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それでも君に認めさせたい  作者: みおゆ
第三章二節:それでも隠す『葛城優子』
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あなたが『恋』をしてから(2)

 週が明け、いつものように登校し教室へ赴くと、すでに(まどか)が着席していた。


「おはよう、円」


 わたしがそう声を掛けると、円は笑顔で「おはよう、優子(ゆうこ)!」と挨拶を返した。


 わたしが席につくなり、円は後ろからこう話しかける。


「優子、今日再テストでしょ? 大丈夫そう?」

「大丈夫よ。円に教えてもらって、土日もしっかり復習したんだから」

「そっか、がんばってね……!」


 親指を立て、グッドポーズをしてみせる円。


 ――なんだか円、憑き物が落ちたみたいな顔してる。


 先週までは失恋を引きずって、落ち込んでいた感じがしてたんだけど……今日はそれがない感じ。


「円……なんかちょっと元気になった?」


 わたしは思い切って聞いてみると、円は「やっぱり優子、だね。なんでもおみとおしなんだもん」と笑ってから、こう言う。


「――アタシ、今度(まもる)に告白しようと思ってね」


 思ってもみなかった円の言葉に、わたしは目を丸くした。


「円……この休みの間に、どんな心境の変化があったのよ……!?」


 わたしは驚きのままにそう聞いた。


「えへへ、休みの間っていうかね、このあいださ、図書室にいたんだけれど、まあちょっといろいろあって、最終的に瑠璃(るり)ちゃんに背中を押してもらったの」

「る……瑠璃が? でも、瑠璃にとって円はライバルみたいなもんじゃない」

「それでも、だよ。お互い全力で想いを吐き出した結果を受け入れるって、あの場で通じあったの」


 正直、訳がわからないわ。

 瑠璃も瑠璃で、なんでそんなことを……。


「彼女の立場になれた、瑠璃なりの余裕……なのかしら?」

「それは違うよ。余裕なんてないはず……今の瑠璃ちゃんにとって、守の『信念』だけが頼りなんだもん」

「信念……?」

「うん。とにかくね、アタシは嘘偽りなく、正直な気持ちでお互いに納得したいの」


 話がハッキリと見えてこない中、円は続けてこう話す。



「――アタシはちゃんと守に、守自身の気持ちを認めさせたいの」



 小悪魔的に笑う円――今まで見たことない表情に、思わず目が釘付けになった。


 わたしはすぐにハッとして、会話に戻る。


「認めさせる……?」

「……そそ。……まあなんというか、守もまだアタシのこと好きだと思うんだよね。だからね、守にはちゃんと気持ちを決めてほしいって思ってるの」

「転校生が円のことが好きって……でも、今は瑠璃とその……付き合っちゃってるわけじゃない?」

「そんなの関係ないよ。結局は守次第なんだから」

「……円、アンタまさか『略奪』しようなんてことを……」


 わたしが恐る恐る言うと、円は曇りない笑みで答える。


「うん! そういうこともあるかもね!」

「円! アンタはいつからそんなと恐ろしい発想を……!」


 わたしがオロオロしていると、円は慌てて両手を振りながら、「いや、そんな真に受けないでよ! 冗談だよ!」と弁明してきた。冗談だとしても、円がそんなこというようになるなんて……恋愛の与える影響って、冗談ならないわ。


「『略奪』する気はないけれど……アタシはきちんと守に向き合ってもらいたいんだ。今後のことも含めて……ね」

「……? ……あのさ、前から気になってるんだけど、円と転校生の間に何かあるの?」


 そう聞くと、円は一瞬目を逸らした。それを見て、円は何か隠してると確信した。


「……いつか落ち着いたら、優子には話すね」


 結局、円にそう返されてしまった。

 前に言われたことと同じだ。


(わたしに隠さなきゃいけないことって、なんなのよ……)


 今までずっといっしょに過ごしてきて、どんな悩み事も話し合ってきたのに。


(結局、わたしは……)


 ――ううん、円が話したくないなら、そっとしてあげなきゃ。


 幼なじみだろうと、話したくないことだってあるわよ。


 ……幼なじみなら。


(……ああ、ほんと最悪だわ)


 ――円が『恋』をしてから、なんだか円が、遠く感じるから。

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