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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第73話 第7次攻撃 後編

 国連軍艦隊から見て、No.2の奥の方から白の艦艇群がやってくる。

 どうやら次々とワープしてきているようで、その数は時間と共に増大していく。


「白の艦艇、数1万を突破!」

「蟻のように出てきますね。しかしこっちにも秘策はあるんですよ」


 その秘策というのが、橙の艦艇群である。前線で沈んでも、後方の支援が途切れない限り、延々と艦艇を吐き続けるマシーンと化す。それを可能にするのが、黒の旗艦やその隷下の艦艇群に装備されている核融合転化炉である。これと設計図さえあれば、どんな物質でも自由自在に製造することが可能となっているのだ。

 そんな中、No.2は最後の力をふり絞って、国連軍宇宙艦隊やレッド・フリートに向けて攻撃を仕掛けてくる。

 しかし、そんなNo.2にトドメを刺したのは、紅の旗艦であった。

 火力を総動員して、その船体が粉々になるまでビーム砲やミサイル、はたまた二重銃身回転式狙撃銃ダブルバレルスパイラルスナイパーライフルを用いて、完膚なきまでに破壊しつくす。

 こうして、No.2は実質破壊され、その機能を喪失した。

 そして問題は白の艦艇群である。まだまだ湧いて出てくる白の艦艇群に対処するため、レイズは紅の艦艇群を呼び出そうとする。

 しかし、例によって、あの頭痛が発生する。


「ぐぅ……」

「大丈夫ですか?」

「えぇ。今回は対策を講じてきたので……!」


 その対策というのが、トランスと共同開発した、逆位相対電波装置である。

 前回レイズに向けて発せられた電波は紅の旗艦のメインコンピュータに記録されていた。それを用いて、トランスが逆位相の電波を造り出していたのだ。これは現代でもノイズキャンセリングの技術で用いられているものである。

 そんなわけだから、レイズは無事に紅の艦艇群を呼び出すことに成功した。

 その数、15000。

 これだけあれば、白の艦艇群に対抗できるし、橙の艦艇群の主目標である戦闘データの収集も行いやすい。


「さぁ、反撃に打って出ましょう!」


 レイズの号令と共に、紅の艦艇群が前進する。

 それに合わせるように、白の艦艇群もNo.2の残骸を避けて突進してくる。

 そこに遅れを取るまいと、血気盛んな橙の艦艇群も飛び込んでいく。

 No.2の残骸がある宙域は、戦闘を行う上でかなり地上に近いような場所だった。

 残骸があるおかげで、遮蔽物が出来上がり、そこに身を隠すなり、後ろから奇襲をかけて白の艦艇群を撃破するなど、橙の艦艇群を操作している人間にとっては、ゲームによって鍛えられた成果が確実に存在する。

 しかし白の艦艇群や紅の艦艇群はそうは行かない。

 レッド・フリートの艦艇が遮蔽物に逃げ込めば、そこに向かってビームやミサイルを発射する。それによって遮蔽物ごとぶっ飛ばし、確実に攻撃を加えていく。

 そのような、ある意味脳筋プレイの効果により、橙の艦艇群は数を著しく減らしていく。 しかし、これですべてが終わりというわけではない。

 彼ら橙の艦艇群には、リスポーンという概念がある。

 早速自分が操作していた艦艇を脱出し、新しい艦艇に乗り換える。それはまるで、ゲームで一度やられた時に、別の機体に乗り換えて戦うようなものであった。

 そして、この戦法は白の艦艇群にとっては衝撃的なようだ。

 その動きに変化があり、どちらかというと防御よりになっている。


「今です!一斉攻撃開始!」


 整然と並んだ紅の艦艇から、前方に向けて一斉に主砲が射撃される。その光景は、一種の光の芸術作品を見ているかのようだった。

 その攻撃の甲斐あって、白の艦艇群は9割以上の被害を被った。

 しかし、まだ残っている艦艇もある。

 そこは橙の艦艇群に任せてもいいだろう。

 そんな空気が流れている時だった。


「……!レーダーに感あり!」

「ここで援軍ですか。白の艦艇もまだ遊び足りないようですね」

「違う、この反応、見たことない!」

「え?」


 そういっていると、国連軍宇宙艦隊の後方から何かワープアウトしてくる反応が見えた。

 レイズが正体不明の艦を解析し、一つの結論に至る。


「あれは、蒼の艦艇……!」

「蒼の艦艇?」

「えぇ、私の対極にいる存在で、いわばライバルのような存在。それが蒼の旗艦。その隷下に存在する艦艇群です」

「紅の旗艦の対極にいるってことは、あの艦は……?」

「防御に特化した艦。完全防御を得意とする艦です」


 完全防御。それだけで、勝てる見込みがなくなるのは気のせいだろうか。


「ですが、艦艇クラスなら簡単にバリアを破壊することができます。問題はなんで今のタイミングで現れたかってところですね」


 そういっている間にも、蒼の艦艇群は国連軍宇宙艦隊へと近づいていく。

 レイズは紅の艦艇群の一部を使って、国連軍を防衛しようとする。

 紅の艦艇群が配置についたときにはすでに、蒼の艦艇群はそこそこのスピードで突っ込んできていた。

 ギリギリのところで、紅の艦艇群は反撃に出る。

 しかし、蒼の艦艇群は自慢のバリアを展開し、そのまままっすぐ突っ込んできた。

 そしてそのまま正面衝突する。その際、バリアの形を変形させ、先端を尖らせるようにしていた。それはまるで、(いにしえ)の時代、艦同士が衝突させる時に、加害力を高めるために使用した衝角そのものである。

 そして、そのまま紅の艦艇群は突き破られるように撃沈される。

 しかし半面、蒼の艦艇群も無傷ではいられなかった。衝突の際のダメージが艦にも届き、グシャグシャになってしまう。

 そのまま宇宙空間を漂うかと思いきや、証拠隠滅を図るように大爆発を起こした。

 すでに白の艦艇群は橙の艦艇群によって完全に殲滅され、蒼の艦艇群は謎の自爆によって破壊された。

 そして、国連軍宇宙艦隊旗艦のエンタープライズはこう宣言する。


『今ここにNo.2は撃破され、目標は達成された』


 おそらく、日本のどこかで歓声が上がっていることだろう。

 しかし、それに対して、あまり喜びがない人が一人。


「レイズさん、どうかしました?」

「いえ、何でもないです」


 黒島はそこに違和感のようなものを覚えた。

本日も読んでいただきありがとうございます。

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