5.ハプニング
結局、夜は何事もなく終わるはずだった。
俺がソファーで眠りにつこうとするとシングルベッドでエレナがずっと俺の方を見てくる。
気になった俺は既に反応していた。
「何かあった? 」
エレナはキョトンとした顔で俺に言った。
「なんで一緒に寝ないの? そこじゃ体が休まらないでしょ? だから、一緒に寝よ! 」
まさかな。
正気か?
俺は顔を赤面させながら断る。
だが、エレナの暴走は終わらなかった。
俺はエレナの提案を断り、一人ソファーで毛布を被せ、寝ようとしていた。
その様子を見て、エレナが俺の寝ようとしているソファーにのしかかり「ねぇ、私もここで寝たい」などと言ってくるではないか。
俺はもう半ば諦め状態になり、もうどうにでもなれと思ったのか、エレナの意見に了承する。
すると、今まで少し機嫌の悪かったエレナが見違えるように元気で笑顔になる。
俺はコイツ単純なやつだなと思いつつ眠ってしまっていた。
その後のことはよく覚えてはいない。
けれど、朝、眩しく白色に光る日差しで目が覚めた俺はなぜか息苦しく、体全体が痺れているように感じた。
目を開ければ、俺の上にエレナがドスンと寝ている。
俺の顔はエレナの少し豊満なアレで潰され、それが原因で息苦しいことがわかった。
また、エレナが俺にのしかかって寝ていることも要因で体が痺れているのだと思う。
エレナを起こさぬようそっとソファーから脱出し、俺は誰もいないベッドで横になる。
そこで、俺の体が何一つ休まっていないことに気づく。
これは完全にエレナの性格のせいだと改めて思う。
悪い奴ではないことはよくわかる。
だけど、限度というものがある。
エレナは破天荒なのか天然なのか俺にはわからないがあれをわざとやるということでもないだろう。
つまり、素なのだ。
だから、これから俺はエレナとの関わり方をよく考えなければならないとこの一夜でよく思い知ることになった。
とんだ一夜だともつゆ知らずふわふわと背伸びをし、欠伸をし、目覚めるエレナ。
「ふわぁー。おはようフミヤ」
俺は目に信じられないほど濃い隈をつけ返事を返す。
「お、おはよう。エレナ」
その様子に驚いたエレナは寝ぼけていた姿から目を覚ましたのか、心配の念をよせる。
慌てながら。
「ど、どうしたの⁉︎ フミヤ! 大丈夫? 」
俺はエレナを傷つけないように昨夜起こった事を話した。
「それは、なんかごめん……」
朝からエレナは気まずそうに頭を何度も何度も下げながら謝る。
「気にしなくても良いって。それより、寝かせて….くれ」
途中、俺は欠伸をし、半分眠りに落ちながら。いや、正確には最後はいつの間にか寝ていた。
その様子をエレナはそっと眺め、フミヤに近づく。
俺は眠りにつきながらも接近する陰で閉じた目の周りがさらに暗くなるのを感じ取った。
そして、ベッドに腰を下ろし、俺の頭を撫でながら言う。
「私のわがままに付き合ってくれてありがとう。君は本当に良い人だよ。本当」
そういったエレナも俺の隣で再び眠りについた。
二人仲良く、気持ちよさそうにすやすやといびきをかいていた。
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