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それでも君に認めさせたい  作者: みおゆ
第五章二節:どこまでもあなたを求む『北千種瑠璃』
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あなたと寄り道して(2)

 ファストフード店を出たわたしたちは、帰り道を歩いていました。


 御大地(みおおじ)くんと過ごす時間はとても早くて、歩みを進めるほど、寂しさが強くなっていきます。


(……でも、また明日学校で会えるんだから)


 そう言い聞かせながら、御大地くんと会話をしながら歩いていると、御大地くんはふと足を止め、わたしの顔を改めてまじまじと見つめてきました。


 その真っ直ぐな眼差しに、また耳たぶが、みるみると熱くなるのを感じるわたし。


「な……なんですか?」


 わたしは聞くと、御大地くんはこう話します。


「……もう少し、寄り道していくか? ……瑠璃(るり)がよければだけれど」

「……っ!」


 ――もう遅い時間です。きっと兄さん、家で待ちくたびれているかもしれないけど……。


 そんな考えが過ぎりながらも、わたしは頷き返していました。



 急遽、わたしたちは近くにあったショッピングセンターへと訪れました。


 ただ中を歩くだけでも楽しかったですが、特に、本屋を巡りながらお互いの好きな作品を語り合うのは、とても楽しかったです。


 御大地くんのおすすめする本があまりにも面白そうだったから、お小遣いから思わず買ってしまいました。


 それに、御大地くんもわたしのおすすめした本、買ってくれましたし。


「暇なとき、読み進めてみるよ」

「はい、わたしもです。ぜひ、感想聞かせてくださいね」


 そう話して、わたしたちは微笑み合いました。


 ――最後に。たまたま通りがかった場所には、ゲームセンターがありました。


 御大地くんは足を止めて、ゲームセンターを見つめていました。


(御大地くん、意外とこういう場所、好きなんでしょうか……?)


 そう思いながら、「こういうところで、よく遊ぶんですか?」と御大地くんに聞いてみました。


 御大地くんはハッとして、気まずそうに目を伏せました。


「好き……というか、その……」


 なんとなく理由を察したわたしは、「構わず、教えてください」と言うと、御大地くんは答えます。


「……前に、円樹(つぶらき)先輩と来たことがあるんだ。瑠璃とこうして関わり合う前に、一度だけ」


「……そうなんですか」


「そのときは、円樹先輩は僕が自分の弟だってこと知らなくて……。もちろん、僕は円樹先輩が自分の姉だって知っていたけれど、断りきれずに、円樹先輩の誘いに乗って、ここに来たことがあってさ」


 ここは、御大地くんと円樹先輩の思い出の地……というわけですね。


「……」


 わたしは、御大地くんの手を引いて、中へと入りました。


「……瑠璃?」

「せっかくですから、ここで遊んでいきましょうよ」


 わたしは、そう誘い笑いかけました。


 御大地くんは特に断ることもせず、着いてきてくれました。



 ……といっても、わたしもこういった場所で遊んだ経験はあまりなく。


「……むっ。全然掴めません! 取れるかどうかのドキドキを楽しむもののはずですのに……そもそもが難しいです!」

「……僕も下手で悪い。僕ら、あんまりこれと相性よくないみたいだ」


 ――UFOキャッチャーは散々な結果でしたし。


「あの太鼓のゲームは知っていますよ。タイミングよくバチを振り下ろすんです。……ただ、画面を見ながら手を動かすというのが、どうにもできなくって」

「……あそこで叩いてる人、どうやってやってるんだ……? 僕は画面を見てても目が追いつかないんだが……」


 ――いっしょにリズムゲームをしようにも、やる前から心折られますし。


「なんだかわたしたち、この場に上手く馴染めませんね」

「そうだな」


 ――結局、グルグルとゲームセンター内を巡るばかりになってしまいました。


 特に遊ぶものもないと思ったわたしは、そろそろここを出ようかと御大地くんに提案しようと思った矢先でした。男女のカップルらしき二人組が、あるエリアから出てきたのを見て、思わず目を止めました。


 あれは――プリクラ、というものです。


 お金を入れて写真を撮る……使ったことはありませんが、クラスメイトでやっている方を見かけたことがあります。


 あれなら……わたしたちにもできるでしょうか。


「……御大地くん」


 ……と、誘おうとして、言葉が詰まります。

 写真なんて、今はスマホでいくらでも撮れますし、それに……。


 わたしは、プリクラエリアの前に立てられた看板を見つめました。


 そこには、『女子のみ・またはカップルのみ入場可』と書かれていました。


 わたしたち……一応、付き合ってはいますけど……。


 でも、わたしたちの関係は、一般のお付き合いされているような、お互い心から愛し合っている方たちとは違う。わたしたちは、お互いに思惑を孕んで付き合っているのですから。


 なんだか、ここに入るのは嘘をついているような気持ちになります。


「――御大地くん。やっぱり、こちらにも円樹先輩と入ったことがあるんですか?」


 ……誘えずに、結局こんなことを聞いてしまいました。


 なんだか。ただ誘うよりも、むしろ過去を詮索しているみたいで、嫌な女になってないでしょうか……。


 はぁ、と小さくため息を洩らすわたし。


 恐る恐る御大地くんを見ると、御大地くんはわたしを見つめ返しました。


「ああ。そのとき、撮り方とか、教えてもらったりもした」


 御大地くんはそっと微笑むと、


「だから、撮り方ならある程度わかる」


 と、言ってくれて。


「……なら、教えてもらいましょうか」


 わたしはそう言って、御大地くんといっしょに、初のプリクラ体験をしたのでした。

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