ドッペルゲンガー
マルチバースでなく?
どこでみつけてきたのかしら
わたしのみがわりなんて
おなじ髪型 おなじ声
だけどまなざしはぜんぜんちがうわ
だきしめられた胸のなか
ひとみをそっと閉じたりせずに わたしなら
その奥を見透かそうと開くもの
いくら似てても どこか似つかない
悲しいドッペルゲンガー
ふたりが入れ替わったら どっちだか
見分けがつかなくなることはないけれど
ほんとはそれぞれが本物で
だれかの偽者なんかじゃない
赤の他人よ まきぞえにしてごめんね
どこをさがしてこようかしら
あなたの替え玉だとか
おなじスーツに おなじシャツ
なのに着こなしがぜんぜんあまいわ
軽く羽織って立てる襟
煽った風に負けたりせずに あなたなら
颯爽となびかせて歩くはずで
たとえ似てても まるで似つかない
憐れなドッペルゲンガー
ふたりが鉢合わせても どっちかが
崩れ堕ちては消えることもないけれど
ほんとはそれぞれの幸せを
生きてる 後釜なんかじゃない
ひとりきりだか ひとりぼっちよ ごめんね