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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第28話 予定を詰める

 その後、外務省の役人が日程の絞り込みに入る。


「総会に召喚されるのはなるべく早いほうがいいだろう」

「そうなると年内に話をつけたほうがいいですね」


 そんな感じだから、黒島たちは完全に蚊帳の外になってしまっていた。


「あのー。私たちの予定は聞かないんですか?」


 黒島が思っていたことをレイズが代弁する。


「あぁ、済まない。いろいろと考えていたらすっかり抜けていた」

「しっかりしてくださいね」


 そういって、黒島たちに予定を聞いてくる。

 とはいっても、黒島にとってみれば、学校の時間割や家でのリモート授業以外には特にやっていることもない。

 後藤も似たような境遇であり、お互い日中の時間を除けば問題ないとの結論に至った。


「しかしこうなると問題は向こうの都合だな」

「ですね。とりあえず聞いてみますか」


 そういって、外務省の役人はバックからパソコンを取り出す。


「今何時だ?」

「12時53分です」

「となると、向こうはそろそろ日付が変わるころか。メールの方がいいな」

「今日の夜にテレビ電話できる状態にしておいたほうがいいかもしれません」

「そうだな。とりあえず……」


 そういって、外務省の役人はメールを打ち込んでいく。

 記述する内容は日本語である。ニューヨークで翻訳を介せば、問題なく読めるからだ。


「よし、こんな所か」

「そうですね。これで送信しましょう」

「……よし送信した」

「あとは帰ってくるのを待つだけですか?」

「そうなるな」

「現地時間朝の10時……、すなわち、日本時間今日の夜23時くらいにオンラインで会議を開く予定にしています」

「23時って、相当遅いじゃないですか」

「これでも現地の時間に合わせていますから、仕方のないことです」

「それまでは?」

「現状待機ってところです」

「……どうする、お二人さん」

「とはいっても、何もすることないよね?」

「うん……」

「うーん。それなら東京観光はどうだい?ちょうど見どころもいっぱいあるだろうし」

「いいんですか?」

「それなら原宿に行ってみたいです!」

「俺は特に行く当てもないし、後藤についていくよ」

「よし、決まりだ。課長!これ経費で落とせますか?」


 刑事は、遠くの机で寝ている男性に話しかける。

 その男性はピースサインを作り、はさみで切るような動作をした。


「げっ、自腹かよ」

「まぁ、お互い独身だし、金は溜まってるだろ」

「そうかもしれないが、今日は持ち合わせあったかな……」


 そんな心配をよそに、後藤は行く気満々である。

 そうして、刑事二人と黒島、そして後藤は乗用車に乗って、一路原宿へと向かうのであった。

 原宿では、独自のファッションを覗いたり、今SNSで話題のパンケーキを食べたりと、いろいろ歩き回った。

 そして夕方、一行は原宿を後にした。


「これからホテルのチェックインをするからな」

「これは経費で落ちるんだけどね」

「本当は警視庁内にある仮眠室でも使えればよかったんだが、今日は特例であそこまで入れてるからな。こればかりは仕方ない」

「そういうことなら大丈夫です」

「私も」

「そう言ってもらえると助かる。だけど一つ問題があってだな……」

「はい?」

「部屋、一つしか取れなかったよ」


 そういって案内された部屋は、ビジネスホテルの一室だった。

 年頃の男女二人が一緒の部屋にいるという状況は、なんとも言い難い空気を醸し出している。

 幸いなことは、部屋はツインになっていることくらいだろう。


「えーと……」


 お互いがお互いを意識してしまい、思わず無言になってしまう。

 しかし、このまま立ち尽くすわけにもいかない。


「お、俺は奥のベッドにしようかな」


 そういって、黒島は奥のベッドに身を投げ出し、わざとらしく後藤と視線をそらす。

 後藤も決心が着いたのか、ベッドに座り込んだ。

 黒島は、そのままベッドの中にもぐりこみ、心を落ち着かせる。


(落ち着け、落ち着け……。これは仕方のないこと、いわゆるコラテラルダメージ……)


 完全に意味を間違えている。

 しかし、こうでもしないと、後藤のことを意識してしまう。

 とにかく平穏が必要だった。

 だが、その空気を打破したのは後藤の方であった。


「あの、黒島君」

「な、何?」

「……いろいろとありがとうね」

「急にどうしたん?」

「なんか、黒島君が見たこともないような世界に飛び込ませてくれたようで、なんか私、楽しくなってきちゃった」

「後藤……」

「私、お風呂入ってくるね。覗かないでよ」

「しないよ!」

「冗談だよ。でもお風呂上りはあんまり見ないでほしいかな」


 そんな感じで、夜まで過ごすことになった。

 公安の刑事が迎えに来たのは、夜の22時のことである。


「お二人さん、迎えに来たぞ」


 そういって、出てきた二人は、どこか吹っ切れたような表情であった。


「お、なんかいいことでもあった?」

「いえ、特には」

「そうかい。とりあえず、行こうか」


 部屋の鍵を閉め、再び警視庁へと向かう。

 もう一度アイマスクをされた状態で公安第五課に向かうと、そこには昼の時と同じメンバーがいた。


「さて、これからオンライン会議だが、緊張はしてないか?」

「少し緊張してます」

「なに、リラックスして臨めばいいさ。こっちは役人と刑事がいるんだからな」


 そうこうしているうちに、時間がやってくる。

 オンライン会議の開始だ。

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