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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第38話 第6次攻撃

 無事に国連軍と合流できた紅の旗艦。

 その内部では、一種の緊張が走っていた。


「大丈夫かな……。ちゃんと歩調を合わせられるかな……」

「大丈夫ですよ、祐樹さんは私の指示に合わせて動けばいいですから」


 そんなことを話していると、通信が入る。


『こちら国連軍宇宙艦隊旗艦エンタープライズ、艦隊前進せよ』


 そういって、国連軍は前進を始める。

 黒島も艦を前進させ、艦隊についていく。

 その時、黒島は思った。


「……おっそいなぁ」

「仕方ないですよ。これが宇宙に進出したばかりの知的生命体の平均的な速度なんですから」

「のんびり行こう、黒島君」


 そのまま数時間ほど移動を続ける。

 黒島の言った通り、その速度は紅の旗艦に比べればかなり遅いが、対地速度で見てみるとかなり速い。大気中なら確実にソニックブームが発生していることだろう。

 そんな時間を数時間ほど過ごすと、目標が見えてくる。


「相変わらず大きいですねぇ」

「えぇ。地表を制圧するのに特化した艦ですからね。もっぱら、今は地上を監視するのに使われるのみですけどね」


 そんなことを話していると、エンタープライズから通信が入る。


『全艦、ミサイル発射用意』

「ですって」

「ミサイル……。全部撃っちゃっていいんですかね?」

「それは、艦の性能の違いによりますね。数発しか撃てないミサイルならそれまででしょうし」

「確かに。なら、構わず撃っちゃっていいですね」


 そういって、ミサイル発射の準備をする。

 目標であるNo.4をレーダーで捉え、セットする。これでミサイルは自動で目標に向かって飛翔するだろう。


「けど、こんな遠くから撃って大丈夫かな?距離1000kmとか出てるけど……」

「地球のレーダーのレベルから見ても、十分ですよ。それに、このくらいの距離じゃないと、目標から確実に反撃を食らいますからね」

「なるほどー」


 そうこうしているうちに、次の通信が入った。


『ミサイル斉射用意』

「ですって」

「了解」

『ミサイル撃ち方始め』

「ミサイル発射」


 各々の艦からミサイルが発射される。

 その中でも、紅の旗艦の放ったミサイルの数は文字通り桁違いだ。100を超えるミサイルは方向転換をしつつ、味方を避けながら目標のNo.4へと飛翔する。


「って、かなり遠いから着弾まで時間がかかるのか」

「そうですね。しばらくは艦隊についていきながら目標に接近していく感じですね」

「こういう戦闘って、もっと派手なものかと思ってたんだけどなぁ」

「それは紅の旗艦での戦闘に慣れすぎですよ」

「私もそういうとこあるなぁ」


 そんなことを駄弁っていると、どこかから注意が飛んできそうではある。現状、戦闘状態にあるのだから。

 そのまま1時間ほど時を待たねばならなかった。

 そうしている間に、ミサイルはだいぶNo.4に接近していた。


「そろそろ着弾ですよ」

「あい」

「集中してくださいね」

「分かってますよ」


 そういっている間にも、ミサイルは着々と目標に近づいている。

 そして、もうすぐ着弾という時だった。


「っ!目標内部に高エネルギー反応!」

「お目覚めですね」


 そう、No.4が活性化しだしたのだ。

 艦の至る所に設置された対魚雷防御機銃が反応し、ミサイルを次々に撃墜していく。

 国連軍宇宙艦隊のミサイルはほとんど撃ち落されてしまった。

 しかし、紅の旗艦から発射されたミサイルは、その機銃を避けつつ、目標に突撃していく。

 そして、100発を超えるミサイルのうち、何発かが目標に命中した。

 それに触発されたのか、目標がさらに活性化する。


「あれヤバくないですか?」

「かなりヤバいですね」

「どうしましょう?」


 そんなことを言っていると、通信が入る。


『全艦、対艦砲撃開始』

「ですって」

「了解。艦首砲射撃用意」


 艦首砲がNo.4のことを捉える。


『砲撃開始』


 各艦から砲弾が発射される。

 ここは宇宙空間であり空気が薄いため、国連軍の主砲に使われているのはレールガンである。そのレールガンから、砲弾が音速の何倍もの速度で発射された。

 もちろん、これに追従して紅の旗艦も砲撃する。


「主砲斉射!」


 艦首砲から砲撃がされる。

 砲弾とともにビームが一直線に飛んでいく。

 ミサイルとは異なる速度で飛翔する砲弾とビームは、すぐにNo.4へと到着する。

 しかし、これも対魚雷防御機銃によっていくつか落とされる。

 だがこの速度だ。攻撃的に落とそうとしても落としきれない。それに、ビームも落とすことはできない。

 こうしてNo.4に到着した砲弾とビームによって、目標は外装がズタズタとなっていた。


「よし、攻撃が効いてるぞ」

「……」


 喜んでいる黒島の一方で、何か考え事をしているレイズ。


「ん?どうかしましたか、レイズさん」

「いや、何かおかしいなと」

「おかしい?」

「違和感があるんですよ。どうも腑に落ちない違和感が」


 そんなことを言っている間に、次の通信が入ってくる。


『全艦、目標に接近せよ』


 これを聞いたレイズはハッとする。


「そうか!違和感の正体が分かりました!」

「一体なんです?」

「目標はバリアを張ってないんです」

「バリアを?」

「はい。もしバリアを張っていれば、通常弾頭ごときに艦を破壊されることはありません。しかし、そうならずに、通常弾頭に破壊されている。これはすなわち、わざとバリアを張らずに、誘いこもうとしているんです」

「もしそれが本当だとしたら……」

「確実に落とされる艦があるはずです」

「すぐに止めないと!」

「しかし、こちらの言い分を聞いてもらえるか……」

「とにかくやってみないと!」


 黒島の後押しで、レイズは国連軍宇宙艦隊旗艦に連絡を取る。


「こちら紅の旗艦。接近は敵の罠の可能性あり。直ちに距離を取るよう意見具申する」

『こちらエンタープライズ。理由はあるのか?』

「敵は意図的にバリアを使用していない。これは我々をおびき寄せる罠である。至急距離を取るように」

『そのようなことはこれまで観測されていない。よってこの意見具申は却下する』


 そういって通信が切れる。


「面倒なことになりましたね……」

「仕方ないですね。ここは独断専行で行かせてもらいましょう」


 そう言って、レイズはあるものを起動する。


「まさか、狙撃銃を使うつもりですか?」

「目標を一撃で倒すには、これが一番です」

「そうかもしれませんけど」


 その間にも、レイズは狙撃の準備をする。


「発射準備よし。あとは祐樹さんの指示があれば、いつでもいけます」

「はぁ……。しょうがないですね」


 そういって、黒島はOKを出す。

 レイズはすぐさま、狙撃を開始する。


「照準よし。偏差よし。エネルギー充填よし。狙撃銃発射!」


 狙撃銃からビームが発射される。

 それは、まっすぐNo.4に向かい、そしてその船体を切り裂いた。

 こうして、国連軍宇宙艦隊が近づく前に、何とか目標を片づけることに成功したのだった。

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