第35話 インタビュー
黒島たちは国連総会議場を後にして、別の建物へと移動する。
事務員などが入る、国連を象徴する本部ビルだ。
そこに入ると、まずはエレベータで上に上がっていく。
そして、少し上った所でエレベータから降りた。
そこからあちらこちらへ移動すると、ある一室にたどり着く。
そこは会議室のような場所であった。
そして、そこにはいつぞや見たことある顔があった。
「確か……ジェイミーさん、でしたっけ?」
「あら、よく覚えていてくれたわね。こうして会うのは初めてね」
快く握手を交わす。
「これからは私がお相手するわ。よろしくね」
そういって席に着く。
「まず始めに、重要なことを決定しなければいけないわ」
「なんでしょう?」
「あなたたちレッド・フリートの扱いを決めなければいけないわ」
「それは、先ほどの総会であった国に準ずる組織にするってことですか?」
「そのとおりよ。あなたたちは国際的に見れば、世界中の戦力を上回るほどの武力を持った個人の延長に過ぎないわ。そこで、あなたたちを国に準ずる組織の一つとして認めるべきかどうかを判定する必要があるの」
「なるほど」
そこに、疑問を持った後藤が聞く。
「でも、それってどうするんですか?」
「まぁ簡単な話、各国政府に書簡を送って『レッド・フリートを国に準ずる組織として認めてもいいですか?』って尋ねるのよ」
「でもそれをやるとすぐに答えを出せないですよね?」
「そう、今日中に答えを出すことはできないわ。でも期限を決めて尋ねることならできると思わない?」
「確かにそうかもしれませんけど……」
「それでも期限に合わせずに返信を怠る国もいるわけね。そういった国を出さないためにも、今日はお願いをしようってわけ」
「お願い……ですか」
「具体的にはどういうことをするんですか?」
黒島たちは彼女に解を求める。
「それは簡単よ。脅しを使えばいいわ」
「脅し?」
「そう。『もしあなたの国から返信がない場合は賛成とみなす』みたいな感じね」
「でもそれはさすがに横暴というものではないですか?」
「いいえ。こういう交渉事には、時に鞭が必要なのよ。それに、あなたたちはこれまでにない強大な力を持っているわ。それを行使すれば、国を攻め落とすことなんて簡単にできてしまうほど。先進国は注意深く見ているようだけども、新興国からしてみれば脅威そのものよ」
「うーん?」
「あら、説明が不十分だったかしら。つまりは『従わなければどうなるか分かっているわよね』ってことよ」
「それが横暴なんじゃないですか……?」
「これは抑止力であり、物事を円満に進めるためのれっきとした選択肢の一つよ」
(そういうものなのかねぇ……)
黒島は半ば納得するしかなかった。
「さて、そういうことだから、書簡と一緒にあなたたちに少しインタビューをさせてもらうわ。その映像を使わせてもらうけどいいかしら?もちろん、プライバシーには配慮するわ」
「まぁ、そういうことだったら……」
「でもそれは私がするものではないんですか?」
そういって、レイズが横から入る。
「確かにそうね。じゃああなたを中心にインタビューをすることにするわ」
そういって会議室に備え付けてあったプロジェクターを起動する。
「あなたには、この映像に投影させてインタビューをするわ。それでいいかしら?」
「あとパソコンがあれば問題ありませんね」
「そういうことならすぐに準備するわ」
そういってテキパキと準備が進められる。
そして準備が整った。
「まずはローフォン、あなたからインタビューを開始するわ。準備はいいかしら?」
「えぇ、問題ないです」
インタビューが始まった。
「まずあなたの名前とどういう人間かを教えてくださる?」
「私はレイズ・ローフォン。世間を賑わせている紅き艦の生体艦長です」
「紅き艦はあなたの物?」
「えぇ、私そのものと言っても過言ではないです」
「私たちが観測しうる中では、あなたはパナマとケープタウン、それにアイスランドやモスクワで戦っていたようだけど?」
「実際その通りです」
「どうしてこのように人類の味方をしているの?」
「皆さんが敵とみなしている知的生命体、あれは流浪の民というのですが、それの蛮行に嫌気が差したからにほかなりません」
「そう。もし国家に準ずる組織として認定された場合はどうするの?」
「その時は、国連の仲間として国際協力をしていくつもりです」
「具体的には?」
その時、ジェイミーの後ろにいた男性がカンペのようなものを掲げる。
レイズはその意図を察したのか、その通りに話す。
「そうですね……。もし紛争や戦争が起きた場合には、現地へと赴く可能性があるくらいですかね」
「分かったわ」
ジェイミーは何事もなかったかのように、話を続ける。
「今日はどうもありがとう。話は以上よ」
そういって撮影は終了する。
「OKよ、これだけあれば十分ね」
「それなら彼らのインタビューはなくても問題ないですね?」
そういって、レイズは黒島たちのことを指す。
「えぇ、もちろん。ごめんなさいね、インタビューできなくて」
「いえ、それは問題ないんですが……」
その後は、様々な話をした。
もし国際的に認められた組織となった場合には、所属はどうするのか。その時の法的規制などはどうするか。など、いろんな話をする。
「……という感じで、今は不明な点が多いってことね。これからの事は手探りで行くのが基本になるわ」
「そうですか……」
「今は答えを出せないから、仕方ないわ。今後の連絡を密にしていくことが重要よ」
そういって話は終了した。
「もうお昼を回ってるわね。日本時間だとどうなってるかしら?」
「夜中の3時になりそうですね」
「あら、そしたらもう寝ないと。二人も眠いわよね」
「えぇ、若干」
「ならもう帰ったほうがいいわ。連絡先は交換しているから、後は時々連絡をし合うだけよ」
「分かりました」
そういうと、ジェイミーはドアの外に待機していた男性に声をかける。
そこには、羽黒も一緒にいた。
「話は終わったかい?さぁ帰宅の時間だ」
そういって外まで案内される。
外には、相変わらず報道陣の姿があった。
「さぁ、彼らにアピールしていこう。宇宙人の力ってものをね」
そういって別れの握手をする。
羽黒も一言交わした。
「もしものことがあるなら、ここに頼りなさい。私と知り合いの連絡先だ」
「分かりました」
「このくらいしか力になれなくて申し訳ないね」
「いえ。十分ですよ」
「そうか、では」
そういって、羽黒はその場から下がる。
レイズはそれを見計らって、黒島たちを紅の旗艦にワープさせた。
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