第97話 次の作戦
アメリカ、国連本部の軍事参謀委員会では、先の作戦のことについて話し合われていた。
「先の作戦、『自由の咆哮』作戦についての最終報告が上がった。この戦闘で中破以上の被害なし。橙の艦艇群と呼ばれる艦の撃沈は予想よりなかったという話だ」
「良い結果ではないか。大成功とも呼べる戦果だろう」
「まさに人類が結束し、得られた勝利とも言える」
「キチンと結束しているかどうかは定かではないがな」
「ここで外交を持ち出すのはいかがなものか」
「まぁ、よいではないか。過程はどうであれ、結果が残されているのであればそれに越したことはない」
「だが問題が残されているのも、また事実」
「その問題をいかにして克服するかが、今後の焦点となる」
「して、その問題とやらを共有しようではないか」
「レッド・フリートの言い分によると、なんでも敵である白の艦艇の総数が10億隻もいるとかなんとか」
「10億だと?それは途方もない数字ではないか」
「現状、これだけの白の艦艇を相手するには、人類側の戦力では足りなさすぎる」
「さすがは知的生命体を滅ぼしてきた流浪の民だ」
「力だけは有り余っているいる感じだな」
「レッド・フリートが開発した、例のモジュールで有効的に倒せないのか?」
「先の戦闘で使用した所、余りに数が多すぎると、システムの電波が届かなくて効率的には倒せないようだ」
「現在、出力を強化できるようにアップデートを施すつもりではいるものの、それでもどこまで効果的かは定かではないそうだ」
「となると、残された道はただ一つ……」
「レッド・フリートに任せるしかないということだ」
「それで、レッド・フリートはなんと言っている?」
「白の艦艇群を効率的に撃沈するための作戦行動を取りたいと言ってきている」
「正直な所、信用していいのか?」
「そこは大丈夫だろう。これまでも人類のために色々としてきてくれたのだ。これからもしてくれるだろう」
そのレッド・フリートは紅の旗艦、そして少し形の変わった黒の艦艇の2隻だけで宇宙空間を移動していた。
「一体どこに行く気なんですか?」
「まぁそれはそこまでのお楽しみだ」
トランスはわざと言わないようにしていた。
黒島としては、トランスの考えていることは分からず、仕方なく紅の旗艦を動かしている感じだ。
そのまま移動すること数時間。トランスが指定したナビをもとに、ただ愚直に進んでいく。
「もうすぐで目的地だ」
そう言われたときには、丸い地球が全体的に見通せるような場所であった。
「それで、目的地には何があるんですか?」
「そんなに聞きたいか?」
「そりゃ、訳も分からずこんなところまで連れてこられている訳ですし、聞きたいですよ」
「私も知りたーい」
後藤はのんきな感じで言う。
「そこまで言うなら教えてやろう。ここには流浪の民が作った前線基地がある」
「前線基地?そんなのどこにも見当たらないですけど」
「普通に作るわけないだろう。もう少し考えたらどうだ」
「うーん……」
後藤も一緒になって真剣に考える。
「あっ、もしかして亜空間?」
黒島が気が付く。
「そうだ。この周辺空間には、流浪の民の前線基地が亜空間に収容されている」
「じゃあこの辺で亜空間走査をすれば、何かしら反応が出るってことですか?」
「その通りだ。早速やってみろ」
そう言われ、黒島は後藤に指示を出し、早速亜空間走査を行ってみる。
後藤が計器類をいじって空間を走査すると、ある場所で反応が大きく出た。
「すごくおっきな反応があるよ」
「一体どれだけの大きさなんだ……」
「どうだ?でかいだろう。わざわざこの亜空間を維持するためだけにいる艦も存在する程だからな」
「そうなんですか」
「この亜空間には約2000万もの白の艦艇が存在していると推測されている」
「2000万!?」
「前線基地という割には小型のショボい亜空間だがな」
「そうなんですか。でもこんな所にいたら俺たち攻撃されません?」
「当然される」
その瞬間、通常空間に白の艦艇が現れる。
「ちょっと!言ったそばから出てきたじゃないですか!」
「少しは落ち着け。アレの行動をよく見てみろ」
そういって黒島は半ば戦闘体制を取りながら、白の艦艇を注視する。
すると、白の艦艇は紅の旗艦や黒の艦艇のことを無視して、周辺を飛翔していた。
「……どういうことですか?」
「つまりだな。個人抑制用逆位相システムあっただろう?」
「えぇ、存じ上げてますね」
「それを応用して、我々の存在がいないように錯覚させているのだ」
「すごい。まるで発明みたいだ」
「ちょっとした発想の転換だよ」
そういってトランスは腕を組む。
「それで、これから具体的にどうするんですか?」
「まぁ、ここから作戦のようなものなんだが……」
「それは私の方から説明させてもらいます」
そういってレイズが出てくる。
「名付けて、伐採作戦です」
「ば、伐採?」
思わず黒島は聞き返してしまった。
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