第39話 包囲
No.4を撃破して少し時間が経過したあと、紅の旗艦はちょっとした危機に陥っていた。
「いやぁ、まさかこうなるとは予想しませんでしたねー」
「笑ってる場合ですか!?」
そう、現在紅の旗艦は国連軍宇宙艦隊によって包囲されているのだ。
この状況になるには、その前に行った行動を思い出さねばならない。
それは、紅の旗艦の狙撃銃によって、独断専行でNo.4を撃破したことにある。この行動は艦隊全体を危険に陥れる行為であると忠告を受け、現在このように包囲されているのだ。
「でも注意は受けたから、それでいい感じではあるよね?」
「そうなんですよねー。いちいち大げさすぎるんですよねー」
「そうかもしれないけど!この危機的状況にもっと緊張感というものを持ってください!」
「そうは言いましてもね、こっちに悪気はないわけですし」
『こちらエンタープライズ。紅の旗艦、先ほどの貴艦の行動は命令違反に相当するものだ。ものによってはここで処罰を決定しなければならない』
「ほら向こうもこう言ってますしぃ!」
「どうする?レイズ」
「そうですねぇ、ここは一つ言い訳をさせてもらいましょ」
そういって、レイズは通信をする。
「こちら紅の旗艦。先ほどの攻撃は必要に迫られて行ったもの。それがなければ艦隊は壊滅状態にあったと考える」
『そちらの言う、バリアとやらの存在は敵の出現以来確認されていない』
「かつてあなた方の敵であった私が言っているのだから、この話を信じることはできないか?」
『観測されていない以上信じることはできない。よって信じることは不可能だ』
「ならば、私がバリアを展開して見せることはどうか?」
『どういうことだ?』
「今ここで、紅の旗艦がバリアを展開して見せるといってるのです」
そういうと、しばらく通信がとだえる。
「これはどういうことですかね?」
「多分、向こうで協議しているのではないでしょうか。それまではしばらく待機ですかね」
「うぅん、めんどくさいなぁ」
そのまま膠着状態が十数分ほど続いた。
そして返信が返ってくる。
『こちらエンタープライズ。バリアの件了解した。明確な変化がみられるレベルでのバリアの展開を頼む』
「紅の旗艦、了解した。5分後に展開する」
そういって通信が切れる。
「というわけで、バリアを最大限まで展開します」
「そんな装備あったんですね」
「もちろん、標準装備ですからありますよ」
「それを展開するの?」
「はい。梓ちゃんの出番ですよ」
「えぇー。なんか緊張する……」
「大丈夫ですよ、簡単ですから」
レイズは後藤にバリアの展開方法を簡単に教える。
「そろそろ時間ですね。バリア展開用意」
「展開用意」
「バリア、最大展開」
後藤があるツマミを最大にひねる。
すると、艦の外周に青白い電撃のようなものが展開された。
「これが、バリア……」
「そう、ほとんどの物理攻撃を防ぐことができる優れモノです。……そろそろいいでしょう。バリア展開解除」
「展開解除」
そういってツマミを小さいほうに回す。
すると、バリアは薄くなっていき、やがて消える。
「……これ常時展開してれば最強なのでは?」
「エネルギーを相当使うのでダメです。それだけ防御は貴重なのです」
「へぇ」
黒島が関心していると、通信が入ってくる。
『こちらエンタープライズ。バリアの存在確認した。今後の協議の一環とする』
「そのようでなりより。存分に協議してほしい」
その通信が切れると、国連軍宇宙艦隊は紅の旗艦から離れていく。
『本日の軍事行動は終了である。解散の前に紅の旗艦に聞きたいことがある』
「何か?」
『もしNo.4に我々が接近していた場合、どのような状況に陥った可能性があるか?』
「……最悪の場合、艦隊が蒸発していた可能性がある」
『……了解した。情報の提供感謝する』
そういって、この日の艦隊は基地に戻っていくのであった。
「さて、私たちも帰りますか」
「そうですね」
そういって、黒島たちも亜空間へと帰っていく。
翌日のニュースでは、どの番組も一様に第6次攻撃に関して報道していた。
『日本時間昨日の夜、オーストラリア上空にいたNo.4に対して攻撃が行われました。この結果、No.4を撃破することに成功しました。その際、国連軍宇宙艦隊には、先日国連本部に現れた紅の旗艦、レイズ・ローフォンも合流したとのことです。国連軍はこれまで通り、ミサイルによる攻撃を行ったあと、砲撃を行ったとのことです。この攻撃で、No.4は外郭を破壊されたとのことです。これはこれまでの攻撃とは異なる点であると国連軍軍事参謀委員会は話しています。その後、No.4は紅の旗艦の砲撃によって破壊されたとのことです。また、今回の軍事行動によって、知的生命体である流浪の民は物理的な障壁であるバリアを装備していることが判明しました。この情報から、今後軍事行動に変化が出てくると考えられます』
このニュースを見た黒島はこう思った。
(流浪の民が味方になったとたん、まるで良いように報道するんだなぁ)
なんとなく報道の闇を垣間見たような気分の黒島であった。
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