王都の反乱
朝から大きな声が聞こえた。
ガチャン、と何かが割れる音がして、言い争う人の声が大通りに響いた。
寝台から起き上がって宿屋の窓から外を見ると、異民族の兵士に物を投げる商人がいた。
なにをしているんだ、と思って見ていると、異民族の兵士が燃える水に火をつけて店先に投げた。
店は大きな炎に包まれ、近くにいた人が悲鳴を上げて逃げていく。
火をつけた異民族の兵士が王宮がある丘の方へ逃げると、そこにいた人たちが兵士を追った。
走る兵士に投げた石や物が、大通りの店先を壊しながら進んでいる。
まるで大きな魔物が街中に突然現れたかのように、破壊されていく。
「行きましょう、大変なことになってます」
シューも起きていて、窓から外を見ていた。
「ああ、急いで行かないと」
あわてて宿屋から外に出て、走る人たちを追った。
逃げる異民族の兵士の仲間が集まってきて、街の人たちに反撃しながら進んでいる。
追う側も追われる側も、攻撃したり避けたりしながら丘へ向かった。
丘に着いたときには、数百人ほどの破壊者の群れになっていた。
兵士たちが丘に上ると、
「火を放て!」
と誰かが言う。
何度も火がつけられた丘に、誰かが火を放った。
慣れているのか、大きく弧を描いて高いところに火が付いた。
いつもなら下の方でくすぶって、しばらく燃えて消えていたのだろう。
でも今日は、乾燥していて風が強かったせいか、あっという間に燃え広がった。
そんなつもりはなかったのかもしれない。
王宮がある丘全体に火が燃え広がると、街の人たちが動揺し始めた。
「このままでは王宮が燃えてしまう!」
火をつけた誰かが叫んだ。
早く消さないと、大変なことになる。
丸く王宮を包むように燃え上がった炎は、中のものを焼き尽くしてしまいそうだ。
「どうしましょう、風を起こしたらもっと燃えてしまう」
シューが困った顔でこちらを見る。
どうしたらいいの?
「火を操れるはずですよね」
操れるのかな?
「制御してくださいよ」
「えー、そんなこと、できるの?」
「できなきゃ、全部燃えてしまいます」
シューは自分が風を操るように、わたしも火を操れると思っているようだ。
火を出したことしかないんだけど、できなくてもやらなきゃ燃えてしまう。
「まず、火を出すね」
丸く王宮を囲んだ炎の上にさらに火柱が上がって、人々の叫び声が聞こえた。
それを制御するって、弱火にする感じかな。
「えいっ!」
声を出して念じると、火が小さくなった。
おお、操るって、こういうことか。
このあと、どうしたらいいんだろう。




