砂の中の神殿
「すごい砂だね」
朝神殿を出て、街道から砂漠を歩き、やっと到着した神殿跡は砂の中にあった。
「にゃ、にゃ、にゃ」
「なんとなくわかるようになったんだけど、ここでいいんだね」
「にゃ〜」
白猫は、ここが自分のいた神殿だと言う。
「なんでわかるんですか、うわっ、すごい砂嵐でよく見えないでしょう」
白猫を抱えたシューは、砂嵐で飛ばされそうになっている。
ナナとおばばが来なくてよかったな。
ナナには安心して本を任せられる、と言われた。
かよわい魔術師が、砂漠で本の発掘などできないそうだ。
今日も町の本屋に通っているだろう。
「砂を掘るなんて無理ですよ、どんどん積もっていく、うわっ」
そうだね、こうやって神殿は埋もれていったんだね。
シューはそう言いながらも、いくつかつむじ風を放った。
それは崩れた柱の塊に当たって、柱の周りの砂を巻き上げた。
「あ、大きな柱の下に黒い穴が見えます」
シューが見つけた黒い穴は、人間が入れるくらいの大きさだ。
「砂嵐がひどいから、穴に入れるなら入った方がいいかも」
近づくと思っていたより大きな空洞で、簡単に入れそうだ。
「わあ、通路になってる」
入ってみると、シューの声が反響するほどの広い地下通路が下に向かって延びていた。
白猫が、シューの腕からぴょんと飛び降りて少女の姿になった。
「ここ知ってる、地下に倉庫があるの」
少女と地下に向かって歩き出すと、下は真っ暗でなにも見えない。
なぜか少し下ったところに古い形のランプが置いてあったから、魔人の力で火をつけた。
地下通路を知っている少女が前を歩いて、その後ろをゆっくり下って行く。
地下の広い場所に着くと、いくつかの部屋に分かれていた。
食料庫らしい部屋でランプを掲げると、多くのワインの壺と古い箱が残されていた。
次の部屋には祭具が保管されていたようだ。
乱暴に持ち出されたのか、床に小さな部品が転がっている。
その次の部屋は書庫だったのだろう。
巻物が置かれた専用の棚だけが壁沿いに並んでいる。
なにも残っていないようだけど。
「棚に一枚だけ紙がある」
シューが、真ん中に怪しい絵が描かれた古い紙切れを手に取って掲げた。
なんで残っているんだろう。
この部屋に必要な封印みたいなものなのかな。




