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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第57話 フエゴ島の戦い 後編

 黒島は艦を前進させて、白の艦艇群の中へと突っ込む。

 数としてはいまだ8000はいるだろう。

 そんな白の艦艇群を率いるように、翠の艦艇群はぐんぐん前進する。


「黒島!そっち持っていくから、タイミング合わせろ!」

「了解!」


 そういって、翠の艦艇群は転進し、紅の旗艦のいる方向へと突っ込む。

 そして、紅の旗艦の横を通過した。

 その瞬間、黒島は紅の旗艦の火力を集中させる。


「主砲斉射!」


 前方に火力を集中したことにより、集団に密集していた白の艦艇群に効率よく攻撃が当たる。

 紅の旗艦による攻撃を察した白の艦艇もいたが、回避に間に合ったものはわずかで、先頭を走っていた白の艦艇はもろに攻撃を食らう。

 しかし、それでも白の艦艇を一掃できずに、後方からやってくる白の艦艇に揉まれる。

 紅の旗艦はギリギリのところで回避をしたものの、少なからず攻撃を食らった。


「ぐっ……。ダメージは!?」

「大丈夫、外装に傷がついたくらいだよ」

「紅の艦艇群、攻撃を開始!」


 レイズの合図で、紅の艦艇群が動く。

 翠の艦艇を先頭に、白の艦艇群、そして紅の艦艇群が一列になって宇宙空間を猛スピードで移動する。

 その姿はまるでトリコロールカラーのようだ。

 白の艦艇群が翠の艦艇に攻撃を加える。しかし、翠の艦艇はその攻撃を素早く躱していく。

 その後ろから、紅の艦艇群が攻撃を加えて、白の艦艇群を減らす。

 それがしばらく続いた。

 しかし、ここで白の艦艇群が動く。後ろ半分程度の艦艇群が艦隊から離れ、紅の艦艇群へと方向を変えてきたのだ。

 紅の艦艇群はそれに動じず、冷静に対処していく。

 二つの艦隊が交差し、戦場となっている宇宙空間はより一層の混乱を見せている。

 紅の旗艦もその混乱に乗じて、白の艦艇群を攻撃する。


「黒島!もう一度行くぞ!」

「了解!」


 再び翠の艦艇が紅の旗艦と交差する。

 その瞬間、砲撃に加えてミサイル攻撃も行う。

 紅の旗艦による飽和攻撃は先ほどよりも白の艦艇群を墜とし、確実に白の艦艇群の戦力を削ぎ落していく。

 一方で、紅の艦艇群と白の艦艇群との戦闘も大詰めに入ってきた。

 もとより白の艦艇群と同等の戦力を呼び出していたレイズの功績もあって、数を減らして戦っている白の艦艇群は不利な条件で戦闘を継続している。

 そしてその数も1000を切ろうとしていた。


「さぁ、大詰めですよ!」


 そういって、レイズは紅の艦艇群を引き連れて、白の艦艇群を球状に包囲しようとする。

 もちろん、そんなことをされては白の艦艇群は防戦一方になってしまうため、これをなんとしても打破しようと行動を起こす。

 白の艦艇群が取った行動は、一点集中突破である。

 矢じりのようになって、包囲網から脱出することで現状を打破しようと考えたのだろう。 しかし、そのように密集してしまえば、格好の餌食になってしまう。

 そこを紅の艦艇群によって攻撃される。各艦が砲撃やミサイル攻撃することによって、飽和的に攻撃を加えていく。

 これによって、見かけ上の矢じりの大きさはどんどん小さくなる。

 最終的には白の艦艇は500を切り、もはやレッド・フリートに勝つ算段はなくなってしまった。

 それでもなお、白の艦艇群は抗おうと、戦場を縦横無尽に移動する。


「ちょこまかとしつこい奴ですね……」

「大丈夫だ。ああいう奴は俺の艦艇が性に合っている」


 そういってロビンが出る。

 たった数百隻もない翠の艦艇群であったが、数的不利をものともせず、白の艦艇群に襲い掛かる。

 そして、次第に白の艦艇群は数を減らしていき、そして最後の一隻が破壊された。


「周辺に白の艦艇と思われる反応ないよ」

「戦闘終了。お疲れ様」

「はぁー。疲れたー」

「最終的に戦闘に参加した白の艦艇は10000隻かい?」

「そう出てるよ」

「それでも白の旗艦の隷下に存在する艦艇に比べれば、まだまだ少ないな」

「そうですね。今後も注視していきましょう」


 そういってると、通信が入る。


『こちら国連軍宇宙艦隊旗艦のエンタープライズだ。レッド・フリートの諸君、戦闘の勝利を祝おう』

「なんで終わったタイミングで出てくるんですかね」

「火事場泥棒じゃないですか?知らないですけど」

「それはありうるぜ。あいつらの装備じゃ白の艦艇とまともにやりあうことはできないからな」

「それもそうですね」

『これらの残骸は我々が処理する。諸君らは帰ってもらっても構わない』

「ですって。掃除するから帰れってなんだかひどい気もしますけど」

「いえ、彼らは残骸を回収するつもりなんでしょう。そこからサルベージした流浪の民の技術を吸収すれば、何かしらの成果をあげることができますからね」


 そういって、レイズは通信を入れる。


「それではお言葉に甘えて、このまま帰還する。メリークリスマス」

「あぁ、そうか。今日はクリスマスイブだったっけ」

「そうだね」

『メリークリスマス、レッド・フリート』


 こうして黒島たちは元の亜空間へと戻っていった。

本日も読んでいただきありがとうございます。

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次回もまた読んでいってください。

そしてあけましておめでとうございます。

本年も紫 和春とその作品をよろしくお願いします。

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