表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

166/299

第142話:いざ王都へ(2)

 王都を目指して孤児院を出発した私達は、半日ほど歩いてその日の野宿場所を見つけた。

 森の中ではあるが、比較的開けた視界の良い場所なので、野宿にはピッタリである。


「この辺りは美味しいキノコが群生してるので、今日の夕食にしましょう」


 レラの提案に乗って、私はレラと一緒に付近を探索する。

 ちなみにフェアはお留守番だ。


 キノコは木の陰に生えている事が多いので、そこを意識しながら探していく。


「キノコ発見♪」


 するとさっそく私は目的のキノコを見つけた。


「えっ!? ルビーさんもうキノコを見つけたんですか!? 流石ですルビーさん!」

「駆け出しのころはよく採取に出かけていたからね」

「なるほど。それで鍛えられたんですね。私もキノコ採取にはそこそこ自信がある方なんですが、ルビーさんには勝てませんね」

「流石にほめ過ぎだよ」


 私は苦笑する。

 天狗になって破滅した経験があるので、どうしても褒められるのに抵抗感を覚えてしまう。


 適当に辺りを散策してると、古びたつり橋を見つけた。

 崖と崖を繋いでいる橋。その5メートルほど真下には流れの強い川が通っている。

 落ちたら絶対に死ぬ奴だ。


「すごいボロボロだね」

「絶対に渡ってはいけないオーラーがします」

「からのー?」

「いや、絶対に渡りませんよ。どう見ても危ないですもん」


 レラの意見は尤もである。私も特別な理由がない限り、ここを渡りたいとは思わない。


「それに、あの先の森の奥からは禍々しいオーラを感じますから、近づかない方が賢明でしょう」

「え? それってどういうこと?」


 レラの告げた言葉に驚いて私は聞き返す。


「実は私、エルフ族なので森の状態がある程度わかるんです。この先の森から紫色の禍々しいオーラが伝わってきます」

「エルフ族ってそんな特殊能力があるんだ。レラがそこまで言うのなら近づかない方が無難だよね」


 私達は元来た道を引き返そうとするが、突如その方角から甲高い悲鳴が聞こえてきた。


「いまの悲鳴は!?」

「きっとゾンビに襲われている生存者がいるんだ」

「おのれアイリス!」


 前回の鬱憤もあったので、勝手にアイリスが原因という事にして私は生存者を助けるべく、私とレラは急いでつり橋を駆け抜けた。

 最後まで渡り切ったタイミングでつり橋が崩落した。


「「ああ!?」」


 私とレラは同時に叫んだ。


「ど、どうしましょうルビーさん。引き返せなくなってしまいました」

「と、とりあえず、帰り道のことはあとから考えよう。いまは生存者の救出が先だよ」

「そうですね」


 私達はお互いにそう頷いて、森の奥へと足を踏み入れる。

 先程までいた森と同じ場所のはずだが、こちらは鬱蒼としており、太陽の光をさえぎっているので夜のように暗い。


「《フラッシュボール》」


 レラは魔法で発光する光の玉を出現させた。

 それはホタルのようにフワフワと宙に浮いており、周囲を明るく照らした。


「へえ、そんな魔法があるんだ。便利な魔法だね」

「これで周囲が暗くても戦闘ができます」


 それはとても心強い。

 戦闘力はあまりないが、サポート役としてはレラはとても優秀なようだ。

 私とレラは先を急ぐ。


 そしてふたたび、私はアイリスと遭遇した。


「アイリスさん!?」


 レラはアイリスの姿を見るや、すごく驚いたような叫び声を発した。

 とても動揺しており、目を白黒させている。


「もしかして知り合い?」

「は、はい。知り合いというか、彼女アイリスは師匠の妻です」

「へ? つ、妻!?」


 えええええ!?

 誰かと結婚してるのはすでにわかっていたが、まさか目の前のアイリスが張本人だったとは……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ