表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな力が集まったら  作者: ちゃい
4/30

王都の神殿

「神官さん着いたよ」

「ありがとうございます、助かりました」

 商人のおじさんは、王城の前まで運んでくれた。お礼に銀を渡した。

 荷台からなぜか猫も一緒に降りると、人の流れとともに王城に入った。神官が行列を作っている。


 行列はある人数で区切られて、どこかに入るようだ。大広間かな、そこに入ると演説を聴いて、登録して、外に出るらしい。王城での神官登録が必要だ、と前にいる二人組が話している。


「なんのための登録だろう?」

「新王の新しい仕組みなんだろうけど、面倒なことするなあ」


 神官は所属する神殿での修行を終えてから、神官長に任命されてその神殿の神官になる。すでに神殿ごとに神官は登録されているし、王の許可でなるものではなかったはずなんだけど。 


「こんなに大勢神官を集めて、何するんだろうなあ」

 何でしょうねえ、嫌な予感しかしないな。


「魔王が来るっていううわさだし、関係あるのかなあ」

 やっぱりそう思うよね。


「にゃ」

 猫もそう思うんだ、これも登録するのかな。


 そろそろ順番になるようだ。ぞろぞろと300人くらいが一度に大広間に入る。前の方に少し空間があって、そこに勇者の王がいるようだ。人の頭越しに王冠がやっと見えるくらい。


 元気のいい声は聞こえるんだけど、何を言っているのか内容がはっきりしない、まだ若い王様みたい。

「おおー!」

 お、おお。これで終わりのようだ。一人ずつ紙に記名して部屋を出る。これに手間取って行列になっているんだな。

 猫は記名なしで外に出た。小さな名札をもらった。


『魔物討伐神官団』と書いてある。やっぱりそういうことなんだね。

「にゃあ、にゃあああ」

 なんで鳴いたの? 魔物討伐したいのか、猫が魔物なのか。それにしてもこの猫、いつまでついてくるんだろう。

 なんだか猫はうきうきしていて、足どりが軽い。


 王城から王都の神殿に向かう人が多い、何してるんだろう? そのまま歩いてついていくと、神殿の中に人が集まっていて、暑苦しいことになっていた。


「私は東部で一番の実力者です!」

 突然、叫び出す人もいる。ああ、そういえば、権力争いしてるって言ってたなあ、これか。


 誰かが、とんとん、と背中をたたいた。後ろを振り返ると、あんまり会いたくない、見知った顔が見えた。

「ここへは来ないって言ったよなあ、何しに来た?」

 にゃあー! 猫が答えた。同じ神殿にいた、先輩神官だった。

「ええ、この猫が、どうしても王都に行きたいと言ってですね」

「猫がそんなこと言うか!」

 にゃあ、にゃあ。言ってないけど鳴くんですよ、これが。

「俺たちの邪魔はするなよ」

「はいはい、人の迷惑にならないように生きてますから、邪魔なんてしませんよ」

 どうだか、と言いながら先輩は去って行った。今まで私に邪魔されたことがある、みたいにきこえちゃって困るな。こっちの方が気の強いあなたに振り回されてましたけどね。

 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ