致しました」
全く変わってないなこいつ
「どうだった?」
「来るってよ」
山口がすぐに乗るはずだった、黒塗りの車に一緒に乗せてもらい一路、山口家へと向かう
俺は気になる質問を訪ねてみた。
「なあ、山口 お前就職どうするんだ?」
少しの間を置いて山口が答える
「・・・ 祖父の道場を継ごうかと思っている。」
「親父さんは反対していないのか?」
「別に反対はしていないよ、ただ・・・」
「ただ?」
「少し前に海老原、お前が息子だったらよかったと、言っていたよ」