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小さな力が集まったら  作者: ちゃい
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神殿を取り戻す

 多くの人が見ていたようで、最後の置物が着地すると大きな拍手が聞こえた。


「女神様の奇跡だ」

 どこからともなく声が上がった。


 人々が神殿に向かって祈るのを見ていると、複雑な気持ちになる。

 魔人の力は、女神様の奇跡と勘違いされている。

 本当かどうかよりも、人々がそう信じたことが重要なんだろうか。

 それとも女神様の思し召しなのだろうか。


 丸い動物の置物は、神殿を守った奇跡の兵士にでもなったのか。

 喜んだ人たちが次々と手に取って、神殿へ運んでいく。


「いいんですか、持っていかれますよ」

 シューが商人にきくと、

「いいんだ、あれはもう女神様の使いになったんだ」

 と割れた置物の破片を集めながら答えた。


 神殿に着くと、兵士が入り口で警備していた。

 手に女神様のご加護がある置物を持った人々が来ると、

 一瞬防ごうと構えた兵士は、つむじ風で扉が開くように回転した。


 兵士が道を開けると、神殿に入った人々は声を合わせて礼拝した。

 石造りの広い神殿に人々の声が響くと、神殿に再び生気が戻った気がした。

 浄化された特別な力が神殿に満ちている。

 女神様の力が、この場所をめざして遥か彼方から届いたかのように。


 祭壇が荒らされた神殿の床に、丸い動物の置物が置かれた。

 礼拝の声に応えるように、置物が神殿を守っている。

 王ではない。

 この神殿の主は、人間ではない。

 もっと特別な力がここにある。

 兵士たちもそう思ったのか、礼拝が邪魔されることはなかった。


 北の神殿では、女神様の奇跡が続いた。

 町の中で評判になって、王の命令に従うはずの兵士もそれを認めている。

 北の町は、女神様の神殿を守ることで一致している。

 王が命令しても、そうではないと多くの人が思ったなら、信仰されない。


「魔人の力が役に立ちましたね、でも、自分の力ではない気がしました」

 とシューがいう。

「なんで?」

「女神様の力なんですよ、魔人も人と同じで、神様の下で生かされている気がします」

 そうなんだ。

「じゃあ、魔法使いのおばばが神殿にいてもいいんだね」

「え?」

「故郷の神殿には、昔から魔法使いのおばばがいてね」

「えーっ! 最初からおかしなことになっていたんですね」

 そうなのかな、魔人も人も同じ、って言ったのに。

「女神様の声も時々聞こえたよ」

「何言ってるんですか、そんな神官いませんよ」

 そうなの? シューには聞こえないのか。

 



 


 

 


 

 

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