20.道中
エルの森に入ってからキノコ型の魔物を数体倒し、着実にウェリアに向け進んでいる。
キノコ型の魔物からたまに大きなキノコというアイテムがドロップする。
このアイテムは意外といい値段で取引されるため装備で手持ち資金が少ない俺にとってはありがたかった。
森の中間地点まで来た俺達は近くの切り株で休憩することにした。
「これで半分か」
「でも、あと少しだよ。それに、魔物ともあまり遭遇しないし運がいいよね」
水を飲みつつ、笑顔でエレナは答える。
「そうだよね。運いい方か」
ちょっとした小話の休憩を終えた俺達は再びエルの森を進み始めた。
前半とはうって変わり、森の奥に進んでいるためか魔物のレベルが格段に上がっている。
それに、種類も上位種族が混じり始めていた。
「エレナ。そろそろ気を引き締めないとまずいな」
エレナも俺と同じように顔が真剣になる。
「そうね。連携しましょう! 」
「あぁ」
俺は早速、守りを固める。
スキル《癒すもの》のヒーリングウォールを発動させる。
魔物から身を守る最高の技だ。
俺は守り、エレナは魔法で魔物を倒していくという連携をとり上位種族の魔物であるスライムなども討伐していく。
魔物からの攻撃を気にすることなく魔物を倒せる構造を作ったおかげで楽にお金になるドロップアイテムを手に入れた。
「フミヤ見てよ! こんなにドロップアイテムが! 」
お金になるアイテムをたくさん手に入れたことでエレナは嬉しさのあまり俺に見てみて! と何度も言ってくる。
「この調子で森を抜けよう! 」
「うん! 」
お金が手に入ったも同然の今、エレナは笑顔で溢れていた。
ノーダメージで魔物を倒していく俺達はあっという間にエルの森の終わり地点に来ていた。
「ここまで早かったな」
「うん! フミヤがいると楽に魔物を倒せるから本当に助かるよ」
今更ながら感謝されると照れるものがある。
「照れるから、早くウェリアに行こうよ! 」
「へー」
弱みを見つけたようにニヤリと笑い、ウェリアに向かって歩き始めた。
エルの森を抜け、歩くと外の明るさが逆に眩しかった。
というのも、エルの森は木々に覆われていて薄暗い。
その薄暗さが余計に外の明るさを眩しくさせている。
ウェリアに向け歩くとエルの森すら抜けたことがなかった俺は見たこともない景色に何度も目を奪われた。
エルの森の後は草原が広がり、その間を縫うようにして川や風車、滝などがあった。
自然を堪能できる景色が新鮮でたまらなかった。
「旅っていいね」
俺は独り言をつぶやいたが、エレナも同じことを思っていたらしい。
「ホントだよね。こうなると早くウェリアを見てみたいな」
「俺もだよ。まぁ、焦らず楽しみながら行こうよ! 」
「うん! 」
美しい景色を背景に俺達はうっすら見える草原奥にあるぼやけた家々や外壁を目掛け、ゆっくりと歩き始めた。
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