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Trick and Treat

作者: みくた

 猫は一生の内に一度だけ人の言葉を話す。

 以前ネットで見た小話に出て来た言葉だ。

 自分自身その話はあまり信じてはいないが、我が家の黒猫が人語を喋ったら・・・という想像をすることはままある。


 そんなある日のこと。十月三十一日、世間はハロウィンで賑わっていた。

 足下では愛猫がニャーニャーと要求の声を上げている。

「ご飯はもうあげたんだけどな・・・」

 時折、前足の爪をズボンに引っ掛ける黒猫を見つめながら、私は猫用のおやつが戸棚にあることを思い出した。

「まあ、今日はハロウィンだし・・・」

 そう呟きながら戸棚に手を伸ばす。

「トリック オア トリート!」

 足下からやや甲高い声ではっきりと聞こえた。

「・・・!」

 驚いて猫に視線を落とすと、彼は自慢げな表情でこちらを見つめていた。

「・・・お前、喋った?て言うかどこでそんな言葉覚えた?」

 その問いに黒猫はいつも通りニャーと鳴く。

「そう言われてしまっては仕方がない。お菓子をあげよう。」

 私はニヤニヤしながら戸棚から猫用クッキーを取り出し、彼の前に置いた。

 そして、猫は差し出されたクッキーを瞬く間に平らげると、私の足に頬ずりをし満足そうに部屋を出ていった。


 その直後、猫は私のおニューの財布を爪研ぎでズタズタにするというとんでもない悪戯をやらかしてくれた。


「これじゃトリック オア トリートじゃなくてトリック アンド トリートじゃねぇか。」

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