第76話 パリの戦い 中編
バリアを貫通し、被弾した蒼の旗艦。
それはジーナのことを驚愕させることになった。
「なんで……!?あのタイプなら簡単に防げるはず……!」
なぜ蒼の旗艦のバリアを貫通することに成功したのか?
それは直前に行っていた紅の旗艦の操作によるものだった。
「意外といけましたね」
「えぇ。メインコンピュータは混乱しているようですけどね」
「まさかバリアの周波数を狙撃銃に乗せるなんて考えなかったよ」
「パリに入る時に思ったんだ。同じバリア同士でも通り抜けることができるなら攻撃に使えるってね」
「まさに逆転の発想ってところだな」
「そんなこと言ってないで、早く攻撃を仕掛けたら?彼女すごい怒ってるでしょ?」
ロビンの指摘通り、蒼の旗艦は少しずつ動き出していた。
「許されない……。私の防御を破って攻撃を加えるなんて許されない……」
それは怨念のようになって、レイズの所にまで響く。
「うぅっ。なんだか寒気のようなものを感じます」
「そりゃあバリアがアイデンティティのような蒼の旗艦だからな。それを貫通されたんじゃあ祟られても仕方あるまい」
そんなのんきなことをトランスは言う。
「けど、このあとはどうします?また狙撃銃で蒼の旗艦でも狙いますか?」
「それもいいんですが、機関の使用率に直結します。あまり連発されると、機動に支障をきたす恐れもありますからね」
「ではどうします?」
「ここまで来たら、やることは一つ」
そういって、レイズは腕を組み、胸を張って言う。
「突撃あるのみです!」
「なんとなく分かってましたよ……」
そういって黒島は肩を落とす。
しかしほかに方法はない。
現状狙撃銃以外の主砲にバリアの周波数を与える方法は存在せず、かといって狙撃銃を連発するにはエネルギーが足りない。
そのため、蒼の機関を倒すには接近戦に持ち込むほかないというわけだ。
それに、バリアの内側に入ってしまえば、主砲もミサイルも効く。
まさに最善の策とも言えるだろう。
「そんじゃまぁ、艦長の言う通りに……」
黒島はグリップを握りなおして、目を見開く。
「吶喊!」
紅の旗艦は蒼の旗艦めがけて突撃した。
それと同時に、蒼の旗艦も動き出し、紅の旗艦と相対する。
そしてバリア同士がぶつかった。
今回、双方のバリアの周波数が変更されているため、このように物理的な衝突が発生する。
それと同時に、船体に急激な慣性が働くため、黒島たちは体が投げ出されそうになる。慣性中和装置が働いているとはいえ、車の衝突にも匹敵するそれを抑えるには、わずかばかり力が大きすぎた。
「ぐえっ」
「しっかりしてくださいよ。これからが本番なんですから」
そういって、レイズは意識をバリアに集中させる。
互いに接触しているバリア部分から蒼の旗艦のバリアの周波数を割り出し、バリアを中和させようとしているのだ。
もちろん、これは簡単な技術ではない。
しかし、レイズの能力とメインコンピュータの性能によって、これを力技で解決した。
レイズは紅の旗艦が発するバリアの周波数を変更し、逆位相になるように調整する。すると、互いのバリアが干渉し合い、まるでバリアなどないような状態になる。
これによって、バリアは事実上無意味となり、蒼の旗艦に直接攻撃を与えることができるのだ。
バリアを抜けたことを確認した黒島は、すぐさま行動に移った。
「艦首砲発射!」
バリアを通り抜けた場所に位置する艦首砲を、蒼の旗艦に砲撃する。
艦首砲は、狙撃銃によって損傷していた箇所に直撃し、そのまま大爆発を起こした。
そのまま蒼の旗艦は後方に崩れるように移動し、高度を下げていった。
そしてあたかも狙っていたように、エッフェル塔へと衝突する。
その衝撃によって、エッフェル塔は塔の基礎に相当する下部あたりからへし折れ、その威厳を喪失した。
しかし幸いなことに、蒼の旗艦が持ち直したことによって、それ以上の被害は出ることはなかった。
そのまま蒼の旗艦は八つ当たりするかのように、紅の旗艦へと向かってくる。
「何度やっても同じことですよ!」
そういってバリアを再度展開しなおす。
しかし、今度は蒼の旗艦がレイズと同じやり方でバリアを貫通してくる。
そしてそのまま一手先に紅の旗艦に砲撃をかました。
「うぉ!」
反射的に黒島が艦を横にずらしたことで、艦への直撃は免れた。
しかし艦のスレスレをビームが通ったことにより、外殻にダメージが入った。
「このぉ!」
黒島は間髪入れずに、砲撃を叩き込む。
だが、砲撃は当たっているにもかかわらず、ビームははじかれてしまう。
「何が起きている!?」
黒島の疑問に、後藤が答える。
「これ、反応からして、艦の表面ギリギリにバリアを展開しているんじゃないかな?さっきの攻撃からバリアの反応が艦の周囲からなくなってるし」
「そうなったら厄介だな。やつはバリアの扱いに関しては流浪の民でも一番だ。この状態から勝つ算段はまず見つからない」
「それでも勝たなきゃいけないんですよ」
そういって黒島は一旦蒼の旗艦から距離をとる。
「打開策は必ずあるはずです」
そういって黒島は蒼の旗艦に対して執念のまなざしを向けた。
本日も読んでいただきありがとうございます。
もしよろしければ、下の評価ボタンを押していってください。また、ブックマークや感想も随時受け付けています。
次回もまた読んでいってください。




