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間章5:真のマスター級

 ロイドさんがミネルバに帰ってきたみたいなので会いに行こうと思います。

 最後に会ったのは二か月くらい前なのですごく楽しみですね。


「レラお姉ちゃーん!と、よく遊びにきた年下のロイくん……。

 昔はショタだったロイくんが……七年後に再会すると……イケメンになっていた……!

 でもあたし、もうすでにマルスくんがいるの……!

 やだやめて、そんなかっこいい顔で……あたしを見ないで……!

 あたしたち恋人になれないの……!

 あたしとロイくんは……ズッ友だょ……!」


 こういう展開もアリですね。

 年下のショタがイケメンになって現れるのは胸キュンしちゃいます。

 ショタ×お姉さんは消えろカスですが、成長後のイケメン×お姉さんは神展開なのです。

 幼い頃は絶対にお姉さん側が優位を取らなければならない。

 これはオネショタ学会でもそう言われています。


「お前は本当にいつも平常運転だな。マジで尊敬するよ」

「頭の中にキューピットを飼ってますからね」

「そのキューピット、背中の翼が黒ずんでないか?」


 マルスくんは辛辣ですね。

 ロイドさんに会うため、私たちがギルド長の屋敷へと行くと、ロイドさんはコッコロエリアに向かったことがわかりました。


 うむむ、入れ違いになってしまいましたか。

 コッコロエリアはここから少し距離があります。

 馬を使っても片道4時間でしょうか。


 ミネルバで待つのが最善ですが、せっかくなのでコッコロエリアまで会いに行ってロイドさんを驚かせてあげましょう。

 どうせ明日まで暇ですからね。


「ところで先生と再会したら何を話せばいいんだ?」


「別になんでもいいと思いますよ。

 私も話したいことは山ほどありますが、まずは長旅お疲れさまですと労いたいですね」


「お前にしては案外普通だな」


「メリハリは大事ですよ。親しい間柄ならなおさらです」


「良い事を言うじゃないか。見直したぞ」


 見直されるほど最近の私は酷かったのか……。ちょっとショックです。

 それはそうとして、ロイドさんからアイリスさんとのイチャイチャ話を根掘り葉掘り聞いてカップリング成分を補給したい。


 ルビーさんに関しては……ここは触れない方が無難でしょうね。

 ロイドさんが嫌がると思いますから。

 ルビーさんとの関係って結局どうなったんだろう。

 普通にミネルバに戻ってきたって事は結局何もなかったのかな。


 まあいいです。

 時代はアイリス×ロイド。


「完璧すぎて可愛げがない」と第一皇子から婚約破棄されて国を追放された偽聖女、追放先で私だけに優しい有能イケメン高身長高収入侯爵魔導士に見初められて優雅にお屋敷生活。今さら国に戻ってこいと言われても「あっ、私はここで幸せになってますのでお気になさらず、もう国には戻りません」。


 本のタイトルはずばりこれです。

 くっくっく、実は私、こっそり妄想小説を書いてるんです。

 この事はマルスくんも知りません。


「えっ、お前本書いてたの……?」


 マルスくんは唖然とした顔で私を見た。


「ど、どうして私の考えてる事がわかったんですか!?」


「いやお前思いっきり口に出してたじゃん。

 てか、私だけに優しい有能イケメン高身長高収入侯爵魔導士って誰だよ。

 急に知らない奴が出てきてビビったわ。

 追放理由もめちゃくちゃだし、お前の理想男性像もグレード高すぎてちょっと……」


 ぐぬぬ、随分と言いたい放題ですね。

 別に誰かに読ませるわけではなく、自分が楽しむために書いてるだけなので問題ありません。


「マルスくん、これは妄想小説ですよ?

 現実でここまで酷い理想像を押しつける女性なんているわけないじゃないですか」


「たしかにレラの言うとおりだな」


 仮にそんな高スペック男性がいたとしても、私はマルスくんを選ぶんだけどね。



 その後、私たちは馬を二頭借りてミネルバを出発した。

 麓の村には4時間ほどで到着した。

 聞き込みをした所、ロイドさんは2時間ほど前に村を出発したみたいなので、私たちもすぐさま追いかける。

 コッコロエリアは私たちも何度か足を運んだことがあるので道筋はわかっている。

 ここはゴブリンとダイアウルフとハーピィの三種類がよく出現した記憶がある。

 ダイアウルフにさえ注意しておけば基本的に問題ない。


 私たちはロイドさんに追いつくため、急ぎ足でコッコロエリアを突き進んでいく。

 山道に入ってすぐ、私たちは違和感を覚えた。


「やけに魔物の死骸が多いな」

「うん」


 道には瓦礫が散乱しており、あちこちに魔物の死骸が転がっている。

 恐ろしい事にすべての魔物が一撃で仕留められている。しかも教科書通りの弱点属性で倒しているのが素晴らしい。

 私も中級魔導士なので、魔法の腕には自信がありますが、この人のように冷静な対処はできないでしょう。


「お、おいアレを見ろよ。ワイバーンの死骸まであるぞ」


 マルスくんが震える声でワイバーンの死骸を指差す。


 ワイバーンは獰猛でとても危険な魔物。

 本来ならA級冒険者がレイドを組んで、20人がかりで倒すほどの強敵です。

 ワイバーンがいたなんて想定外でしたが、どうやら誰かに倒されているようです。


「本当ですね。一体誰が倒したんでしょうか?」


 ワイバーンの死骸の前で考え込んでいると、下山しているロイドさんと再会しました。


「あれ、どうして二人がこんなところにいるの?」


 ロイドさんはワイバーンの死骸を見ても無反応。

 普通もう少し驚くものですが、こういう反応する人って大抵……。


「も、もしかしてロイドさんが、お一人でこのワイバーンを倒したんですか?」


「え? あ、うん。いきなり襲ってきたから。

 ちょうど今から素材回収するとこー」


 ロイドさんは軽いノリで頷いた。


 ワイバーンを倒した反応がたったそれだけですか!?

 しかもソロですよ!?


 同じことの繰り返しになりますが、ワイバーンはA級冒険者パーティが20人近くのレイドを組んでようやく倒せる強敵です。


 もしかして道中の魔物も全部ロイドさんが処理したんでしょうか。

 いや、きっとロイドさんが倒したんでしょうね。

 ロイドさん以上の魔導士を私たちは他に知りませんから。

 

 ロイドさんは正真正銘、真のマスター級です。



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次回の更新は2022/08/13の朝7:00となります!

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― 新着の感想 ―
ボケと突っ込み最高です(笑)
[気になる点] 弱点属性って、一番ソレに影響を与え易い属性じゃ…(ポソ
[一言] 閑話は」マジでつまらん もっと本編を充実させてくれ
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