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10.焦り

腹ごしらえをした俺はエレナにやましい気持ちを少し抱きながらもそっとドア前で「ただいま」と囁く。


エレナはすやすやと寝ているようでホッとする。


俺はエレナの隣ではなく。ソファーで一人うたうたとゆっくり眠りについた。



コケコッコーという鶏の鳴き声ではなく、エレナが体を揺さぶる振動で目が覚める。


俺は朝から何だよという不機嫌な気持ちを少し見せつつ「おはよう」と低い声で言う。


すると、あまりの俺のテンションの低さにエレナは心配したのか顔がさっきまでの元気を失っていた。


「ご、ごめん。起こさないほうがよかった? 」


儚げな顔で言われてはこちらも強気に出れない。


俺の弱みをうまく利用したような声色に優しさを発揮してしまった。


「いや、起こしてくれてありがとう。ただ、昨日の戦闘でずっとスキルを使っていたからまだ疲れがとれなくて」


本当は夜に抜け出してステーキ食って寝不足なだけだけどこの際、嘘も方便と心に言い聞かせる。


俺の言葉に安心したエレナは顔がパッと明るくなった。


「なーんだ! フミヤ、まだまだだね。フフッ」


「人の頑張りを笑うなよな」


俺は冗談ぽくむすっとした顔をする。


「で、話戻すんだけど……」


突然、エレナの眉毛がピクリと動き目の色が変わった。


真剣な話とでも言うべきだろう。


「今日さ、冒険者ギルドで難易度が少し高めのクエストに挑もうと思うんだけどフミヤはどう? 」


俺は一瞬悩んだが答えはすぐに出た。


ノーだ。


理由は簡単。難易度が高くなると言うことは死亡率が上がると言うこと。ましてや、回復する人間が一人に主要攻撃が一人。合計でたったの二人。


こんなのは自殺行為としか俺はとれない。


それに、昨日のようにオークを討伐するだけでもそこそこの稼ぎにはなった。


だから、そこまで無理をする必要は今の俺たちには必要ないと思った。


このことをエレナにハッキリと伝えた。


「そうよね。私、少し焦ってたみたい」


唐突に難易度が上がるクエストを受けたいと言ってきたのにそのあっさりとした回答には妙な違和感があった。


「お金が必要なことでも見つかったの? 」


俺は素直に心の疑問をエレナに打ち明ける。


「その、武器が欲しくて……」


武器?


武器といってもエレナは魔法使いなはずだが….。


あっ。


魔法使いといえば杖か。


「もしかして、杖? 」


「うん。その方が格好がつくし、魔力を集めやすいの」


エレナが言うなら仕方ない。


「ちなみにどんなクエストで杖代稼ぐの? 」


「そうね、リザードマンの討伐かしら。だいぶ前に聴いたんだけどリザードマンって結構高値で討伐依頼があるらしいの」


初耳だけど当たり前のことだよねという顔を俺はしてしまった。


それは、リザードマンは他の魔物に比べて討伐難易度が高く設定されているからだ。


エレナは子供のような目で俺に討伐してお金が欲しい! という感情を顔でぶつけてくる。


もはや顔芸かよと突っ込みたくなる所だ。


「わかった。じゃあ冒険者ギルドに行こうか」


「うん」



道中ルンルンのエレナと少し不安を感じているでこぼこコンビの俺たちは冒険者ギルドに着いた。


ドアを開けいつものカランコロンと言う音より大きな音で俺に迫ってくる三人がいた。

数多くある作品の中からこの作品を拝読してくださりありがとうございます。


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