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14.王国騎士

バル山を下りている時、エレナとは会話をあまりしなかった。


そんな、沈黙の空間がしばらく続き、マレイン王国が見えてきた頃。


地面立ち止まり、エレナの方から口を開いた。


「フミヤはあのスキルを隠してたの? 」


むすっとした顔でエレナが言っているのはヒーリングウォールとドレインのことだろう。


確かにエレナには一度も話してはいなかったが拗ねているのか? 拗ねた顔も可愛いなと思いつつ、見苦しい言い訳をする。


「隠してはいないよ。言うタイミングがなかっただけで……」


「へーー。まぁいいけど別に。でも、ヒール以外使えるなら言ってよね」


「はい……。これから気をつけます」


夫婦喧嘩したみたいなやりとりをマレイン王国付近の道端で繰り広げ、この道を行き交う通行人にクスッと笑われ、恥ずかしかった。


「私が言いたかったことも言えてスッキリしたから宿屋に帰ろう」


突然機嫌が治ったエレナに手を引かれスタスタと走り宿屋に向かった。


宿屋に向かう途中冒険者ギルドが何やら騒がしかったので二人で立ち寄ってみることにした。


のだが、問題が起きていた。


それも、かなり大きめの問題だ。


「勇者パーティーでリーダーをトムにしている三人組はどこにいるか知らないか? 」


冒険者ギルドに物見のため野次馬が集っているがそれを押しのけ前に進み、中で受付のお姉さんに話をしている騎士らしき男とそれを取り巻く数名を見つける。


この連中の内、話をしている男が騎士でその周りにいるのは魔法使い。


白い鎧に白いローブからみて王国騎士だろう。


王国騎士というのは王国を防衛する軍組織であり、なくてはならない存在だ。


そんな王国騎士がなぜトム達を探しているのか俺には見当もつかなかった。


すると、王国騎士の一人で騎士の格好をした男に声をかけられる。


「おい。そこの君。どこかで見たことあるな? まぁこの話はいいが。リーダーをトムにしている勇者パーティーを知らないか? 」


俺はその質問に素直に答える。


「さっきまでバル山で決闘をしていましたよ。トムに何かあったんですか? 」


眉間に少し皺を寄せ落ち着いた声で話し始める。


「まさかとは思うが君はトムのパーティーに前までいたフミヤくんかい? 」


俺は一度もこの騎士の顔を見たことはない。それなのになぜ、俺の名前を知っている?


少し警戒しながらも話を続ける。


「どうして俺の名前を……」


俺の質問に表情を緩める騎士の男。


「ンフフフフ。君はあのパーティーの中では一番有能だと私は一眼見た時から感じてね。そこから君の素性を色々と調べさせてもらったよ」


俺にプライバシーは無いのかと突っ込みたくなる。


「スキル《癒すもの》はレアスキルでありどのスキルよりも使い勝手がいい。言い方を変えれば守りも良しで攻めもよしと言えるだろう。君にあえて聞くがそうだろ? 」


俺のことは全て知り尽くされている。


監視されている恐怖に萎縮してしまい。大人しく騎士の男の言う通りに答える。


「そうですね。守りを固めつつも攻めることができますね」


「でだ。話を戻そうか。君はさっきトムと決闘したと言っていたがどう言うことかな? 」


説明するとかなり長くなるがいいだろう。


「俺、あのパーティーを理不尽にも追放されたんです。それも、蔑まれたりののしまれたり最悪だったのでいい機会でした。そこから、あいつらに復讐したくてさっき復讐してきたところなんです」


簡単にまとめて話してみたがうまく伝わっただろうか。


馬鹿正直に話しすぎではあったが誰がに言いたい気分でもあったのでその辺は気にしないでおこう。


「知っているよ。全部。君がトム達から追放を受けたこともね。だから我々はあの勇者パーティーを国外へ追放するつもりなんだ」


事態の収集にうまく頭が追いついてこない。


横目でエレナを見るもポカンとしている。


国外へ追放? どうして?


このことだけで頭が全て覆い尽くされてしまっている。


それに、あいつらは俺をパーティーから追放しただけなのに国外へ追放なんてあまりにもやり過ぎている。


「どうしてそこまでするんですか? それはやりすぎでは無いのですか? 」


「君は何も分かっていない。トム達は君のようなレアスキル持ちの存在にすら気づかず乱雑に扱い、パーティーから捨てる頭の悪い連中だとよく分かった。だから、そのような使い物にならない奴をこの国の成長のために排除しなければならない」


能力主義が行き過ぎているようにしか感じられない。


俺一人が口答えしたところで国家としての方針を変えることなど今更到底できることでは無い。


それに、俺は正直ざまぁみろとしか思っていない。


あんなクズ連中がこの国から居なくなればどれだけ幸せな人が出てくることか。


「分かりました」


俺は一言言い残し、冒険者ギルドから宿屋に向かおうと歩き出す。


「君のこれからの活躍に期待しているよ」


背後から鼻につく言葉をかけられ、面倒な男と思いスタスタと宿屋に足をすすめた。

数多くある作品の中からこの作品を拝読してくださりありがとうございます!


ブックマークや星の評価を押していただけると大変嬉しく、はげみになります!


お手数をおかけしますがよろしくお願いします。

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