17.世界旅行計画
王国騎士団の公開処刑なる裁きを見終えた俺達は宿屋に次の目的を決めに戻った。
宿屋の自室のベッド横にはイスとテーブルが備え付けられておりそのテーブルに腕を乗せエレナにこの先において重要な話をまじまじと話す。
「旅って世界一周するつもりなの? 」
世界一周するのと適当に行きたい国に行くのとでは訳が違う。
それに、他国ではマレイン王国と同じように優しい人間が多数とは限らない。
「もちろん! 世界一周って言ったて五カ国しか無いじゃん! 」
「いや、まぁ。そうだけど……。色々と考えることあるじゃん」
エレナの圧に押され、オドオドと誤魔化してしまった。
世界一周と言えど五カ国しか無いと思うが俺はされど五カ国だと思っている。
マレイン王国は大陸の中央下に位置する。
東方にはザイド王国。
西方にはウェリア。
北方にはペレン。
そして、中央には大帝国ライトエル。
この世界の大陸は五角形のような形をしていて、均等に領土が分けられているかと思うが大部分が大帝国ライトエルでマレイン王国、ザイド王国、ウェリア、ペレンは大陸面積的には雀の涙ほどの面積だ。
ちなみに、俺を追放した勇者パーティーは隣国の牢獄。通称、東方のザイド王国に囚われの身となっている。
なので俺はザイド王国にはあまり立ち寄りたく無い。と言うか行きたくない。
「ふぅーん。まぁ聞こうじゃない? 考えることってやつを」
不気味な笑みで俺に問いかけてくる。
その顔はホラーでしかなかった。
「歩いていくとか? 必要な荷物とか? 他にもどの経路で行くとか? 準備しなきゃいけないこととか考えることがあるじゃん」
俺は必死に説明する。
こんなに真剣に説明したのは初めてではないかと思うほどだ。
「そういうことなら、話し合いでちゃんと決めましょう! 私だって無理に世界一周はしたくないし」
逆に気を使われると困ってしまう。
「俺はザイド王国だけは行きたくない」
「理由は? 」
「あいつらがいる国には極力行きたくないから」
「それだけ? ならいいわ。ザイド王国には行かない。そのかわり他の三カ国は行きましょう! 」
意外にもエレナは早く俺の交渉を呑んだ。
不意をつかれた形になりエレナは言葉を続ける。
「経路なんだけど、西側からウェリア、ペレン、ライトエルの順で旅しましょう! 」
「オッケー」
別に断る理由もなくエレナの調子についていく。
「で、必要なものだっけ? ポーション類は要らないし、んー….」
「装備とか整えなくていいの? 」
「フミヤがいるから別にそこまでする必要ないよ。だって、ドレインとかさヒーリングウォールとかあるじゃん」
俺が話していなかったことをまだ根に持っていたエレナは嫌味っぽく拗ねた顔で言った。
「あれは悪かったよ。言ってなくてさ」
「まぁ良いんだけどね。フフ」
拗ねた顔から一転し、笑みを浮かべるエレナに調子を狂わせられる。
頼られるのはいいが俺はそこまで万能ではない。
回復系は基本的に任せられても良いが、戦闘になると全て対応できるわけではないからだ。
「そういうことで旅は明日の朝からで! 」
「て、えっ、おい……」
エレナはスタスタと宿屋の部屋を出て行った。多分、明日の朝までの準備のため買い物しに行ったのだろう。
木製のドアが閉まると同時に部屋全体が寂しくなる。
「明日の朝って」
いきなりかよと思うがこの思いつき感こそがエレナ特有の性格なのだ。
天然ぽく見切り発車だが実はしっかりと抑えるべき点は抑えてあるのがエレナ。
そういう点をここしばらくエレナと生活していて気付かされた。
さて、俺はこの後何をするかという一点だけをただぼーっとベッドに仰向けになり考えていた。
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