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金は人生の主導権を握るのになくてはならないものである

明日で最終回。という名の打ち切り。ブクマ評価、感想etcいただけると幸いです

「ねえ、ちょっとあなた」


「え、どうしたんですか、金持さん」


警察官さんたちが地面でのびているグリードを確保しようと群がる中、私は何食わぬ顔でその場から立ち去ろうとする一文君を捕まえて話しかけた。


「何よ、あれ」


「あれ」


一文君は私の問いに意味が分からないと言った感じで首をかしげた。その仕草が本当に思っていることなのかそれとも話をはぐらかせようとしているのかわからない私はしばらく彼の出方を伺った。


しばらくすると、分かったと言わんばかりに手をポンとたたいて傾げた首を元に戻した。


「ああ、あの炎の事ですか。あれは僕のマネーアクションですよ。普段使われているマネーアクションは筋肉強化とか、外国語翻訳とかそういう有用性が高いというか生活感が高いものが多いんですけど、マネーアクションの中にはさっき僕が出した炎みたいな――」


「わかっているわよそんなことは、私をバカにしているの」


予想の斜め下の説明をされて思わず大声で話しを中断させてしまった。


お嬢様として、淑女として育てられた私は人の話を途中で遮ってはいけないと言う初歩的なマナーも当然知っているのだけれども、あまりにも斜め下すぎる説明に思わず体が反応してしまった。


「そう、ですか。てっきり、金持さんはお嬢様だからこういう手荒というかグレーなことは知らないのかな……て」


「私もダーマ――光の弓矢を使っていたでしょう」


「あ……」


そういえば、的な顔に緊張感が抜け落ちていく。


基本マネーアクションはお金さえ払えば何に使ってもいいけど、攻撃系のマネーアクションだけは私的利用で罰せられる。罰せられないのは他者からの攻撃から身をまもっるための正当防衛もしくはがれきの下敷きになっている人を助けるなどの人命救助の場合と、一応はされている。


しかし、実際は今回のようなグリードの討伐でもマネーアクションの使用は認められている。ただこれは通常警察の仕事であり、民間人の手を借りたとなれば警察の威信にかかわることであるのであまり公にはされていない。


「お嬢様イコールとんでもない世間知らずじゃないのよ。知らないわけないでしょ」


「あははは、そうですよね……すいません」


公にはされていないが、大抵の人間はこの事実を知っている。知っているというより気づいている。警察官さんのマネーアクションではグリードに太刀打ちできないことに。


「私が聞きたいのはあなたがどうしてここに――」


私の話は叫び声にかき消された。


「うわ、なんだ。」


反射的に叫び声のした方へ振り向くとそこには縦横三メートル以上ある黒い立方体がいつのまに公園内に現れていた。


「なに、あれ」


黒い立方体は濁った川のように淀んだ黒色をしているが先が見えないほど濁っているわけではなく、私たちからの距離でもさっきの戦いで気絶したグリードがブラックボックスの中に収納されているのが確認できる。


グリード専用の特別な手枷を持って来るまで暴れられないようある程度の距離感を保って臨戦態勢をとっていた警察官さんたちはだれひとり黒い箱の中には入れず、みんな突き飛ばされたように尻餅をついていた。


もしかして、と思って一文君を見るけど彼も驚いた顔をしていた。


どうやら、一文君のマネーアクションっていう訳じゃないみたいね。


ふき飛ばされた警察官さんたちがマネーアクションで出現させた銃でブラックボックスを攻撃するけどヒビ一つ入らない。底なし沼みたいに銃弾が飲み込まれていく。多分私のダーマでもこの箱を壊すことはできないと思う。


特定のものだけを箱の中に取り込んで他のものは箱の外に追い出す。箱の外から攻撃しても吸収されて傷一つつけられない。


これだけのグリードアクション並のグリードのものじゃない。


ということは……


私はすぐに近くにある建物の屋上を見上げた。


この近くにこの人たちの指揮官もしくは今までの様子を傍観していた幹部クラスの奴がいるはず。


グリードについてわかっていることは少ない。分かっているのはグリードアプリという謎の非合法アプリをインストールしていることと、お金の代わりにグリードポイントを使って能力を使用すること。ポイント全損すると体が炭化して絶命することのみ。


謎の組織がバックにいるという噂があるが警察でもその尻尾はつかめていない。


でもその尻尾が今つかめるかもしれない。


私はこの近くで一番高い建物の屋上に二つの陰があるのを見つけた。


あれだ


私は突如出現したブラックボックスを無視して、その建物に向かおうとしたその時、


「うっ、あ、ああああああああああああああああああ」


「何」


活動限界を迎えてノックダウン寸前だった小柄のグリードが今度は緑ドーム状の光に包まれていた。


「ああああああああああああああああああああああああああああああ」


繭みたいになったドーム状の光の中からこの世と思えない断末魔の様な叫びが溢れ出していた。


「ちょ、大丈夫ですか」


一文君の声も叫び声にかき消される。


私のマネーアクションならあの緑色の光子たちを全部消し飛ばせるかもしれないけど、グリードになってる人間も一緒に消滅させるかもしれない。


私たちは何もできずその場で喉がはちきれそうなほど痛々しい断末魔を聞きながら様子を見ているしかできなかった。


耳をふさぎたくなる叫び声も奇襲に備えて聞き続けるしかなかった。


しばらくして、緑色の繭が消滅。中からさっきまでのぶつぶつ小柄巨人の面影が全くない変わり果てたグリードの姿があった。


ゴプ、グポォァ


「なによ、あれ」


中から現れたのはさっきまでヒト型だったのが嘘みたいに全身ドロドロに溶けた泥の塊の様なグリードだった。



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