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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第34話 質疑応答

 信用に値しないという発言は、どうやらレイズにも聞こえていたようで、少し顔の表情がこわばった。

 しかしそういう風に悟られないように、平穏を装いながら、言葉を続ける。


「もし、私に質問などがあれば、答えられる範囲でお答えします」


 その質問に反応したのは、議場広報にいる記者団であった。

 質問となれば、レイズに聞きたいことは山積みだろう。

 しかし、それよりも優先されるべきものは、この議場にいる各国の代表からの質問のはずだ。

 急遽、マイクが用意される。このような事態を想定していないためか、準備に時間がかかる。

 その間に、議長から質問がされる。


「先ほど、敵の敵は味方であるという話をされたと思う。それに関して、今後我々に敵対することがあり得る可能性も孕んでいるということか?」

「可能性としては低いでしょう。我々レッド・フリートと人類が互いに協力関係にある限り、不測の事態には陥らないと考えます」

「協力関係にある限りとは具体的にいつまでのことを指し、そしてどのような条件の場合人類から離れることを意味するのか?」

「具体的に申し上げることはできませんが、人類と流浪の民との戦いが終わるまでは協力関係にあることを約束します」


 このあたりは各国代表が聞きたいことでもあるだろう。

 その間にマイクが準備され、質疑応答の時間に入った。


「まずは……ベルギー代表からお願いします」

「初めまして。早速質問なんですが、あなたは人類の中でどのような立場でいらっしゃるのかしら?」

「私は人類という大きな枠組みの中では、中立を保つつもりです」

「中立と言っても、やるべきことや犠牲にすることはたくさんあります。あなたはそれでもちゃんとやれるんです?」

「尽力はします」


 ベルギー代表の質問に、はっきりと堂々とした言葉で返す。

 次にパナマ代表から質問が入る。


「以前我が国の領空を、そちらが言う流浪の民に侵犯された経験がある。そしてそれをあなたが処理したという解釈でよいか?」

「はい。問題ありません」

「そうなると、国際的に問題になるのではないか?その辺はどのようにお考えか?」

「致し方ない犠牲だったと考えます。当時は流浪の民、白の旗艦の隷下に存在する白の艦艇が地上に降りるとは思わなかったもので。それに、私は国際的には、国もしくはそれに準ずる組織ではないため、問題はないと考えます」


 そして、ブラジルの代表が質問に入る。


「人類と共に歩むことをおっしゃっていたが、今後国連に所属し、共に戦線を張るという認識でよろしいか?」

「はい、その解釈で問題ありません」

「ならば先のベルギー代表の質問から、あなたは新しい国家として国連に属することになるのか?」

「それは国連本部の意向によります。私を新しい国家もしくはそれに準ずる組織として認定していただけるのでしたら、そのようにするつもりです」


 それを聞いたある国家の代表が質問をした。


「どうぞ、中国代表の方」

「先ほどブラジル代表の質問から、あなたを新しい国家やそれに準ずる組織として認定する話が出たと思う。しかし、あなたはなぜか日本にいる高校生と行動を共にしている。それは意図的な思惑があって日本という国に執着しているのではないか?」

「そのような事実は一切ありません。ただし一言付け加えるとすると、先進国の中から選んだことは事実です」

「なら、今すぐその高校生を降ろすことも可能ではないか?あなたの目標は国連で正式に人類との接触を行うことが目的と見受けられる。それならば、なぜそこまでその高校生に執着するのか」

「それは、彼らが私にとっての人類代表であるからです」


 それを言うと、議場がザワザワしだす。はっきりと黒島のことを人類の代表と言い切ったからだ。

 それを聞いた議長がさらに質問を重ねる。


「ミス・ローフォン、それは艦の主導権を我々国連に渡さないということか?」

「主導権はあくまで私です。そしてそれを動かすのは、私の仲間です」


 さらに騒めきが大きくなる。どちらかというと批判が大きいのか。

 議長が静粛にするよう求める。


「今回の話で、議題にするべきことは分かったであろう。まずは紅の旗艦を国に準ずる組織として認定するべきか。そして、その取り扱い方についてだ。これは今後、総会のほかに事務局レベルでの会合が必要な案件と考える。では今日の総会は終了とする」


 そういって、今日の総会は終了する。

 レイズはいつの間にかバックモニターから消え、黒島のスマホに入っていた。

 そして黒島たちは、スーツ姿の男性たちに連れていかれるように、議場を後にしたのだ。

 議場から出ると、そこには先ほどの男性の姿があった。


「みんなお疲れ様。初めての総会はどうだったかね?」

「すごく緊張しました」

「はっはっは。それもそうだろう。あれだけの人間がいるんだから、そういう反応になっても仕方あるまい」


 そういって男性は先頭に立ち、黒島たちを案内する。


「実は今日のスケジュールはまだ終わってなくてね、これから事務局の人間と打ち合わせなんだ。もう少しの辛抱だから、頑張ってくれ」

「はい」


 そういって、黒島たちは国連総会議場を後にする。

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