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小さな力が集まったら  作者: ちゃい
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故郷への旅 

 朝になり、商人が出発する時間が近づいている。


 白猫とシューも、わたしの故郷へ行くことになった。

 白猫が砂を掘っていた神殿は、故郷の神殿の近くにあるらしい。


 交渉して、商人と一緒に旅をすることになっている。


 女神様の祭りは、毎年数十万人の人出があるという。

 船で遠い街から来た人たちは、港から神殿まで歩く。

 街の中にいると、神殿へ向かう人の波に流されそうになる。


 街道に近いところで待っていると、楽器を持った人たちの歌う声が聞こえてくる。

 竪琴、笛、太鼓と誰かの歌声。

 美しい衣装と装飾品を身につけた、多くの人の楽しそうな声。

 女性たちが、音楽に合わせて舞い踊っている。


 美味しそうな食べ物が、多くの店で売られている。

 音楽と、食べ物の香りと、人々の美しい服が、街を華やかなものにしている。


 少し前にあった争いの空間が、楽しいことで埋められる。

 街が祝福されているようだ。


「やあ、待たせたね、祭りで道が混んですっかり遅くなってしまった」

 商人のおじさんが、笑顔で現れた。


 荷物と一緒に連れていってもらうので、お礼を言って荷台に乗った。

 シューは白猫を抱えて、隣に座った。


 白猫はシューに抱えられて、心地よさそうに眠っている。

 シューは魔人になったことを憎んでいたはずなのに、魔物の猫を抱えて楽しそうにしている。


 祝福された街にいるわたしたちは、魔人や魔物なのだろうか。

 昔からこの世界の言葉で表現できない力は、魔とよばれて怖れられていた。


 それが神の力でも、そう扱われているようだ。


(迷子がおかしな所へ行ってしまった)

 白猫は、神像の猫の神様にそう言われたそうだ。


 猫の神様のかすかな笑顔を思い出す。

 この時代のこの場所に来て魔物のようになっている猫は、ありえない迷子だろう。


「神様がそこで自由にしていなさい、って言ったけど、どうしていいかわからないからもう一度神殿に行くの」

 と白猫が少女の姿で昨日話していた。


 白猫が少女に変身してお使いする、ということが神様の力の一部なら、その魔物のような猫は、魔ではなく神によるものだ。


 魔物のような猫が神様の力なら、本物の魔物ってなんだろう。

 目に見えない不思議な力は、神の力だったり魔の力だったりしながら、ここにあるのか。


 見えないから、見分けがつかないね。

 


 





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