女神様の神官
王宮の後ろに戻ると、責任者の神官が待っていた。
「立派な火柱になった」
と満足そうに火柱を見上げていた。
わたしとシューの他に、白い服の少女がいても気にならないようだ。
王宮の左側がお祭りのような状態になっていることは、ここにいてもわかるのだろう。
弦楽器や笛や太鼓の音、人々の歌う声が響いている。
「久しぶりに女神様の歌を聞いた、この作戦はきっとうまくいくだろう」
責任者である年配の神官が、うれしそうに話す。
神殿では礼拝も禁止されて、どうしたものか、と悩む日々だったのかもしれない。
ここの火柱は、魔人の力で王宮より高く燃え上がっている。
「周りに大きな火柱があったら、王様も安心して眠れないでしょうね」
シューが話すのを、きょとんとした顔で少女が見ている。
少女の姿なのに、にゃ、と返事をした。
「こんなのが数日続いたら、おかしくなりそうだね」
頼りになるはずの兵士たちは、抵抗が激しいと報告しているはずだ。
「数日で終わるだろう、それまで頑張ってくれ」
という責任者の神官に、はい、と返事をした。
翌日、広場の張り紙が新しくなった。
王は、女神様の神殿を攻撃しない、と書かれていた。
火柱の抵抗は、効果があったようだ。
王が世襲ではなく、前王を倒すという、交代できるほど軽いものになったこと。
女神信仰をやめることに、反対する人が多かったこと。
理由はいろいろあるけれど、わたしたちは抵抗によって勝ち取る事実を残した。
王宮の脇のお祭り騒ぎは、そのまま神殿に移動するようだ。
神殿に戻って、女神様のためにお祭りをする。
神官たちや神殿関係者の仕事は、これまで通り続けられる。
神殿に集まった人たちは、お祭りの準備を始めた。
そこから離れたところで、異民族の兵士に感謝する歌と踊りが始まった。
女神様の神殿の楽師たちが感謝しても、それは異民族の信仰ではない。
この違いは、どうすることもできない。
それでも今は、協力してくれたことに感謝する。
女神様は、すべてご存知だったのだろうか。
わたしは、すべてわかっていた女神様に、行きなさい、と促されたのだろうか。
魔人の力を持ったわたしとシューは、まだ女神様に見守られている気がしている。
白猫の少女も、魔物だけど同じだ。
それにしてもこの魔物の女の子、どうしよう。




