王の兵士たち
神殿に来てみると、王都の住民とこの国の兵士たちは神殿を守っていた。
異民族の兵士たちと対峙している。
「あの王がなにをしてくれたっていうんだ、王宮から出てこない王が英雄か?」
「昔の英雄王のように、戦の前線で大きな成果をあげたわけじゃない、前王を倒しただけだ」
と神殿を守る兵士が言うと、
「あの勇者を英雄王として認めているわけじゃないが、他国の古い宗教は嫌だ」
「この国は火の神の信仰を認めていない、なぜ女神信仰だけが特別なんだ」
と異民族の兵士が言う。
異民族の兵士も王を英雄だとは思っていない。
「この国には多くの民族が住んでいる、どの民族の宗教も禁止していないはずだ」
と神官が答える。
争っているわけではないようだ。
兵士たちは敵ではないから、意見交換できる。
「わかっている、だが、古い信仰ではなくて、新しい信仰を求めてもいいのではないか」
異民族の兵士の意見は、わたしたちが最初に望んだものだ。
誰もがこの大きな商業都市で、多くの民族が共存できるような新しい宗教を……。
と考えていたし、新しい王にそれを望んでいたのだ。
残念ながら、王はそれほどの力を持つ人間ではなかった。
自分を無理やり神格化したいだけの、個人的なことしか考えられない人間だった。
「さあ、これではっきりした、兵士たちはこの街を破壊したいわけじゃない」
長老の神官が話し始めた。
「どの宗教も、尊重されるべきだ」
そうですね。
「この神殿も、守りたい」
異民族の兵士たちも納得しているようで、反論しない。
「王の考えを変えさせるために、協力してくれないか」
「どうするんですか?」
この国の兵士が神官に尋ねた。
「王が降参して、神殿を攻撃しなくなるまで、抵抗が激しいことにしてほしい。
あの大きな火柱をいくつも発生させて、抵抗していることにするんだ」
火柱で抵抗することに?
「管理して安全に火柱を発生させてほしい、協力すればできるだろう?」
長老の神官は簡単に言うけど、できますかね?
「火を管理するだけなら協力しましょう、火の神も認めてくださるでしょう」
異民族の兵士もやる気になっている。
「やりましょう、火を起こして、でもどうやってあんなに大きな火柱を?」
兵士が質問する。
魔人の力ですよ、とは言えない。




