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それでも君に認めさせたい  作者: みおゆ
第四章一節:揺らぎ消えゆく『御大地守』
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衝撃の告白

(……そういえば、このあいだ瑠璃(るり)は何を言いかけてたんだろう)


 放課後の帰り道、ふとそんなことを思い出した僕だったけれど、重要なことだったら改めて瑠璃のほうから言ってくるだろうと、気にするのをやめた。


 今日は瑠璃は家の用事だとかで、いっしょではない。なんだか久しぶりに感じるひとりぼっちの帰り道に、ほんの少しだけ寂しさを覚えつつも、僕は自宅へと向かって真っ直ぐ歩いていた。


「――(まもる)


 そのとき、不意に誰かに声を掛けられた。


 ――否。誰か、といったが、その声で一瞬で誰なのかはハッキリした。この声を、僕は決して忘れることはないのだから。


 ゆっくりと振り返るとそこには――思ったとおり、円樹円(つぶらき まどか)がいた。そう、僕の姉だ。


 相変わらず彼女をひと目見ただけで、僕の鼓動は早く鳴りはじめてしょうがない。


 僕は必死でそれを表に出さないように、平静を装う。


「なんだか久しぶりな感じだね。守、今日は一人なんだ?」

「……そんなことより、円樹先輩って帰り道こっちでしたっけ?」

「こっちのときもある」


 ……なんだ、「こっちのときもある」って……。


 まあいい、僕はそのまま家へ帰るだけだ。


 僕は歩みを再開すると、円樹先輩も当たり前のように僕の隣につき、歩みを合わせてきた。


「……あの」

「なーに?」

「いや、なんで着いてくるんですか」

「アタシ、今日こっちの日だから」


 だからさっきからなんだ、それ……。


「守、瑠璃ちゃんと上手くやってる?」

「な、なんですか急に……」

「いいじゃない。姉として、弟の恋愛進捗は聞いとくべきだと思わない?」

「円樹先輩、都合のいいときだけ姉面してきますよね……」

「いいでしょ。だって、本当にお姉ちゃんなんだもん」


 僕は少しだけため息をついた。でも、嫌なわけじゃない。やっぱり、円樹先輩の横にいると気持ちが弾んでしまう。


「……別に、変わりありませんよ」

「えー。瑠璃ちゃん、それは悲しいと思うなー」

「……あの」

「何?」


 僕は一度足を止め、円樹先輩を見つめた。


「その……どうしたんですか急に。こんなこというのも自意識過剰みたいで嫌ですが、その、円樹先輩は僕のこと――」

「うん、好き。大好き」


 前のめりに言われ、耳朶が熱くなるのを止められない僕。


「……じゃあなんで、瑠璃のこと、聞いてくるんですか」

「ふぅん……。守、瑠璃ちゃんのこと、『瑠璃』って呼ぶようになったんだ」


 円樹先輩はじとーっとした目つきで僕を睨んだ。なんだろう、このちょっとしたひと言が命取りになる感覚。


「……で、本当に何もないの? 恋人らしいこととか、全然?」

「……そんなのない、ですよ。ただいっしょにいることは多くなりましたけど」

「じゃあさじゃあさ! き……キスとかもしないの!?」

「…………」

「……その顔、絶対一回はしてるね。アタシが学祭で見せつけられたのとは別に!」


 名推理を突きつけられ、途端に居心地が悪くなる僕。浮気している人の気分とは、今まさにこんな感じなのだと思う。


「……な、なんなんですかさっきから……」

「……別に、ちょっと聞いてみただけ。守どんな感じかなーって。 好きな人が今どうしてるかなって、すごく気になるじゃん」


 円樹先輩は僕を見つめ、笑う。


「守、自分からは絶対話してくれないからさ」

「……」

「別に、いいんだけれど」


 そんな会話をしているうちに、僕はあることに気づいた。円樹先輩の荷物が、明らかにいつもよりも多いのだ。


 普段なら鞄ひとつのはずだが、今日に限っては、大きめのリュックまで背負っている。


「……あの、円樹先輩。今日はやけに荷物が多いようですが、どうされたんですか?」


 円樹先輩は「ああ、これ?」と一度リュックに視線を動かしてから、再び僕を見てこう答える。


「決まってるじゃない。今日は守の家で、お泊まりする日だもん」

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