表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも君に認めさせたい  作者: みおゆ
第一章一節:恋の攻防・先攻→『円樹円』
17/99

初心に戻って

「いっみがわからん! 『後悔』ってなんことよ!?」


 優子(ゆうこ)はそう言って、ダン、とテーブルを叩いた。


「優子、シーっ! ここ、一応お店だから……!」


 アタシは優子を宥めるため、自分のところにあるフライドポテトを優子の口へ突っ込んだ。優子はモグモグとフライドポテトを咀嚼しつつも、まだ表情はムスッとしている。


「ってか、一回先輩のわたしを無視するとかさ、礼儀がなってないわよ!」

(まもる)くん、ちょっとそういうとこあるみたいだからね……」


 アタシは苦笑いを浮かべることしかできない。


「……優子の言うとおり、アタシもその『後悔』っていうのはよくわからない。守くんを好きになると、何かいけないことがあるのかな……」

「アイツ、実は裏社会の人間なんじゃない?」

「まさか、守くんに限ってそんな……! で、でも、守くんがどんな立場でもアタシは……」

「あーダメだ、恋する乙女は正常な判断ができないんだった」


 優子はやれやれと首を振り、ハンバーガーに齧りついた。


「なんかあの転校生見てると煮え切らないわ……。何かあるなら、ハッキリ言えっての」

「すごく言いづらいことなのかな……?」


 アタシたちがこうして話していても、守くんの思惑はまったくわかりそうにない。

 結局、本人の口から話してもらわない限りは進展は難しそうだ。


「でも、守くんはさ……アタシのこと、完全に嫌いってわけじゃない、よね」


 優子はハンバーガーを咥えつつ、目をぱちくりさせた。


「だって今日、お弁当食べてくれたし……わざわざきれいにして返してくれたし。本当に嫌いな相手だったら、そんなことしないよね?」


 優子は渋々「まあ……そうね」と同意してくれた。


「ちょっとそれはうれしい……かも。まだ完全に嫌われてないんだと思ったら、安心したっていうか」


 アタシがそう話すと、優子の表情からは怒りは消えて、呆れが入っているような笑顔に変わった。


(まどか)は、本当に転校生のことが好きなのね」


 改めて言われると、なんだか恥ずかしさを感じた。


「……うん」


 もっと近づきたい。

 守くんのことを知りたい。


 そのためには……守くんの抱える事情を知らないといけない。


「……うぅ〜。でも、守くんってばすごいアタシと壁作ってるみたいだし、あんなこと言うなら、いっそ『あなたが嫌いです、近寄らないでください』みたいに言えばいいんだよ!」

「言われたら言われたで、円ってば一週間は落ち込み続けそう」

「……それは否定できない……たぶん、ずっと優子に慰めてもらいつづける」


それにしても、守くんはどういうつもりであんなことを言ったんだろう。


それを知るためには――。


「守くんに心を開いてもらわないと、何も話を聞けないよね……」


 そんなひとりごとを聞いていた優子は、ふと何か思い出したかのようにこんなことを話す。


「そういえばさ、円って、転校生の連絡先聞いてなくない?」

「……あ」


 言われてみれば確かに……アタシ、守くんの連絡先、一度も聞いたことがない。


 ――聞いたところですぐに教えてくれそうにはないけれど。


「そうよ、まずはやっぱりRAIN(レイン)交換からしないと! 現代において、一番重要なことを見落としていたわ……!」


 優子のいうRAIN(レイン)とは、離れていても簡単にやり取りのできるメッセージアプリのこと。


(優子の言うとおり……学年が違い、校内で関わる機会が少ないこの状況にこそ、気軽に連絡できるようになるRAIN(レイン)交換は、かなりの距離を縮めることができるツールになりうる……!)


 そうと決まれば、次なる目標は――


「よし。アタシ、守くんと連絡先交換……頑張ってみる!」


 ――守くんの連絡先を入手すること!


「……うぅ……いざ聞くって決めると緊張してきた……。優子の情報網とかで、守くんの連絡先持ってたりしない?」

「ないわよ。あと、連絡先はね、無闇矢鱈と洩らさないものなのよ」

「じょ、情報リテラシーがしっかりしている……!」


……だけれど、このくらいでへこたれてなるものですか。


「っていっても、連絡先交換ったって、円、成功する目処はあるの? めちゃくちゃ拒否ってきそうじゃん、あの転校生」

「それなら大丈夫。ひとつだけ……アタシに考えがあるから!」


守くんには()()でいくしかない。


――初心に戻って、アタシらしく真っ直ぐに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ