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第3話 帰宅

 その後黒島は、ガラス玉を拾った場所に戻される。

 その際、レイズにあることを言われた。


「またあとで会いましょう」


 黒島は、なんのこっちゃ、という感じで、そのまま帰路に着いた。


「ただいまー」


 黒島の家は、そこらへんにある一軒家だ。

 地方都市ということもあって、小さな庭がついている。

 玄関の鍵を開け、黒島は家に入った。

 しかし、今の時間は誰もいない。

 父親は東京で単身赴任中であり、母親もパートに出ているからだ。

 とはいっても、母親は夕方になれば帰ってくる。今日は遅いのだろう。

 黒島は自分の部屋に入り、荷物を放る。

 そしてそのまま自分のベッドに横になった。


「ふぅー」


 今日はいろんなことがあった。

 主に帰り道でのことだったが。

 すると、黒島のスマホが鳴る。チャットアプリの着信だ。

 相手は母親からである。


『今日は遅くなります。適当に弁当買って帰るね』

「了解、っと」


 黒島は返事を返して、そのまま目をつむった。

 眠りに入ろうとしたところで、再びスマホの着信が鳴る。

 だが、これは聞いたことない着信であった。

 黒島は起き上がってスマホの画面を覗く。

 すると、そこには……。


「ここが人類の部屋なんですねぇ」


 なんとスマホの中にレイズがいるではないか。


「うわぁ!なんで俺のスマホに!?」

「私の艦に来た時にちょっと小細工させてもらいました」

「そんなのはいいですから早く出て行ってくださいよ!」

「それは無理ですよ。私くらいになれば、ここのデータを人質にとることだってできるんですから」

「なんでそんなことするんですか!」

「それは、あなたに協力してほしいからですよ」

「協力?」

「さっきも言った通り、今、白の旗艦が中心となって地球に攻め込んでいます。これは分かりますね?」

「そりゃあ、もちろん」

「その目的はなんだと思いますか?」

「えっと、地球資源の獲得とか?」

「いえ、簡単に言えば、白の旗艦による快楽殺人が目的です」

「……はい?」

「白の旗艦にいる人物は、自身以外の知的生命体を虐殺することが目的で宇宙を放浪としています。自分の宇宙ならいざ知らず、次元を超えて、別の宇宙にまで進出し、そこの知的生命体も殺して回っているのです」

「……つまり、快楽殺人鬼を止めてほしいというのが願いというわけですか」

「そうなります」


 ここで黒島は考える。


(もし、レイズの言っていることが本当なら、人類は殺人鬼によって虐殺されることになる……)


 ここで選択を間違えたりしたら、人類存亡の危機に陥ることになるかもしれない。


(でもその責任を俺に押し付けるかぁ……)


 もし、黒島が人類を守りきれずに滅亡させるような状態になったときに責任はとれるのか分からない。正直いってその可能性も捨てきれないだろう。

 だが、黒島の中に何かが湧き上がってくる。

 それは人類を守るという大義名分だ。

 黒島は青年期特有の、自分の居場所のような場所を探していた。

 もしかすると、ここに自分の居場所があるような気がしてならないのだ。


「分かりました。俺が白の旗艦を止めます」

「ありがとうございます。では早速作業を始めちゃいますね」

「ん?作業?」

「はい、この情報端末を私専用に作り変えます」

「は?作り変えるって?」


 黒島の言葉もむなしく、スマホは一度電源が落ちる。

 そして再起動した。


「はい。これでよっぽどのことがない限りは紅の旗艦に直接つながることができる端末になりましたよ」

「何勝手にやってるんですか……」

「でもその方が利便性が高いんですよ」

「まぁ、人類の生活に影響が出ない程度にはお願いしますよ……」

「はい、もちろんです」


 こうして、黒島とレイズの奇妙な生活はスタートすることになった。

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