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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第45話 駆け引き

 その後も司令官との話は続いていく。


「君たちの身分としては、軍人ではなく、協力関係にある外部の民間関係者という立ち位置になるだろう」

「そうなんですか?」

「いや、前例によればの話だ。我々もこのような事態は想定外というか、経験をしたことないものでね」

「それもそうですね」

「その際には協力金も支払う形になるだろう」


 そんな時、ある士官が司令官室に入ってくる。


「失礼します」

「どうかしたか?」

「国防省から連絡が入りました」

「そうか、お繋ぎしてくれ」

「はい」


 そういって、司令官室にモニターが準備される。

 モニターにパソコンがつながれると、Web会議システムが画面に表示された。

 そこには、どこかの会議室のような場所に、複数人の男性がいる光景が映される。


「どうも、相生国防大臣」

「やぁ、八十野少将。元気にしているかね?」

「最近は艦の数が少なくなって寂しいものですよ」

「それは仕方ない。現在、戦力の拡充を目指して、新型艦の建造をしている所だ。もう少し待ってほしい」

「えぇ、その辺のことは分かっているつもりです。それで、本日はどのような要件で?」

「今日はレッド・フリートという組織がそちらにいるらしいじゃないか。国連でも騒がれた組織が、一体どんな人物で構成されているのか見てみたくてな」

「そうですか」

「それで、誰がレッド・フリートの構成員なんだ?」

「自分ですけど……」


 黒島はおずおずと手を挙げる。


「君がレッド・フリートの一人か。その見た目からすると、高校生のようだが?」

「はい。高校生です」

「そうか……」

「あの、何か?」

「いや、何でもない。それでだ、八十野少将。彼らと協力することは可能であるか?」

「今、そのことに関して話をしていたところです」

「レッド・フリートの諸君、このような聞き方で申し訳ないが、我々に協力してもらうことはできそうかね?」

「えぇ。問題ありません。いいよね?」

「私も問題ありません」

「そうですね」

「そうか、ありがとう。君たち民間人の協力に関する法整備や調整は私たちの仕事だ。そこは任してほしい」

「お願いします」

「問題はその解釈をどこまで拡大するかというところだな」


 後ろから山田が聞こえるようにしゃべる。

 それに相生大臣が反応する。


「そこにいるのは?」

「どうも。内閣情報調査室の山田です。情報はあるでしょう?」

「君が山田か……。情報は入っている。確かに君の言う通りかもしれないな」

「どういうことですか?」


 黒島が質問に入る。


「俺も言っただろう?先の準国家承認の際の脅しをどこまで本気にするかって話だ。今目の前にいる大臣は、それを本気に考えている」

「そうなんですか、大臣?」

「……あぁ、そうだ。君たちの持つ武力は世界で通用する。今後の外交カードとしても機能するだろう」

「俺たちを政治のダシにするってことですか?」

「身もふたもないことを言えば、そういうことになる。だが勘違いしないでほしい。君たちには危害を加えるようなことはさせない」


 その言葉に嘘はないとレイズは判断する。

 しかし、レイズにとっての人類代表は黒島だ。黒島がなんというか分からない。


(どうする、もしこのままだと政治の闇に葬られる可能性も否定できない……。だからといってここで拒否すれば、これまで努力をしてくれた知らない人間に反することになるのでは……?)


 黒島は謎の理論展開で混乱していた。

 その時、ある人物が割り込んでくる。


「なら、我々からの要求は通させてもらえるんだろうな?」

「誰だね?」

「同じく、レッド・フリートに所属しているトランスというものだ。主に後方支援に特化している」

「仲間なのか?」

「えぇ、はい」

「それで、そちらのいう要求というのはなんなんだね?」

「我々レッド・フリートは戦力が欠乏している。流浪の民に対して戦力が圧倒的に足りてない状況だ。そこで、人類側の技術も取り入れた新しい艦艇を建造したい。それも大量にだ」

「技術供与というわけか」

「そうだ。それなら、高度な政治問題としてそちらに組み込むことも可能ではあるだろう?」

「確かに……。技術提携は官民がやる常套手段。それに漬け込めば、外交カードとしても信頼を保てるというわけか」

「まぁ、そうなるな」


 そこで相生大臣は悩む。

 その横では秘書官だか関係する役人だかが相談し、大臣に助言をしている。

 そして相生大臣は決断した。


「よし、君たちと技術提携する方向で入ろう。そうすれば、様々な状況で対応が簡単になるだろうからな」


 こうして簡単ではあるものの、レッド・フリートと国防省の間に軍事的相互技術協定が結ばれることになった。

 こうして、相生大臣との会談は終了する。


「今日は疲れただろう。もう帰ってゆっくりしなさい」


 そういって、八十野は部屋を出るように指示する。


「今後も連絡を取り合うことがあるから、連絡先を教えてもらえると助かる」

「それなら、この基地に来る可能性もあるので、簡単な身分証とか顔パスできるようにしておいてください」

「分かった。その辺は手配しておこう」


 諸々の作業が終わった後、黒島たちは正面入口まで案内される。


「本官はここまでです」

「案内感謝する」

「いえ、当然のことをしただけですので」

「そうかい。それで、君たちはどうするんだい?」

「このまま帰ります」

「分かった。それじゃあな」


 そういって、黒島たちはワープして紅の旗艦へと戻った。

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