表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/140

第49話 話し合い

 家に戻った黒島は、レイズに問いかける。


「途中でやってきた集団、あれは一体何なんです?」

「あれですか?あれは私たち紅の旗艦や黒の旗艦と同じように、旗艦級の艦の一つ、翠の旗艦の隷下に存在する艦艇です」

「翠の旗艦……」

「はい。翠の旗艦やその隷下に存在する艦艇の特色は、なんといってもその機動力です」

「そういえば、こちらが発射したミサイルとか避けてましたね」

「えぇ。紅の旗艦が敵の攻撃が当たる前に攻撃をする艦だとしたら、翠の旗艦は攻撃に当たらないことを前提にした艦とも言えます」

「これは面倒なことになりましたね」

「全くです。よりにもよって、このタイミングで翠の艦艇と遭遇するなんて……」


 レイズは困ったように言う。


「それで、どうするんです?」

「どうするもこうするも、これも一緒に対応していくしかないでしょう」

「せめて翠の旗艦がどこにいるかさえ分かればいいのに……」

「そんなことしてどうなるんですか?」

「ほら、大本を叩けばあとは散り散りになるとかないですかね」

「うーん。なくはないでしょうけど、可能性は低いですねぇ」

「そうですか……」

「でも考えは悪くないですね」

「というと?」

「トランスさんと同じようなことをすればいいんですよ」

「……つまり仲間に引き入れるということですか?」

「そういうことです」

「けどどうやって仲間に引き入れるんです?トランスさんの時は、強引に行ったからいいものの、今度は機動力極振りの相手ですよ」

「まぁ、方法がないわけではないので」


 レイズに一体どのような算段があるというのだろうか。この時、レイズは明かしてくれなかった。

 一晩経って、ラスベガスの詳細な情報が入ってくる。

 それによると、死者数、負傷者数ともにこれまでの地上攻撃の中では最多人数を記録したようだ。だが、これは直接的な攻撃によるものではない。

 街が火災や建物の倒壊によって、二次被害を被ったのだ。それにより、死傷者数が多く出ることになった。

 もちろん、消防や警察といった施設も多大な被害を受け、一時ラスベガスは混乱に陥った。攻撃直後は軍によって避難活動が行われるものの、被害を軽微に抑えることは困難に等しかった。

 現在では、近隣の街から警察や消防などが派遣され、なんとか事態の収束に向けて動いているようだ。

 それと同時に、このようなニュースも流れてくる。


『紅の旗艦、意外と無用の長物では?』


 それは、ラスベガスの被害を未然に防ぐことができなかった紅の旗艦への責任を問うものであった。


「これ、俺のせいなのか……?」


 そう、黒島は一度レイズの意見に対して、八十野少将の判断を仰ぐように言った。

 もしそれがなかったら、今頃ラスベガスの街の被害はもっと軽微でいたことだろう。


「今それを悔やんでも仕方ありませんよ。これはすでに起こってしまったことなんですから」

「そうかもしれませんけど……」

「そんなことより、翠の旗艦を何とかするほうが先ですよ」


 そういって、レイズはトランスと後藤を呼ぶように言う。

 黒島は後藤を呼び、屋上に出る扉の前に集合した。


「これから数日の間に翠の旗艦を仲間にします」

「お前、それ本気で言っているのか?奴はすばしっこいぞ」

「もちろん分かっています。しかし、ここで仲間にできれば、それは心強いこと間違いなしです」

「それで、具体的にはどうするの?」

「ざっくり言えば、ローラー作戦ですよ」


 そういって、レイズは説明を始める。


「まずざっくりと作戦を言いますと、亜空間に潜伏した翠の旗艦を特殊なレーダーで探索するって話です」

「ずいぶんとさっくりしてますね」

「これぐらい単純なほうが分かりやすくていいでしょう?」

「まぁそうかもしれないですけど」

「翠の旗艦は前のトランスさんみたいに通常空間にいません。そのため、私と同じく常に亜空間に潜伏しています」

「それを特殊なレーダーで探すと言いますけど、そんな特殊なレーダーなんてあるんですか?」

「それがあるんです。地球にはない我々流浪の民だけが持つ特殊なレーダーが」

「亜空間走査レーダーだな」

「トランスさん、答えを言わないでくださいよぉ」

「もったいぶるお前が悪い」

「おほん。とにかく、その亜空間走査レーダーを使って、私たち以外に亜空間を使っている場所を探るんです」

「それで、探った場所にいるのが翠の旗艦というわけですか」

「そうですね。……ほかにもいろんなのがいますけど」

「何か言いました?」

「いえ、何でも!」


 黒島は訝しんだ。


「とにかく、今は翠の旗艦を仲間にすることに集中しましょう」

「そうだ。八十野少将に連絡でも取っておきますか?」

「お願いします。また動けないなんてことがあると面倒ですから」


 そういって、黒島は八十野少将に連絡を取る。

 返事が返ってきたのは夕方であった。


『大気圏外での活動に関しては、一切責任を持つことができない。それでもかまわないというのなら、自由にやるといい』


 このような返事であった。

 本格的な探査は明日以降になるだろう。

本日も読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければ、下の評価ボタンを押していってください。また、ブックマークや感想も随時受け付けています。

次回もまた読んでいってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ