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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第72話 第7次攻撃 前編

 それから数日間は、あることに向けて無人艦を量産することになった。

 それは第7次攻撃に無人艦を参加させることだ。ここで無人艦を戦闘に参加させ、戦闘データを収集する。それを無個人データに集約することで、真の意味での無人艦を誕生させることが目的だ。

 そのためのデータ収集に関しては、黒の旗艦、トランスが一切を任されていた。

 そして日本時間2月19日の21時。

 太平洋のど真ん中上空に鎮座するNo.2。それを攻撃するためにアメリカ西海岸上空に集結する国連軍宇宙艦隊とレッド・フリート。

 今回の作戦から、無人艦の総称を橙の艦艇とすることにした。もちろん、艦の外装の色から取られた総称だ。

 今回参加する橙の艦艇群は、総勢で1000程度。もし途中で沈んでしまったとしても 珍しく前線に出ている黒の艦艇群によって構築され、順次出撃が可能な状態になっている。

 その様子を見ていた日本の巡航艦「瑞鶴」では、異様な目で見られていた。


「ただのゲーム感覚で参加する民間人なんて、まるで資源がなくなって総玉砕までなった戦争末期のような感じですね」

「だが、彼らは安全な地上から艦を操縦している。ありがたいことに人的資源はそう簡単になくなりはしないよ」

「それもそうですけど……。しかしいいんでしょうか?ただの民間人に戦争を手伝わせるような行為は……」

「それも仕方あるまい。実際政府はこのことに関して黙認状態にある。今更何をしようがもう遅いさ」

「既成事実、ですか」

「前例を作ってしまえば、あとはそれを元にいくらでもねじ込める。良心を捨てた者だけがたどり着ける境地さ」


 同時刻、紅の旗艦。


「へっくし!」

「黒島君、風邪?」

「いや?誰かが噂してるかもな」


 そんなことを言っている間に、時間がやってくる。

 トランスが橙の艦艇群の民間人にメッセージを言う。


「今日は集まってくれて感謝する。今回の目標はここにいるほとんどが知っているであろう通称No.2の攻撃だ。良く知らないものに簡単に説明すると、地上を監視、攻撃するために建造された艦だ。よって、対艦兵装はそこまで充実していない。今回の我々にとっては簡単な作戦行動になるだろう。場合によっては邪魔が入る可能性も否定できないが、その時は臨機応変に対応してくれ。話は以上だ。あとは国連軍の指示があるまで待っていてくれ」


 そういって、トランスは通信を切る。


「なんだか緊張してませんでしたか?」


 レイズがしたり顔で話してくる。


「そんなわけあるか。こういうのは独り言をやるようなものだ。緊張なんかしない」

「そうですかねぇ?」


 なんだかレイズがトランスのことを煽っているようにも見えると思った黒島であった。

 そんな中、エンタープライズから通信が入る。


『こちら国連軍宇宙艦隊旗艦エンタープライズ。これより、No.2撃破を目標とした第7次攻撃を開始する。全艦、前へ』


 そういって、国連軍宇宙艦隊を先頭に、艦が前進する。

 紅の旗艦や橙の艦艇も一緒に前進した。

 唯一、黒の旗艦とその隷下に存在する黒の艦艇群は、橙の艦艇のリスポーンを兼ねているため、このまま後方でお留守番である。

 さて、前進した艦隊は、早速ミサイル攻撃をすることになった。

 国連軍宇宙艦隊が先導してミサイルを発射する。

 それに合わせるように紅の旗艦や橙の艦艇群もミサイルを発射した。

 これだけを見れば、レッド・フリートの発射したミサイルの方が数は多い。

 そのまま見守ること数十分。

 No.2の対艦機銃が反応し、ミサイルの撃墜を行う。

 しかし、数千発ものミサイルを対艦機銃で墜とすのは困難に等しく、ミサイルは確実にNo.2へと突き刺さった。

 しかし、No.2の耐久力はこんなものではなく、直ちに反撃を開始する。遠距離砲撃用のビーム砲が国連軍宇宙艦隊のことを定め、発射した。

 しかしそれは橙の艦艇群に命中する。この一射で数十の艦艇が沈む。それらを操縦していた民間人は、後方で待機していた黒の艦艇群によって生産された、新しい橙の艦艇に接続し直し、再び出撃する。

 この橙の艦艇の良いところは、黒の艦艇さえあれば簡単に量産が可能で、さらに人的資源が減らないことにある。これは地上でも無人艦の運用をしているアメリカ海軍や日本海軍でも同じようなことが言えるだろう。

 そんな中、どんどんNo.2に近づいていく宇宙艦隊。攻撃は次第に手荒いものになっていく。

 それでもレッド・フリートが国連軍を守るように先頭を行く。バリアを展開すれば、対艦機銃程度の攻撃など、簡単に防ぐことができるのだ。

 そうしている間に、橙の艦艇群が前に出て、一斉に攻撃を開始する。いや、一斉に攻撃を開始したというより、トランスの指示によって攻撃を開始したというべきか。

 どちらかというと、周りの目を気にしがちな人が多い民間人では、たとえこれがゲームのような現実世界だとしても誰かに許可を求めがちである。それを解消するために、トランスが音頭を取っているというわけだ。


「橙の艦艇群、最大火力を前方に集中。攻撃を行え」


 この一言があるだけで、橙の艦艇群は嘘のように攻撃力の塊と化す。


「いやーすごいな。こうしてみてみると壮観ですよ」

「そうですね。こうやって民間人による戦闘データが収集できれば、それだけ無人艦になった時の期待値が上がるってものですよ」


 そんなことを話していると、レーダーに何かが映る。


「この反応……、白の艦艇群が接近中!」

「ここでお邪魔が入ったか」


 ここからが正念場だと黒島は感じた。

本日も読んでいただきありがとうございます。

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