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救世のディアフトライ  作者: 波多見錘


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THE DESTRUCTION

 さすがに警察関係の集団が陣を引いているところに真司は突っ込めない。


 現在、彼は変身せずに建物の陰に隠れるように魔物と警察が交戦している様子を見ていた。

 前とは違い完ぺきとは言えないものの、作戦を立ててうまくやっているようだった。


 だが、その中でひときわ目立つのは一人だけ装備が違う者。

 たった一人だけ機械に身を包んで、他とは違う装備で、ほかの人間以上に魔物との接近戦をくり広げている。


 新たに新設された特殊部隊のDBTということは見ているだけの真司でもわかった。

 あれだけ魔物―――デモニア対策を望む世間に対して出された答えがそれだと大きく報道されたからだ。しかし、編成人数が2人であることには大きな批判の声があつまったが、政府や警察が押し切ったせいで、それが反映されることはなく、メンバーの人数は変わらずそのまま導入されたことで今世間の注目が集まっている。


 そして、それだけ騒がれているのだから、戦えること以外一般人の真司が知らない術などない。そして、ここで真司が出ない理由。それは、DBTに下されている命令。


 『第0号を討伐せよ』


 これは大々的に報道され、彼のことを敵だという勢力の後押しを受けている。


 しかし、状況は芳しくない。

 初めての実践。中東などと違い、経験がない者たちのテロ以上の制圧をしろと言われても無理なもの。本来なら警察特殊部隊が当たるべきだが、その前に作り出した組織で結果を出さなければ意味がなく、特殊部隊の出動は完全にない。


 「敵―――ビースト級だろ?あれじゃあ、勝つのは無理そうだな」

 『元来今の人間では無理なことだ』

 「まるで今じゃなきゃいいみたいだな」

 『魔界にも色々あったのだ』

 「ふーん……」


 そう言いながら二人は悠長に眺めているが、警察側―――渡辺と伊集院はそうも言ってられない。


 「くっ……」

 『もういいわ伊集院君!これ以上は危険よ!』

 「わかってます!でも、この人たちが下がらないと!」

 『あなたの命が危険なのよ!』


 伊集院は渡辺の呼びかけに対して全力で反抗していた。

 すでに右腕部が破損し、まともに戦える状態にはない。それでも彼は体を張ってデモニアの攻撃を止めている。後ろにいるのは生身の警官たち―――つまり、攻撃を受けて生きていられるのは特殊スーツを着た伊集院のみ。


 彼が耐える以外に助ける手段がない。


 『早く引きなさい!これは命令よ!なぜか0号も現れない。勝ち筋はないわ!』

 「ですが、僕のせいで戦局が……責任を―――」

 『ダメよ!』


 そもそもなぜこんなに追い詰められているのかというと、それは伊集院がポカしたからだった。

 最初は順調に制圧、討伐までの流れを汲めそうだったが、最後のとどめを彼が戸惑ってしまったのだ。もしかしたら、このデモニアも0号のようになにかから人を守ろうとしているのではないかと思って。


 その瞬間、デモニアの反撃を受けて、右腕部を損壊。機能不能となった腕を庇いながら戦うも、攻撃手段を7割ほど失った状態では、徐々に防戦に追い詰められていくだけだった。


 片手がないだけでここまで不利になれるのかと身をもって知らせてくれるような絵面だった。

 だが、それに対して笑えるようなことはない。なんせ、その損壊した右腕部の中には―――


 『待って、伊集院君。あなた、右腕折れてない?』

 「な、なんのことですか……」

 『ごまかさないで。そもそもスーツが破損するほどの攻撃を受けて無事なはずないわ。それに、あなたの戦いかた、明らかに右腕に攻撃を受けたときのノックバックが激しいわ!』

 「ノックバックって、ゲームじゃないんですから……」

 『そうとしか言いようがないほどに下がってるのよ、あなたは!』


 と、そんなやり取りをしていると、いつの間にか周りから他の警察の姿が消えていた。


 「あ、れ……?僕のことは?」

 『見捨てられたのよ。元々、私たちは使い捨ての試作品みたいなものなのだから』

 「そう、ですよね。僕らは使い捨て―――渡辺さん。こんな状況になっても一つだけ魔物をしとめる手段があるのを覚えてますか?」

 『……!?まさか―――やめなさい!』


 伊集院は渡辺の言うことを一切聞かずに、あるシステムを起動させる。

 すると、胸の中にある動力コアがむき出しになって外気を取り込もうと、パワードスーツがえらのように開く。そして、外の空気を吸い込み始めたと思ったら、コアが大きく輝き始め出す。


 『ダメ!伊集院君!今、あなたのような人を失ったら!』

 「伊集院さん、短い間でしたが―――」


 「まずいな。自爆しようとしてる」

 『そうか。あの光はそういうことか』

 「普通、警察の装備に自爆機能なんてつけるかね」

 『どうする?』

 「決まってる。助けるぞ」

 『お前を殺そうとしてるんだぞ』

 「だからなんだ。俺は大事な人たちを守るためと言ったけど、今目の前で救える命を見逃すほど腐っちゃいねえ」

 『そこは自爆なんかされたら、周りに被害が出てしまうとか言って助けに入るところではないのか?』

 「なんのマンガ読んだのか知らねえけど、俺は別に人を助けることを恥ずかしいことだとは思ってない。―――速攻で行くぞ」

 『ああ……』


 真司はそう言うと、クリスタルを回転させて押し込む。そして、そのまま柵から二本ほど棒を拝借すると、クリスタルをかざした。


 『早く!早くシステムダウンをしなさい!―――クソッ!こちらからのシステム干渉ができない……こういう時のシステムばっかり覚えていて……死んだら殺す!絶対に許さないわ!』

 「いいんですよ。僕は、あの時の償いをしないと……」

 『あの事件は……あの事件はあなたのせいじゃないわ!誰がやっても、あの子の命は……!』

 「そう言う問題じゃないんですよ。僕は救えなかった。たった一人の命を―――だから、あの子のもとに謝りに……」


 ヒュン!


 その瞬間空気が切れる音がした。そして、目の前に彼らの目的の一つである0号が姿を現した。どこから現れたのかもわからない。彼らのレーダーにも引っかからずに射程圏に入ってきたことに驚いたが、それ以上に驚くべきことが起こる。


 数瞬遅れてデモニアが粉みじんに斬れたのだ。

 さすがに死を覚悟した伊集院ですら驚きを隠せなかったが、それでも彼は自爆をやめようとしなかった。


 「ははっ……目的は違うけど、今ここで0号をしとめられれば……」

 『もうデモニアはいないわ!とにかく、システムを早急にダウンさせなさい!』

 「いますよ。今目の前に……」


 そう言いあう二人を尻目に0号―――真司は、手をむき出しにされたコアに当てた。すると、みるみるうちに光が収まっていき、スーツの呼吸器系の者を除いすべてのたシステムが完全に停止した。


 「へ、なんで……?」

 「じゃあな。命は大切にしろよ」

 「ま、待て!まって……!」

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