表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな力が集まったら  作者: ちゃい
27/30

時間の渦

 シューがなぜか掲げていた古い紙を落とすと、そこから声が聞こえた。


(一緒に来るか?)


 シューが力を使っているのか、怪しい絵の力なのか。

 一緒に来るか? と声を響かせながら、古い紙がわたしたちの周りを回転し始めた。


「わからない、どうしたらいいの?」


 少女が怪しい絵に答えると、古い紙の回転が早くなり、書庫が次第にきれいになっていった。

 時間の渦の中に閉じ込められたかのように、この場所の時間が巻き戻されているようだ。


 紙の回転が止まって時間の渦が消えると、絵に描かれた何かが現れた。


「冥界の神様、どうしたらいいんでしょう?」

 少女がその何かを、冥界の神様だと言う。


(今ここに戻りたいなら、簡単に戻ることができる)


 時間が戻っているなら、ここは白猫がいた頃の猫の神様の神殿なのかな。

 少女はなぜか、振り返ってシューを見た。


「嫌だ、行かないで」

 小さな声で、祈るようにシューが言う。

 少女が戻ったら、この神殿のように砂に埋もれて消えてしまうのだろうか。


 少女は隣に来たシューの手を握った。


(そこには、存在する理由ができたのだな)


「はい」

 少女が返事をする。


(つながりを断ち切ることができないなら、戻れない)


「猫の神様のところには、もう戻れない」

 少女は自分に言い聞かせるように言った。

 神の使いとは、人間とのつながりが存在の理由になるのだな。


(そうだ、自由に選んだ、わかるか)


「にゃ〜」

 少女は、わかった、と大きな声で答えた。


 冥界の神様は、少し笑っている。

 猫の神様も冥界の神様も、優しいな。


 少女はシューの手を握ったまま、冥界の神様に、にゃ〜と挨拶した。


 すると古い紙はそこに残されたまま、時間の渦だけがわたしたちの周りで回転し始めた。


 冥界の神様は、冥界に残った。

 あ、もしかして、三人とも冥界の神様のところに残る可能性もあったってこと?


「シュー、死ぬところだったかも」


「ああ、冥界の神様ってそうか、猫の神様の使いの答え方が違っていたら、この時代では死んでいたかもしれないんですね」


 地下通路から地上に出ると、砂嵐が止んで日が射していた。

 廃墟は意外と街道に近くて、すぐそこに街道を通る商人が見えた。


 偶然この時代に生きて戻ったのだな、そう思うと体が少し震えた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ