表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/66

宝石退治

「どれが1番楽かなー」


蜘蛛スパイダーグーザの退治とゲッコウン

あと宝石バリオスか。

この中だとゲッコウンが1番弱いけど、巣ってなると数体、最悪何百体も居る可能性が高い。


人数さえいればいいけど、こっちは二人だ。

あんまり数が多いとキツイな。


そうなるとスパイダーグーザかバリオスの二択。


「私的には、ゲッコウンで良いと思う」

「え? なんでだよ。巣なんだから、大量にいるだろ?」


「んー、いや、私火炎魔法得意なんだよね。だから巣ごと燃やせばいいかなーって思ってさ」

「まあそれもありだけど。もし燃やしてる途中で中からぞろぞろ出てきたら、俺ら終わりだぞ?」


「それもそっか。じゃあこの二択だね」

「あぁ、俺的にはスパイダーグーザのほうが、一体だし良いと思うけど」


「いや、井戸の中だと火炎魔法使えないんだよ。蒸し焼きになっちゃうし」


ちなみに、スパイダーグーザが住み着いている井戸は通常の井戸とは異なっているらしい。

大量に貯水するため、下が民家一個分くらいの大きさがあるんだとか。


「じゃあ俺が一人で倒してくるよ」

「それは私のプライドが許さないの」


プライドかよ。


「てか、火炎魔法ならビースタムも倒せたんじゃないのか?」

「あそこ大森林だったでしょ? 火炎魔法は木に燃え移るし、私水魔法使えないからさ」

「なるほど」


じゃあ決定だな。


「じゃあ宝石バリオスでお願いします」


「分かりました。任務の終了期限は今から24時間後までとなります。それまでに任務を終わらせることが出来なかった場合、任務の報酬は無しとなりますので、お気をつけてください」


初任務はバリオス討伐か。

バリオスならあまり強くもないし、三体なら二人もいれば充分だな。


「そういえば! フォルネってさ、なんでフォルネって名前なわけ?確かフォルネって言ったら大昔に人間を大虐殺した悪魔の名前よね?」


そこに触れてくるか。


「俺も、よく分からないんだ。俺が物心ついたときにはもう、母さんも父さんも居なくて、姉さんしか居なかった。母さんと父さんは多分死んだんだと思う」


「そう。ならフォルネは今までお姉さんとずっと二人で暮らしてたってわけ?」


でも、その生活も悪くはなかった。

姉さんと二人の生活も、寂しくはなかったし。


「まあね、だから姉さん、今家に1人なんだ」

「まあ、彼氏とかと居るんじゃない? お姉さん、彼氏とかいなかったの?」


姉さんに彼氏…彼氏。


「旅に出る前に、彼氏が居るから大丈夫的なことは言ってたかな」

「なら大丈夫よ。なに、心配なの?」

「そりゃそうだろ。俺のたった一人の家族だ」


そうかぁ、彼氏か…

俺は悲しいぜ。あの優しい姉さんが他の人に取られるなんて。


手紙も、書いておくか。

無事村についたって、リアムのことも書こう。


「じゃ、また明日。朝起きたら私の部屋のドアノックして、それじゃおやすみ」


宿に着いた。

しばらくはここに留まる事になりそうだな。

お金はまだ充分にあるし、任務で稼げばいいか。


手紙、書くか。

とりあえず、俺の無事を伝えよう。

それと、リアムのこと。

新人狩りのことは…心配させるから書かなくていいか。

姉さん、元気だといいなぁ。

あ、パッチンにも書かないと。


――――――


3日後 ラリバー家にて


「すみませーん!!!」

この声は、パッチン君かな?

「はーい、いきなりどうしたの? パッチン君」

「あの、フォルネから手紙届いてましたか?」


手紙…?


たしかに、パッチン君の右手には手紙がある。


「それ、フォルネから?」

「はい、そうみたいです」


「ありがとう、確認してみるね」

「はい!」


フォルネから手紙。

何かあったのかな…

心配だ。

新人狩りとかにあってないかな。


ポストポスト…あ、手紙入ってる。

なになに?


サユリ姉さんへ


お元気ですか? 俺は元気です。

近くの村…確かハリムという村に向かっている途中、ザラキムの大森林にいた魔物を討伐し、そこで、リアムという魔法使いを助け、共に行動をすることになりました。

リアムとは正式なパーティを組みました。

姉さんは彼氏がいると言っていたけど、式をあげる時は呼んでください。

飛んでいきます。

これからも元気でいてください。


親愛なる弟フォルネ・ラリバーより


「よかった、無事で」

じゃあ、私も彼氏作りに行きますかぁ。


――――――


ちゃんと、手紙届くと良いな。

明日は初任務だし、早めに寝よう。

しっかりご飯も食べてな。

てか、姉さんの弁当は美味しかったな。

お弁当10個ぐらい欲しかった。

てか、結局貰った装備付けてないな。

装備ってなんか重いし嫌なんだよな。


鞄の中から、いくつかの装備を取り出してみる。

ふむ、これか。


貰ったのは、脚力増加靴ジャンプシューズ 鎧 龍のドラゴンスレイヤーの3つだ。


脚力増加靴は、その名の通りジャンプ力を上げる効果があります。


鎧は胴体を守る効果があります。


龍の爪は腕に装着すると、龍の爪のように鋭い刃を出すことの出来る装備です。


と、書いてある。

この装備をくれた人が書いてくれたのだろうか。


鎧は暑苦しいし付けたくないな。

脚力増加靴は付けよう。靴だし。


龍の爪は、もう既に剣があるし邪魔になるだけだな。

仲間が増えたらそいつにやろう。


風呂にでも入るかあ。


―――――

そのころリアムは


フォルネ…か


黒色の髪で、キリッとした目。

それに、特徴的なのはあの青い瞳よ。

あれを見てると、何故か引き込まれそうになる。


名前聞いた時は驚いたけど、全然悪い奴じゃないんだよね。

流石に彼氏にするには小さい。

私は背の高い男がタイプだしね。


私が14で、あいつが確か12。

あ、でも2歳差か。

ガキとか言っちゃったけど、対して差なんてないな。


ま、勇者とパーティ組めるなんて、思ってもなかった。

でも、フォルネが勇者ってことはあまり広まってないみたい。


公にすると、魔神軍に寝込みを襲われたりするからってことかな。

でもあいつ、ほぼ初対面の私に事情をペラペラと喋っていたけど。


まあいっか。お風呂入って寝よーっと


――――

翌朝


おはようございます。フォルネです。

鳥が鳴いてます。


確か、起きたらリアムの部屋のドアをノックしろって言ってたな。

顔洗お。


「おーい、リアム」

あー、ねみぃ…

「ん、おはよ、フォルネ。入っていいよ」

リアムも寝起きじゃんか


「どうする? いつから任務行く?」

「じゃあ朝ごはんたべてからにしよう」

「分かった。準備できたら教えて」

「はーい」


寝起きってやっぱ、やる気でないな。

いいや、やる気でないじゃなくて、出さないといけないんだ。

そうだよ。

弱い魔物って言っても命掛かってる理由だし。


「よし、じゃあ行こ!」

リアムって、魔法使いなのに帽子をかぶっていないよな。

俺の中のイメージだと、ローブを羽織っていて、変な形の帽子を被ってるってのが魔法使いのイメージだったんだけど。


「今日は新しいご飯屋よ、昨日とは違うとこ」

「マジ? 楽しみー」

「もうちょっとで着くよ」


ここらへんって、ご飯屋あったっけ。

隠れ家的なご飯屋なのか。


「てか、なんでこんなに知ってるんだ?」

「んー、前に何度か来たことがあってね。それで色々見つけたんだよ」


そうか。

俺は初めてでも、リアムは何回も来たことあんのか。


「ここよ」


これって、酒場じゃないか?

「え、これって」

「そう、酒場。でもご飯が美味いのよ」


まあ、酒場ってご飯美味いしな。

あんまり行ったこと無いけど。


木製のドアを開けると、多くの冒険者らしき人がいた。


「らっしゃい。お、お若いカップル? ならオレンジジュースでもサービスしちゃおうかな」

周りは大笑い。

否定する間もなく席に案内された。


「ご注文は?」

えっと、メニューメニュー。これか。

「いいわよ。メニュー見なくて、えっと、モーニングセット2つお願いします」

ホントに詳しいな。


「モーニングセット2つですね。他にご注文ありますか?」

「いえ、大丈夫です」


結構人が多いな。

こんなに集まるもんなのか。


「てかカップルだと思われてるけど、いいのかよ」

「こうゆうのはそのフリをしておけばいいの。そんな気にしなくていいわよ」


そんなもんなのか。

別に嫌な気はしないけど


「なあリアムってなんで魔法使いなのに帽子被ってないんだよ」

「はあ? あんたホントに魔法使いが全員帽子被ると思ってたの?フォルネって面白い」


リアムはくすっと笑ったあと、机に突っ伏した。

そして、少し顔を見せて言った。


「魔法使いがよく帽子を被ってるのは、大体が魔力強化のためよ。魔法使いがよく被る帽子は、魔力を強化する力があるの。まあ結構たかいんだけどね。それでも魔法の威力がぐんと上がるから、使う人も多いのよ」

「じゃあ、なんでリアムは被らないの?」


「邪魔なのと、ただ単にお金をそれに使いたくないから」


なるほど、でも今でも結構強いんだから、それを被ればもっと強くなれるのに。


「はい、お待たせぇ!! モーニングセットお二つと、サービスのオレンジジュース! お幸せにな!」

「ありがとうございます」


リアムはニコッと笑ってモーニングセットを取った。

「じゃ、いただきまーす」


宝石バリオスは、ハリム村から西に進んだとこにある廃れた民家に生息しているらしい。

情報によれば3体。

だが問題ない。


こっちには天下無敵のリアムがいる。

「よし、じゃあいくわよ」

「頼む」

「『炎の踊り(ファイアカーニバル)』!!!」


杖の先から、大きな炎の玉が発射され、着弾した瞬間、炎が踊りだしたかのように民家を囲う。


「これは炎の結界、これ自体に民家を燃やしたりする効果はないから安心して」


バリオスが逃げ出さないためにってことね。

結構しっかりしてんじゃん。


「おじゃましまーす」

静かだ。

鳴っているのは炎の結界のバチバチという音だけ。

それ以外、物音は一切しない。


「やっぱりいるわ、バリオスが」

剣を抜き、リアムは杖を構え、

背中同士をくっつけて、俺は前を、リアムは後ろを警戒する。


足元に、何かが転がった。

なんだ。

目を凝らして、視る。

これが、バリオスか…?

いや、これは只の宝石

――まさか!


「危ない! 伏せて!」

恐ろしく速く、背中の上を飛ぶ物。


「いる。バリオスが…!」

どこだ。どこにいる。


「室内だと火炎魔法は危険。フォルネ、一旦外に出ましょう!」

「いや、動くな」

「え!? なんでよ!」


しくった。

バリオスの数は3体じゃない。

恐らくだが、100はいる。

任務の説明には3体討伐とだけ書いてた。

どこが3体だ。

どうみても100体はいるぞ。


「恐らく、バリオスは100体か、それ以上居る。動いたら一斉に攻撃される」

「は? じゃあ動けないじゃん!」

「だから、俺に考えがある。まず、俺が囮になって攻撃を受ける」


「いきなりぶっ飛びすぎ! バリオスがいくら弱いからって100体から攻撃受けたらあんた死ぬよ!」

「だから、治癒魔法を俺にかけてくれ。即死じゃなければ回復出来るんだろ?」


「即死だったら?」

「もう一回パーティ組み直してくれ!!」

「んー、そんなの無理! だからフォルネ! あんたはここでは死なせない。」

「あぁ、頼む。俺が外に出た瞬間、なんでも良いから魔法を撃て!」


これはリアムにかかってる。

火炎魔法は使えないとなると、他の魔法は何かしら使えないのか。


「なんか火炎魔法以外に使えないのか?」

「使えるけど、1度きり」


どうゆうことだ。


「私は火炎魔法と治癒魔法をほとんどノーコストで使える代わりに、他の魔法に使える分の魔力がほぼ無いの、だから1度だけしか撃てない」

「分かった。頼む」


じゃあ、やろう。


「俺が動き出したら、杖を俺の方へ向けて魔法を撃て!」

「分かった!」


地を蹴り、出口へと走る。

「うッ!!!!!!」

足に、腕にバリオスが貫通する。

走れない。走れないけど、飛べ。飛んでこの勢いを大切にしろ。

出口に、飛べ‼


脚力増加靴ジャンプシューズはジャンプ力を上げれる。


「うおおお!! 飛んだァア‼」


「『氷の螺旋(アイススパイラル)』!!」


氷の刃が大量のバリオスを貫き、落とす。

急いでリアムは出口へと走り、フォルネに杖を向ける。


「『癒しの風(ヒーリングウィンド)』」

体の傷がみるみる治っていき、立ち上がる。


「良かった…作戦成功して」

「それより、私はあんたが生きてたことのほうが嬉しいけどね」

「なんだそれ。なんか照れるな」


――


「え、えぇええ!? こんなに居たんですか? 申し訳ありません。私もてっきり、3体しかバリオスが居ないと思ってまして……」

「いいんですよ。二人共生きてますから」


報酬は12銅だった

12銅なら、宿二泊分だ。

それに、それは3体だけの報酬だったから魔物屋でバリオスの死体を全部売ったらなんと、400銅。つまり40銀になった。

これでだいぶ安心だ。


「今度からは、任務でのあらゆる事態を想定しましょ」

「そうだな。今日みたいなことはもう嫌だし…」


「今日は初任務無事帰ってこれた記念として、食べまくるぞーーー!!!」

「おーー!!」

ここまでみてくれた方、よろしければいいねとブックマーク登録、お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ