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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第43話 説得

 その日の夕方。黒島はある考え事をしていた。

 それは、学長室から去る前に言われた一言がきっかけだった。


『このことは親御さんにも説明しなさい』


 確かに、一番身近にいる人間と言えば親である。

 そこを黒島たちは抜けていた。いや、どちらかというとわざと目をそらしていたとも言うべきか。


「どっちにしろ、親に言うのは気が引けるなぁ」

「そうだよねぇ」


 そんなことを言っていると、レイズが割って入ってくる。


「そんなこと、私がスマホに入ってきた時に言っておけば、万事解決だったのでは?」

「それこそ頭がおかしくなったって騒がれるだけでしょ」

「それはそうかもしれませんが……」

「黒島君はいいよね、レイズがいて。私なんて一から全部説明しないといけないから……」

「そうだよなぁ……」

「それなら、私も一緒に行きましょうか?」

「いいの?」

「もちろん祐樹さんも一緒ですけど」

「マジっすか」


 結局、黒島は後藤の家に直接出向くことになった。

 黒島は玄関先で待って、黒島のスマホだけ後藤家の家族会議の中に持っていくことになった。


「それじゃあ、少しの間、スマホ借りるね」

「おう」


 そういって、後藤は家の中に入っていく。


「……さむ」


 小一時間程しただろうか。

 中から後藤が出てくる。


「おう、どうだった?」

「お父さんもお母さんも最終的に応援してくれるって」

「よかったじゃん」

「うん。ありがと、黒島君」


 そういって、後藤は黒島に満面の笑みを向ける。

 その姿に、黒島は少しドキッとした。

 次は黒島の番だ。


「うまく行くかな?」

「大丈夫ですよ、祐樹さん。私も一緒に説得しますから」


 そうレイズに背中を押される。

 黒島は家に帰ると、早速母親を呼び出す。


「何?話って」

「うん。大事な話なんだ」


 黒島は神妙な面持ちで、母親に話す。


「最近世間を賑わせてる紅い艦あるでしょ?」

「あぁ、あれね?それがどうしたの?」

「実は俺、それの関係者なんだ」

「……何よ急に、やめてよー」


 母親は冗談のように聞こえているらしい。

 しかし黒島は真面目な顔で話を続ける。


「あれ、報道されているように、今地球を侵攻している知的生命体のうちの一つなんだ。9月くらいからずっと紅の旗艦に乗り込んで、何回か敵とも戦った」

「ちょっと、それ本当の話?」

「本当の話ですよ、お母さん」


 ここでレイズが割って入る。


「初めまして、今話題の紅い艦のレイズ・ローフォンです」

「……本気で言っているの?」

「初めから本当のことしか言ってないよ」

「……そう、続けて」


 そのあとは黒島が説明をし、レイズが補足をするような形で話をする。

 そして、15分程かけて説明を終えた。


「そう、そんな大事(おおごと)になっているの」

「もしかすると、今後大きな作戦に駆り出される可能性もあるから、そういうことを頭の片隅に入れておいてってことだね」

「お母さん、大丈夫ですか?」

「え、えぇ。今のところは……」


 母親は一つ溜息をつくと、レイズと向き合う。


「一つ聞いてもいい?」

「何?」

「もしもの話だけれど、祐樹が戦いに出て、万が一死んでしまうこととかない?」

「大丈夫です、お母さん。そのようなことは絶対にさせません」

「そう……」


 そして、改めて黒島と向き合った。


「これは祐樹の人生なんだから、祐樹のしたいようにしなさい。ただし、お母さんやお父さんを悲しませるようなことはしないように」

「うん。分かった」


 これは、事実上の容認ということだろう。

 そのまま黒島は部屋に戻る。


「いやぁ、よかったですね」

「うん、まぁよかったですよ」

「梓ちゃんにも報告してあげましょうよ」


 レイズの進言通り、黒島は後藤に連絡をとる。後藤も喜んでいるようだった。

 時は進み、翌日の12月6日。この日は自宅での授業を受ける日である。

 そして昼。昼食を食べるために、1階に降りたときだった。

 スマホの電話がなる。相手を見ると、「山田」と出ていた。


「はい、もしもし」

『もしもし、山田だ』

「どうしたんですか、山田さん」

『何、先の報告を受けて君たちに次の行動をしてもらいたくてな』

「次の行動……ですか?」

『そうだ、次はある場所に行ってもらいたい』

「その場所ってのは?」

『霞ヶ浦基地だ。行ったことあるか?』

「百里基地なら一度だけ」

『そうか。その霞ヶ浦基地は今宇宙軍が使っていることは知っているね?』

「えぇ、まぁ」

『単純な話、その霞ヶ浦基地の司令官に会ってほしい』

「基地の司令官に、ですか?」

『そうだ。そしてそこがこれから君たちが活動する拠点になる』

「分かりました。詳しい日時とかは?」

『SMSで送る。当日は基地入口で待機だ』

「了解です」


 そういって電話が切れる。

 電話が切れてすぐに、SMSにメッセージが入る。

 そこには簡潔に、「霞ヶ浦基地正門前 12月8日10時集合」とだけあった。


「なんとも簡単だなぁ」


 そんなことを言いつつ、この情報を後藤にも教えるのだった。

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