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それでも君に認めさせたい  作者: みおゆ
二章四節:それでも慕う『北千種瑠璃』
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0時前の告白

 学祭でクラスの様々な出し物を巡りながら、わたしはあることを御大地(みおおじ)くんに問いかけることにしました。


「ねぇ、どうしてわたしに声を掛けたんですか? ほかにもクラスメイトはいると思うんですけど」


 ――誘われたことはうれしいですけど、やっぱりどうしても理由は気になるものです。


 御大地くんは少し間を空けてからこう話します。


「クラスで仲のいいやつとか、特にいないし。でも、その中でも北千種(きたちぐさ)さんは話しやすいっていうか」


 御大地くんはわたしを見てふっと優しく笑い、


「北千種さんって、わりと真っ直ぐ物を言ってくれるし、そういうところがいいのかもしれないな」


 と、続けてこう答えてくれました。


「……そういうところ、御大地くんって本当にいけませんね」

「え? なんで?」

「そういうわからないところが、もっとダメです」


 御大地くんは首を傾げていましたが、わたしは「じゃあ、次はどこ行きましょうか」と話を変え、御大地くんとともに別の場所へ移動し始めました。



 途中で見かけたかき氷を買って、わたしと御大地くんは中庭でそれを食べることにしました。

 中庭はいつもどおり静かで、落ち着きます。


「ここは相変わらず静かでいいですね」

「ああ、僕はもうずっとここでもいいな」

「やっぱり、賑わってるところは苦手ですか?」

「まあな。そんなに得意じゃない……でも、楽しかったけど」


『楽しかった』――と、わたしを見ながらそう言ってくれる御大地くん。


 ――ダメだ、ますます好きになってしまう。


 答えなんて、わかりきっているのに。


「今日は付き合ってくれてありがとな」

「いいえ、わたしも楽しかったです」


 ちょっぴり寂しさを覚えることはあったけど、本当にすごく楽しかった。

 学祭だけじゃなくて、もっと……もっといっしょにいたい。


「……あ、そういやもうこんな時間か。これ食べたら、教室(クラス)に戻らないとな」

「……そうですね。楽しい時間ってあっという間ですね」


 わたしがそう言うと、御大地くんは優しく微笑んでくれました。


 ……来年の学祭は、いっしょに巡ってくれるかな。


 円樹(つぶらき)先輩が卒業してしまっている来年じゃあ、今日みたいにわたしに声を掛けてくれるわけないか。


 だったら、やっぱり今日が最後なのかもしれないんですよね――こんなに近くで、御大地くんとお話できるのは。


 学祭が終わったら、きっとわたしたちはいつもどおりのただのクラスメイトになってしまいます。


 でも、わたしはそんなの……。


 ――『お互いさ、全力で『恋』、頑張ろうね!』。

 ――『ま、アンタも頑張りなさい』。


 不意に、脳裏に円樹先輩と葛城(かつらぎ)先輩の応援(エール)が過ぎりました。


(……わたしも、頑張ってみてもいいのかな)


 ()()()()を踏み出せば、ただのクラスメイトじゃなくなることは、明白です。


 その上、それが吉と出るか凶と出るかは、また別の話で。


 現状維持でいいのか、それともわたしも気持ちを知ってもらうのか――決めるのは、わたし自身。


(……)


 ――今ならちょうど二人っきり。想いを伝えるには、絶好のチャンスです。


「――北千種さん、何か言いたげな顔してるけれど、どうした?」


 御大地くんに言われ、ハッとするわたし。


「いえ、別に何も……」


 わたしは慌ててそう答えますが、御大地くんは納得いっていない様子。


 わたしったら深く考え込んでしまって、顔に出てしまっていたようです……。


 しかし、御大地くんから話を振ってくれた今、いよいよこのチャンスしかないのかもしれない。

 このタイミングって、本当におかしなことかもしれないですけど。

 なんとなく、もう今を逃したらダメな気がして……。


「……御大地くん」


 伝えるのなら、彼の目を真っ直ぐ見つめて、ハッキリと。


「御大地くんからしたら、本当にいきなりのことで、驚くかもしれないですけど……ひとつだけ、聞いてもらえますか?」


 御大地くんは一瞬きょとんとした表情を浮かべましたが、静かに頷き、わたしの言葉を待ってくれました。


 ここまで来たら、もう引き下がれませんね。


 わたしは大きく息を吸い込んでから、真っ直ぐと気持ちを解き放ちます。


「――ずっと前からあなたが好きです。わたしと、付き合ってくれませんか?」

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