6.金稼ぎ
「おい! エレナ! さっき俺言ったよね。エレナが睡眠の邪魔をしたせいで俺は寝れなかったって」
「いやー、ごめんってば」
そう、再び俺が寝ていた隣でまたエレナが睡眠の邪魔をしていたのだ。
それも、エレナは寝相が悪いのか俺の顔や体にエレナの手や足やらが乗っていたり当ててきたりとあって俺は目覚めた。
「全く、まぁ、悪気はないんだろうから許すよ」
「ありがとうーフミヤ! 」
何て単純なんだ。
俺はそう思うと同時にそれでよく俺をあの時、大量のスライムから助けてくれたと思う。
「で、今日の予定とかあるの? 」
エレナからの質問だった。
よく考えてみればあの勇者パーティーを追放されてから自分の力だけで生きていくとはいえお金を稼ぐという漠然とした目標しか立てていなかった。
今の所持金は250G。
今日の宿代やら食事代やらで引かれるので230Gになる。
やれやれ。
まだ安心できるだけのお金は無いのか。
ならば、しばらくの間は金稼ぎ一択しかない。
安心して生活できるだけを二人なら手に入れることができる。
よし。
「エレナ。しばらくの間は安心して生活できる分のお金稼ぎをしようと思う。それで、クエストを受け続けようと思うんだが、それでも良い? 」
エレナは私の出番ねと言わんばかりに気合が溢れ、目をキラキラと輝かせ俺の問いに答える。
「もちろんよ! 」
早速、俺たちは軽い朝食。パンとスープを食べ、冒険者ギルドへと足を進めた。
冒険者ギルドに着いた俺たちはドアを開ける。
すると、俺が今一番会いたく無い奴らと遭遇してしまった。
「よう、役立たずで追放の身となったフミヤ! おっ、仲間出来たのか。良かったな役立たず。お前と一緒で隣の女もさぞ役立たずなんだろうな! はーはっは! 」
俺を追放した勇者パーティーのリーダートムが俺をこんな公の場で恥を晒させる。
しかし、今の俺には恥などどうでも良かった。
「俺は今からすることがあるんだ。用が済んだならじゃあな」
簡素にそういうとトムはつまらなかったのか再び言葉を続ける。
「金稼ぎか? お前には無理だよ。役立たずで無能なお前にはなぁー! 」
トムの罵声に続くように、ローズとカレンが甲高く笑う。
「まぁ、俺たちは今からゴブリンの群れを討伐しに行くんで、それじゃ」
自慢げのようにそう言い、勇者パーティーは冒険者ギルドを後にした。
ゴブリンの群れの討伐か。
俺はふとあいつらを心配してしまった。
今までは俺があいつらのHPを減らさないように常に回復魔法をかけていたが今のあいつらの自動回復で本当に死なずに入れるのか、少し心配になる。
特にレベルやステータスによって自動回復の速さというのが変わってくるため余計に気になっていた。
それでも、あいつらが死ねば一生に恥を刻む。
それも、勇者パーティーなのにゴブリンの群れに倒されたと。
俺は変な妄想を膨らませ、今日冒険者ギルドに来た理由を忘れそうになっていた。
「エレナ。強い魔物か弱い魔物のどのクエストを受ける? 」
エレナは少し気まずいものを見たこともありおどおどしながら答えた。
「簡単な魔物の討伐クエストにしましょう! 」
「そうだな」
俺はあいつらに対抗しようと少し焦っていた。
手慣らしからやった方が確実だ。
ましてや二人というのが他に比べ相当不利な立場だからだ。
俺たちが結局選んだクエストは……。
クエスト内容 オーク5体の討伐
報酬 500G
場所 エルの森
慣れた場所で弱くもなく強くもない魔物。
かといって油断はできない魔物でそこそこの報酬が手に入る。
今の俺たちにぴったりなクエストだと二人で判断し選んだ。
冒険者ギルドの受付のお姉さんに受注してもらい、エルの森へと俺たちは向かった。
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