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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第50話 捜索

 翌日の12月13日。この日は自宅にて授業を受ける日だ。

 その間に、黒島はある考えを張り巡らしていた。


(仮に翠の旗艦を仲間にして、一体何ができるのだろうか?)


 レイズが言うには、翠の旗艦は機動力に優れた艦だという。

 それなら、機動力を活かして牽制や囮に使うのが最良の手段七日もしれない。


(どっちにしろ、翠の旗艦が仲間になってからになりそうだな)

「……島君、黒島君聞いてますか?」

「え?あ、はい」

「では今のところテストに出しますね」

「えっ」


 そんな感じで、一日の授業を受け終わると、後藤から連絡が入る。


『今日の夜9時に集まるんだよね?』


 この日は翠の旗艦を捜索するために、紅の旗艦で宇宙探査する予定になっている。


「そうだよっと」

「まったく、何ニヤニヤしながらメッセージ打ってるんですか」

「レイズさんには関係ないでしょう」

「人類代表がそういう性格していると、こっちにまで迷惑がかかりますからね」

「そうじゃないでしょう」

「ま、別に何をしてもかまいませんが、ちゃんとしててくださいね」

「分かってますって」


 そういって、時刻は20時53分。

 すでに後藤からは準備ができたという連絡を受けている。


「それじゃ移動しますね」


 紅の旗艦のコックピットにワープする。


「こんばんは、黒島君」

「おう」

「それじゃあ全員集まったことですし、早速探査のほうに行きますか」

「俺を忘れるんじゃあない」


 そういってトランスが出てくる。


「もちろん忘れてませんよ。これで役者は揃いましたし」

「全く、調子がいいんだから」


 黒島たちは苦笑いしながら配置につく。


「それでは、亜空間レーダーによる探査を行います。梓ちゃん、そこのレーダー切り替えのボタンを押して横のつまみを4に合わせてもらえますか?」

「はい」


 後藤は指示通りに、レーダー切り替えの操作を行う。

 すると、黒島と後藤が見ているレーダーの様子が切り替わる。


「これが亜空間を捉えるために特殊なレーダーで見た景色です。空間の境界が見えるのが分かりますか?」

「はい」

「それが亜空間に置ける極限値、いわゆる空間の端になります。この端を超えようとすると、強制的に進路が内向きになり、空間内を移動し続けることになります」

「へぇ」

「そして、この亜空間から、別の亜空間を検知することも可能なのです」

「そういう技術を流浪の民は持っているのか……」

「さすが祐樹さん、察しがいいですねぇ」

「そういうほめ方します?」

「いいじゃないですか、なんだって」


 そういって、黒島は紅の旗艦を前進させる。


「それで、亜空間探査って具体的にはどうするんですか?」

「亜空間探査には、通常2種類の方法があるんです。今回は亜空間にいながら亜空間を探す方法を使いましょう」


 レイズは後藤に指示を出す。

 どうやら、機関の出力パターンを変更しているようだ。

 調整が終わると黒島の操舵に異変が起きる。


「なんだ?なんだか舵が鈍くなったような……」

「そうです。この出力パターンでは亜空間そのものを移動させながら探査するんです」

「んな面倒なことを……」

「でもいいんですか?もう一つの方法は、通常空間から亜空間を走査する方法なんですよ?通常空間には白の艦艇がウヨウヨといます。そんな中、探査できると思います?」

「うーん……。無理ですね」

「でしょう?なので亜空間から走査する必要があるんです」


 そういって、レイズは黒島に前進させるように指示した。

 黒島はそれに従い、艦を前進させる。それと同時に、レーダーの情報が更新されていく。

 しかし、レーダーには、真っ暗な暗闇しか映っていない。


「この辺じゃないんですかねぇ?」

「走査範囲広げたほうが良いのではないか?」

「そうですね。梓ちゃん、レーダーの走査範囲を広げてください」

「うん」


 これにより、かなりの範囲が走査可能になった。


「そういえば、亜空間の外には距離のような概念ってあるんですか?」

「あるにはあるんですけど、通常空間とは異なるんですよねぇ」

「へぇ……」

「通常空間や亜空間の外側っていうのは余剰空間になってまして、そこは通常空間とは少し異なる物理法則が流れているんですね。すると、当然距離という概念も若干変わってきてしまうんですね」

「そうなんですね」

「空間の外って考えたことなかったなぁ」

「案外宇宙って脆い支えの上に成り立っている部分もありますからね」


 そんなことを話していると、レーダーに変化が現れる。


「近くに亜空間のようなものがありますね」

「中身が何だとかわかりますか?」

「まだここからじゃ分からないですね。もっと詳しく走査しないと」


 黒島はその亜空間をスキャンするように、走査していく。

 そして、走査によって全貌が分かる。


「半径約1万kmの亜空間ですね」

「でかいなぁ」

「そして、その中心を見てください」

「何か点のようなものがあるね」

「これこそ我々が求めていたもの。翠の旗艦そのものと言えます」

「ほんとですか?」

「あの艦から発せられる信号も解析した。翠の旗艦で間違いないだろう」

「それじゃあ、この亜空間にもぐりこみましょうか」


 そういって、レイズは翠の旗艦のいる亜空間に突入する準備を始める。


「亜空間衝突時のエネルギー算出、機関吸収範囲内。空間流体計算、ヨシ。祐樹さん、かなりの速度であの亜空間に突入してください」

「具体的にはどれくらいで?」

「大体光速の4%くらいで」

「分かりました」


 黒島は亜空間の速度を上昇させる。そして、そのまま翠の旗艦のいる亜空間へと突入した。

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