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第144話:いざ王都へ(4)

追伸

タグにハッピーエンドとつけているので、レギュラーキャラの死はそこまで悲観しなくて大丈夫です。

大団円なのは確定してます。

 アイリスを討伐後、近くに倒れている人々の生死を確認する。

 残念ながら全員すでに殺されていた。


「アイリスの体で、こんな悍ましいことをさせるなんて、あの屑共絶対に許せません!」


 レラは激昂し、涙を流しながら主犯である悪神に復讐を誓う。

 それは私も同じ気持ちだ。


 その後、ゾンビ化しないように死体をすべて焼いてからフェアの元へと戻った。


「おかえり。随分と遅かったね」

「心配かけてごめん。フェアの方はなにか変わった事とかあった?」

「特になにもないよ。すごく平和。ねえ、ルビー。お腹空いた」


 フェアはお腹を空かせていた。

 普段と変わらないフェアの様子に私達は自然と癒された。

 夕食のシチューを作って三人で仲良く食べた。

 アイリス戦以降、レラは表情が暗かったが夕食になると自然と笑顔が戻ってきた。


(レラも元気を取り戻したようだ)


 私もその姿を確認して心の中で安堵した。

 その日は早めに就寝して、翌朝また出発した。

 アイリスがいなくなったことでロイドがまた襲撃してくることを常に警戒したが、どうやら杞憂のようで、王都まで特に問題なく順調に進むことができた。



 ◆ ◆ ◆


 王都はすでにゾンビによって支配されていた。

 民衆は老若男女問わずすべてゾンビ化しており、昼夜問わず街中を徘徊している。

 現在、私達三人は路地裏でゾンビの動きを監視してるところだ。


 できるだけ人目につかないように行動している。

 ここはすでに敵の本拠地であるため、騒ぎを起こせば敵の刺客が差し向けられるだろう。

 慎重に行動する必要がある。


「えっと、レラ。もう一度確認するけど敵の数は三人なんだよね?」

「はい。主犯格のカタストロフィ。そいつの仲間であるアグニムとルイン。それぞれ特徴的な姿をしてるので遭遇すればすぐにわかると思います」

「全員殺していいの?」


 フェアは物騒な質問をする。


「もちろんです。奴らは全員等しく屑ですからね。自分達の快楽のためなら人間など塵としか認識してないどうしようもない奴らです。あの三人に信念なんてありません」

「そこまではっきりと屑と明言されると清々しく感じてしまうなぁ……」


 私は苦笑しつつも、当時の自分を思い出すと他人事とは思えなかった。

 規模は異なるが、他人に迷惑をかけてもなんとも思わず、自分のことばかり考えていた昔の自分。

 もし私が何も変わらなかったら、この神々のような価値観になっていたように思える。


 奴らの拠点はメルゼリア城なので、城に侵入する必要があるのだが、城の周りには数多くのゾンビが配置されており、見つからずに近づく事は難しそうだ。


「ルビーさん。ここで私の出番です。実は私、メルゼリア城に続いている地下通路を知っています」

「え!? 本当なの?」

「はい。あの時もその地下通路を通ったおかげで脱出できましたから。あの道は絶対に安全です」


 なんと! それは嬉しい報せだ。それではさっそくその地下通路を通ろう。

 私とフェアは、レラの案内のもと、メルゼリア城へと続いている地下通路のある場所へと向かった。

 それはメルゼリア城から500メートルほど離れた位置にある教会の内部にあった。


 大聖堂の奥にあるエメロード像の裏が入り口のようだ。

 レラが一度利用してるので入り口はすでに開かれていたが、誰かに使用されたような形跡はない。


 おそらく安全だとは思うが、油断せずに進もう。

 私は気を引き締めて地下通路へと足を踏み入れた。



 その一分後、私達は待ち構えていた敵によって包囲された。



「はわわわわわ!?」とレラ。

「囲まれちゃった……」とフェア。


 どうやらこの道はすでに敵方も把握してるみたいで数多くの敵を配置していた。

 しかし、いくら数が多くとも敵はゾンビ。


 私達の敵ではない。


「獣王剣……狐の型『紅花九尾』」


 魔力を解き放つと、魔力が尾のように伸びて九尾の狐の尻尾のようになった。


 鞘から剣を抜いて、鋭く横方向に振るう。

 次の瞬間、衝撃波が発生し、その一振りで前方のゾンビ達がまとめて一掃された。


「なっ……!?」

「す、すごい……! あんなにたくさんいたゾンビが一瞬で……!」


 二人は驚いた声を上げる。


「驚きました。ルビーさんもフルグロウを使えるんですね」とレラが尋ねる。


 私は頭の上に疑問符を浮かべる。


「フルグロウ? なにそれ」

「えっ!? い、いまのは肉体強化魔法じゃないんですか」


 肉体強化魔法…………ああ、魔力の掌握のことか。

 剣士は、修行を続けるうちに自然と魔力を肉体の強化へと変換できる。

 魔導士はそれを肉体強化魔法と定義づけるが、剣士からすれば自然にできる事なので、魔法を使っているという感覚はない。


 普段使っている鷹剣も、魔力によって肉体を強化してるから体が負荷に耐えられている。

 そしていま使った狐剣は、獣王剣の型の一つで、その強化値をMAXまで引き上げる事ができる。


 私の場合、その発動時間はたったの5秒に過ぎないが、その瞬間だけは鷹剣をはるかに上回るスピードと威力で斬撃を放てる。

 獣王剣が保有する型の中でも特にワンパン力が高い代物だ。


 さて、時折私が口にしている獣王剣だが、


 この獣王剣は、上古時代の剣士である白狐族のリリアの動きを模倣したものだと言われている。


 剣に関する秘法→蛇剣

 魔力の運用法→狐剣

 歩法→鷹剣

 拳法→竜剣


 この四つに分かれており、それぞれがリリアの動きに繋がるらしい。

 私の場合、すべてを習得しているが、それらを同時に使用することは技術的にまだできない。


 だから、型というキーワードを用いて局所的に発動している。

 余談であるが、黒鴉師匠もその師匠である白薔薇さんも、私と同じく部分的にしか使用できない。

 三代に渡って完全には習得できていない高難度の剣術だ。


 そういえば、黒鴉師匠はいまはなにをしてるんだろう?

 ロイドはもう死んじゃったし、白薔薇さんのところに戻ったのかな?

 師匠の安否を心配しつつ、私はゆっくりと剣を鞘に戻した。


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