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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第30話 帰宅

 翌日午前9時前。

 黒島が寝ている横で、後藤が起き上がる。


「うぅん、ここは?」


 どうやら、まだ寝ぼけている様子だった。

 そのまま周囲を見渡す。

 そんな後藤の目に、黒島の姿が入る。


「え、黒島君!?」


 黒島がいることに気が付いた後藤は少し慌てる。

 そして、わずかに思い出す。


「そうだ……、昨日はホテルに泊まって……」


 ゆっくりとだが、後藤は昨日のことを思い出す。


「黒島君と一緒の部屋になってたんだっけ……」


 この時点で、後藤は完全に覚醒する。

 そして、興味本位で黒島のベッドに向かう。

 それは、黒島がどんな寝顔でいるかを確認してみたかったからに他ならない。

 後藤がこっそりと黒島の寝顔を見てみる。


(黒島君って、意外にきれいな顔してるのね)


 そんな小学生のような感想がこぼれ出てきた。

 その時、黒島が目覚める。後藤は慌ててベッドから離れた。


「……あれ、後藤?」

「おおお、おはよう黒島君!」

「……あぁ、そっか。昨日はホテルで寝てたんだっけ」


 そういって黒島は起き上がる。


「なんか変な感覚だな」

「何が?」

「こうやって後藤と一緒の部屋で寝てるなんて、夢でも見てるような感じだよ」

「くく、黒島君!それは失礼な発言だよ!?」

「ん?そうかな……」


 そんなことを言ってる所に、レイズが割って入る。


「祐樹さんはそこまでにして、早く起きてください。公安の人迎えに来ちゃいますよ」

「分かってますって。ふわぁ……」


 黒島は大きく伸びをすると、ベッドから降りる。

 そして時間をちらりと見て、一言発した。


「朝食、食べ損ねたな」


 それから1時間後。予定通り刑事が迎えに来る。


「よう、お二人さん。昨晩はお楽しみだったかい?」

「その冗談よしてくださいよ……」

「すまんすまん。お二人さんお似合いだったからな」


 黒島の横にいる後藤は、顔を真っ赤にしていた。


「そんなことは置いといて、早く茨城に戻ろうか」

「はい」


 そういって刑事が乗ってきた車に乗り込む。

 そしてそのまま茨城県へと直行するのであった。

 茨城県に戻ると、まず後藤の家から寄っていく。

 後藤が家に入ったのを確認すると、次は黒島の家だ。

 そのまま何事もなく、黒島の家に到着する。

 黒島が車から降りると、刑事が一緒に降りてくる。


「黒島君」


 黒島のことを呼んだ刑事の手には、一通の茶封筒があった。


「今回の協力金だ。少し少ないかもしれないがな」

「ありがとうございます」

「黒島君、これからは少し身の回りに気を付けた方がいい。世の中は君が考えている以上に悪い人がたくさんいるからな」

「心に留めておきます」

「あぁ。それじゃ、またどこかで出会えたらいいな」


 そういって刑事は車に乗り込み、東京へと帰っていった。

 黒島は荷物を持って、自宅の玄関をくぐった。


「ただいまー」

「祐樹」


 奥から心配そうに出てきた黒島の母親が出てきた。


「大丈夫だった?何か変なことされなかった?」

「大丈夫だって。いろいろと話聞かれただけだから」

「そうじゃなくても、わざわざ東京まで行くことはないでしょ?」

「本当に大丈夫だって」

「祐樹のこと心配して言ってるんだからね」

「分かってるよ」


 そのまま黒島は部屋に入っていった。

 そんな様子を見ていたレイズが苦言を呈する。


「もうちょっと親心というものを理解したほうがいいんじゃないですか?」

「とはいっても、本当になんともなかったわけですし」

「そういうところ、親は知りたいはずですよ」

「でも言えますか?宇宙人と一緒にいるなんて」

「……言えませんねぇ」

「でしょう?」


 そんな感じで再び学校と家を往復するような日々がやってくる。いや、何日かに一回はオンライン授業が入るため、往復ばっかりしているわけではないが。

 ただ、少し変わったこともある。

 それは後藤が黒島に接する時の態度が少しよそよそしいことだ。

 後藤本人は、なんともないことを強調しているが、黒島としては気になるところだろう。

 だが、本人が嫌がっているのなら、あえて聞かないことも重要だ。黒島は聞かなかったことにした。

 そんな日々を送っていること5日。

 この日はオンラインでの授業だったため、自宅のパソコンで授業を受けていた。

 そんな授業も終わり、夕食を食べ終えたときだった。

 自宅の電話が鳴り響く。

 黒島が出ると、そこからレイズの声が聞こえてくる。


「あの、黒島君のお宅でしょうか?」

「……何やってんの、レイズさん」

「あ、祐樹さん!よかった、話が早いです!また白の艦艇が出現しました!」

「今度はどこに?」

「アイスランドです!」


 アイスランドの首都、レイキャビクの上空には、これまでと同じように白の艦艇群が群れをなすように進軍していた。

 そして、一隻の主砲から放たれるビーム砲によって、地上が破壊されるのを皮切りに、白の艦艇群は一斉に破壊活動を行う。


「とにかく急いで向かわないと!」

「分かりました。後藤には?」

「すでに連絡済みです!」

「とりあえずすぐに上に向かいますね」


 そういって、電話を切る。


「今の誰?」

「友達。明日までの宿題見せてって急かしてきた」


 適当な嘘をつき、黒島は階段を上がる。

 部屋に入ると、すでにレイズは臨戦態勢に入っていた。


「梓ちゃんも準備できたそうです」

「それじゃ行きますか」


 そういって、黒島は紅の旗艦にワープした。

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