表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも君に認めさせたい  作者: みおゆ
第四章二節:覚悟問われる『北千種瑠璃』
81/99

だから、向き合えていたのに

 家の用事も終わって、自分の部屋で一人一段落ついたとき、なんとなく、彼の声が聞きたくなった。


 今思えば、それが間違いだったってハッキリ言えます。


 いきなり電話を掛けるのも迷惑だろうから、まずはメッセージを送ったけど、彼の返事はすぐに返ってきませんでした。


 きっと忙しいのでしょう、と思って待っている中、ようやく彼から電話が掛かってきたときは、胸が弾みました。


 でも、すぐに出てあげません。わたしだって散々待ったんですから、御大地(みおおじ)くんのことだって少し待たせてもいい……ですよね?


 ――ああ、でも早く出たい。


 わたしはスマホを手に持ったまま、しばらく着信画面を見つめていました。


 我ながら、何をやっているのだろうと思います。


 10コール目。いい加減彼に電話を切られてしまいそうなので、わたしはやっとその電話を取りました。


「……遅いです」


 電話を出て、思わず第一声が不満になってしまいました。


「……ごめん。ちょっとスマホ見れてなくてさ」


 少し困ったようなトーンで返す御大地くん。


 あまり困らせすぎてもいけないと思ったわたしは、その後もちょっとしたやり取りを交わして、御大地くんとお話をしました。


 今日は放課後いっしょにいれなくて寂しかったですが……こうしてスマホを通じて言葉を交わせて、胸をくすぐるようなうれしさで心が満たされていました。


 このまま、幸せな時間のまま終わるはずだったのに。


 ――『あ、ここにいたんだ。(まもる)、お風呂ありがとうね!』


 最後、電話越しにいきなり飛び込んできたあの声。


 あれは間違いありません――御大地くんのお姉さんである、円樹円(つぶらき まどか)先輩です。


 そして、御大地くんが本当に『恋』している相手……。


 なんで、彼女がここにいるんですか?

 だって御大地くん、自分の家にいるって話されていたじゃないですか。


 つまりそれって、今まさに――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということではないですか。


(『お泊まりデート』……って、ことですか)


 プツン、とわたしの中で何かが切れる音がしました。


 気づけば、わたしは自分の意識の外で電話を切っていて、ベッドに潜り込んでいました。


 ――わかっていました。御大地くんの心は円樹先輩に向いていることなんて。


 それでも、わたしはそんな御大地くんと付き合うと決めたんです。

 そしていつか、御大地くんを振り向かせてみせるって、決意したんです。


 ――それなのに。


(わたし……こんなにも動揺してる)


 悲しい。怖い。辛い。痛い。苦しい。


 どうして御大地くんは円樹先輩といっしょにいるの?

 だって御大地くん、あんなにも話されていたじゃないですか。円樹先輩と――姉とは、決して付き合うわけにはいかないという覚悟を。


 アレは、嘘だったんですか?


 わたし……わたしは……。


「あなたの覚悟を知れたから、あなたと向き合えていたのに……」


 ――ダメだ、わたし。


 しばらく、御大地くんとは話せないかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ