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挿絵はADA様に描いていただきました♪

ADA様ありがとうございました!!


「こんな素敵なプレゼント……本当にありがとうございます……!!」


 ふにゃりと笑ってお礼を言った私に先生は頬の気色を少しだけ良くしてから、フイ、と顔を逸らした。


「ッ……あぁ……。……そういえば、レオンティウスから渡されたものは何だったんだ?」


 そう言えば。

 なんだったんだろう?

 私はさっきレオンティウス様にもらった封筒を開けて、中身を取り出す。


「……!! これ──」


 それは2枚の少し古い写真。


 男の子が大号泣している写真と、その男の子がゆりかごの中の赤ちゃんを覗き込んで、赤ちゃんが男の子の指を握っている微笑ましい写真。

 ……兄弟?

 あれ、でもこの赤ちゃんの目──真っ赤……。

 もしかしてこれって……。


「レオンティウスの幼い頃だな」

「レオンティウス様の!?」


 え、かわいい。

 確かにこの泣きぼくろ、レオンティウス様だ!!

 色気じゃなくて可愛らしさをダダ漏れにさせる幼児レオンティウス様……!!

 萌える……!!


 あれ?

 後ろに何か……。

 私が写真をひっくり返して見ると、そこには綺麗な字でコメントが書いてあった。


『4月5日。我が妹リーシャ出産。姫君(プリンシア)が誕生する。扉の外で産声を聞いて、嬉しさのあまり大号泣の息子レオンティウス』


 クリンテッド公爵が書いたであろうその文章を、私は頭の中でもう一度読み返してみる。


 4月……5日……姫君(プリンシア)が誕生……。

 これ──私が生まれた日!?


「なるほど。生まれた直後は王とフォースのみしか会えなかったと聞いていたが、叔母でもあるリーシャ王妃に懐いていたレオンティウスは駆けつけていたんだろう」


「じゃぁこの産声って……私の?」

 私の呟きに先生が無言で頷く。

 産まれきた日の、最初の声……。

 そうか、私にもそれはあって、そしてそれを聞いてくれた人がいたんだ……。


 もう一枚の写真の裏も見てみよう。


姫君(プリンシア)の誕生から2週間。ようやく初対面が叶う。力の色が濃く出た赤い瞳を見て“僕のウサギちゃん”だと嬉しそうだった。姫君(プリンシア)も、レオンティウスを気に入った様子』


 レオンティウス様との初対面!!

 ……こんなに幸せそうに笑ってくれていたんだ。


 私が生まれたことを泣くほど喜んで、私と会えたことを喜んでくれたレオンティウス様に、じんわりと心が温まっていく。


「私……生まれてきてごめんなさい、って、ずっと思ってました。皆が愛していたセナが死んだのに、なんで私が生きているんだろうって。でも……」

 自然と目頭が熱くなってくる。


「私──……生まれてきて、よかったんですね?」


 声が震える。

 胸がいっぱいで苦しい。

 でもそれは、決して嫌なものではなくて──。


「……あぁ。レオンティウスだけではない。聖女やメルヴェラ嬢達も、レイヴンだってそうだ。君に出会えてよかったと、そう思っている……もちろん、私も」

「先生……」


「生まれてきてくれてありがとう。──カンザキ」


 僅かに柔らかな笑みを浮かべ囁かれたその言葉は、私の中の奥深くにゆっくりと沁み込んでいった。


 幾度となく“他の誰か”に行ってきた言葉。

 自分に与えられるなんて思っていなかった言葉が、大好きな人から贈られた。

 こんなにも素敵なプレゼント初めて。


「ありがとうございます……先生……!!」

 私はもう一度ふにゃりと笑って先生を見上げると、思っていたより近くに顔があったようで……。

「!!」

「へ!? きゃぁっ!?」


 驚いた先生が立ち上がった拍子、私はバランスを崩して先生が片手で持っていたケーキ皿と共に落ち──「ッ!!」


 ペシャッ!!


「……せ……んせ……」

 すぐに我に帰った先生の瞬発力で、ケーキは落ちてしまったものの、なんとか私は芝生の上に落ちることなく先生の両手でお姫様抱っこするように抱き抱えられた。

 机の上にぶっ飛んでダイブしたケーキのクリームが芝生や私の頬へと飛び散っているけれど、そんなの気にならないくらいこの体制が尊い……!!


「すまない!! 大丈──夫……っ……」

 先生が慌てて私見下ろすなり、その動きを止めた。

「? 先生?」

「動くな」

「へ?」


「ついてる──」


 そう言って先生は私の頬へと顔を寄せ、そして──。


 ペロリ……。


挿絵(By みてみん)


「ッ!?!?」


 私の頬を──舐めた!?

 いや、正確には私の頬についたクリームを舐め取った、だけど……えぇぇぇぇっ!?


「なっ……なっ、なっ……!?」


 口をパクパクさせながら言葉が出せないでいる私をよそに、先生は至って普通の表情で「ふむ、甘いな」とつぶやいた。


 いや……いやいやいや!!

 色気ぇぇぇぇえ!!


「せ……せん……」

「ん? ……っ……!! す、すまない……!! つい……」

「い、いえ……」

 自分のした事に気づいた先生が頬を染めて、お互いに俯き合う私たち。


 その時だった。



 ピンポーン!!


「!?」

 突然空間に響き渡った謎の効果音。


「指令が達成されたので、空間固定を解除します」


「へ? ひあぁぁぁぁっ!?」

「カンザキ!!」


 どこからともなく何かの声がして私たちは突然光に包まれ、何かに吸い込まれていった──。



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